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争点不明瞭という策略

今日はいよいよ沖縄県知事選挙の投票日だが、いまいち盛り上がりに欠けると伝えられている。

その理由はもちろん、現職の仲井真氏も「県外移設」を主張していて、伊波候補との違いが不明確になっているからだ。

だが、仲井真氏の言う「県外」が、沖縄の世論に押された結果の妥協に過ぎないことは明らかだ。

琉球新報(11/23)社説

 県内移設を容認・推進してきた仲井真氏は、高まる世論に押される形で「県外移設要求」にかじを切った。「日本全体で負担を負うべきだ」「県内は不可能に近い」。本土を視野に入れた移設による解決が望ましいとにじませる一方、「県内移設反対」の言質を求めると慎重に明言を避けている。

 有権者からは県内に反対と見なされたいが、政府との決定的な対立は避けたいという姿勢に映る。沖縄振興の新たな法整備など今後の折衝を見据え、政府との協議の門戸を開いている。

自らの信念からではなく、県内移設を容認したら選挙に勝てないからそう言っているだけなのだから、状況が変わればまたすぐ主張を変えるのは目に見えている。実際、仲井真氏が当選すれば、来年早々にも辺野古への移設を容認する段取りができているという説さえある。

夜眠れない菅首相が勝負をかける「12月末内閣改造」の勝算 カギを握るのは沖縄知事選の結果/歳川隆雄(現代ビジネス)

 直前のマスコミ各社の情勢調査では両候補は大接戦を演じ、どちらが勝利するかは、それこそ蓋を開けるまで分からない。普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題を争点とする知事選で自民、公明両党は仲井眞氏を支援、民主党沖縄県連や社会大衆党は伊波氏を推している。

 政治的に複雑なのは、官邸と民主党執行部の本音は仲井眞氏再選であり、党内の小沢一郎元代表グループが裏面で伊波氏を支援していることに加えて、選挙期間中に「県外移設」を訴えた仲井眞知事が来年早々に名護市辺野古沖への移設を容認する段取りができていることである。

 即ち、「仲井眞再選」という前提をクリアすれば、菅首相オバマ大統領に対し、日米合意の履行=辺野古沖への移設を自らの責任で実現すると言明できるのだ。と同時に、民主党内に反対論が少なくない「環太平洋パートナシップ協定」(TPP)についても、交渉参加を通告することで国内外に強いリーダーシップを示すことになる。

沖縄の有権者には、こうした策略に乗せられずに正しい選択を行って欲しい。