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東大「白熱授業」の不甲斐ない中身

マイケル・サンデル著『これからの「正義」の話をしよう』の胡散臭さについては前回書いたが、この著者が来日して東大で特別講義をしたとのこと。


サンデル教授、東大で白熱授業 正義について熱く討議朝日新聞

 人気の「白熱教室」の日本出前授業が実現した。米ハーバード大で空前の履修者数を誇るマイケル・サンデル教授(57)の来日特別講義が25日、東京大(東京都文京区)で開かれた。身近な題材から問いを投げかける有名な対話型講義に聴衆が積極的に参加し、本家さながらの熱い討議が繰り広げられた。


 教授の講義を今春から放映したNHKが教授を招き、東大と共催した。本郷キャンパス安田講堂には、東大生約300人のほか、10倍の応募から選ばれた一般枠の500人も参加した。講義は同時通訳され、質問や討論には日本語と英語が交じった。


 テーマは「Justice(正義)」。教授は教壇の前を縦横に歩き回り、「イチローの年俸は米国の大統領の42倍、日本の教師の平均所得の400倍。これは公正?」と質問。


 ある女子学生が「イチローの活躍はチームに支えられてのもの。額が多すぎる」と持論を話すと、教授は「大統領も閣僚やチームがいるよ」と切り返す。女子学生は「野球は娯楽。オバマの仕事の方が重要」と再反論。多額収入者への課税の是非に話が及ぶと、男性が「個人が努力で得たお金を国が再分配するのは権利の侵害」と声を上げた。


イチローのような個人が身ひとつでいくら稼ごうが構わない。しかし、それと高額所得者への課税の是非は別だろう。
「個人が努力で得たお金」と言うが、では、年収50億の富豪は500万の勤労者の1000倍努力しているのか? そんなことは不可能だ。


現実には、スポーツ選手や芸能人のような例外を除けば、ある一定レベル以上の収入は資産運用益など不労所得が主体となる。金のあるところにさらに金が集まる、という世界だ。大金持ちは資産の運用先探しに苦労する必要すらない。優秀なファンドマネージャーに任せておけばいいだけだ。


この男性が学生なのか応募した一般人なのかは知らないが、こんな人間が高給官僚になってこの国を実質的に仕切っていくことになるのかも知れないと思うと、頭が痛くなってくる。