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昭和の悲惨は明治の必然的帰結

池田香代子ブログ」で、司馬遼太郎のこんな発言が取り上げられていた。

維新の志士たちは、尊皇攘夷は方便だと知っていたが、次世代の陸軍士官学校出の超エリートたちはそれを真に受けた、そういう優等生たちが実権を握ったとき、明治憲法は当時としてはよくできたものだったと思うが、そこから統帥権というお化けが出てきて、あの悲惨な敗戦へとつながった

例によって「明治は良かった。増長した昭和の軍部が日本をダメにした」式の司馬史観なのだが、いくらなんでもこれは変だろう。

「エリート」とは要するに、教えられたことを素直に飲み込む良い子ちゃんたちのこと。では、その彼らに皇国思想を徹底的に叩き込む軍隊教育制度を作ったのは誰なのか?
司馬の言う「維新の志士」たちじゃないか。

確かに、騙されたあげくに暴走した後の軍人連中も悪いけど、「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」なんてウソ(方便)と知りつつ騙した側はもっと悪いんじゃないの?

結局、自分たちの権力基盤を権威付けするためにウソで固めた国家体制を作り上げたあげく、そのウソを頭から信じ込んだ連中が権力を握るようになったらどうなるかを予想できなかった「維新の志士」たちがアホだった、というだけのこと。

昭和の悲惨は明治の必然的帰結。
そこが分かっていない司馬の甘ちゃんぶりがよく分かる発言だった。