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ヤクザに教えを乞うべき人々

震災発生直後から、「朝鮮人」や「支那人」がレイプや強盗を行っている、というデマがネット上を飛び交っている。

Togetterでまとめられた「地震のどさくさに差別をたれ流す人々」など、読んでいるだけで吐き気がしてくる。中には「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んでるから気をつけろ」などという、関東大震災のときの流言飛語とほとんど同じものさえある。

こうした人々の頭の中は、88年前から一歩も進歩していない。いや、当時はまず官憲によるデマの流布があり、それが民衆の中に広がったのだが、今回はそんな前提条件もないのに自発的にデマを振りまいているのだから、むしろ退化していると言っていいだろう。

自らは安全な場に身を置きながら、被災地で苦しむ人々に恐怖と偏見を振りまく愚かな連中。「日本から出ていけクソ朝鮮人!!」とかわめいているこういう連中こそこの国から出ていって欲しい。いるだけで迷惑なのだ。

 

阪神淡路大震災のときもそうだったが、極限状態の被災地では、人は助け合わねば生きていけない。実際の現場で起こっているのはこういうことだ。

朝鮮新報(3/21)

東日本大震災 宮城県対策委員会、地域の住民に炊き出し

 

助け合いの精神で乗り切ろう

 総連緊急対策委員会宮城県本部が、同胞が避難生活を送っている東北朝鮮初中級学校の周辺に住む日本住民のために、20日12時から仙台市立八木山中学校の運動場で炊き出しを行った。

 同対策委員会では、東日本大震災発生後、各地の総連組織、同胞から寄せられた救援物資でまかなわれた豚肉ミソ汁やおにぎり、キムチ、牛乳など400食を地域の住民にふるまった。炊き出しには、朝青メンバー20余名をはじめ東北初中の教員、食堂担当者、活動家が参加した。

 東北初中のテントを張り、「みんなでがんばろう 八木山住民支援炊き出し」と書かれた横断幕を広げた炊き出し場では、12時前から近所の大勢の日本住民の行列ができた。

 太白区若葉町に住む半田茂さん(60)と絹江さん(60)夫婦は、隣の人からこの炊き出しの話を聞いて駆けつけたという。娘と3人暮らしという半田さん夫婦は、「我が家にもまだ水道やガスが入ってこない。今は住民の情報を交換しながら必要な物資を購入したり、1台の乗用車に相乗りして燃料を節約するなど、お互いに助け合いながら暮らしている。このような大変なときに朝鮮の人たちが地域住民のためにおいしい食べ物をふるまってくれてとても感謝している。元気付けられた。これからも支援を続けてほしい」を語った。

 八木山中学校の同窓生同士という及川育美さん、郡司詩穂さんは仙台市内の高等学校を卒業したばかりで、4月からそれぞれ県内の大学に通うことになった。しかし、まだ安否が確認できていない高校の同窓生もいるという。

 歩いて給水を受けにいく途中、宣伝カーの炊き出しの案内を聞いたという両人は、「スープもおにぎりも、キムチも本当においしかった」と口をそろえ、満面に笑みをたたえた。

 お隣の夫人と一緒に駆けつけたという中野富子さんは、「久しぶりに温かいスープをご馳走になった。体が不便なため、家にいる夫の分まで頂いて帰るところだ」と、喜んでいた。

 現場の実務責任者だった東北初中の崔志学教員は、「住民が喜ぶ姿を見て、われわれもやりがいを感じた。こんなときこそ、互いに助け合って困難を乗り越えていくべきだ」と感想を述べた。

 後に、八木山中学校を訪れたある住民から、東北初中に感謝の気持ちを伝える電話がかかってきたり、TBC(東北放送)は、この日の炊き出しの光景を放送するなど、現地での反響は大きかった。

 対策委員会は、地域住民のための炊き出しを1回きりではなく、今後も続ける予定だという。


日刊イオ(3/23)

 阪神・淡路大震災のときに、朝鮮学校が避難場所となり、同胞と日本人が助け合いな がら避難生活を送ったように、東日本大震災でも同じ光景が見られる。日本各地から集 められた支援物資は、同胞たちだけのために使われているのではない。逆に、日本人の心のこもった支援物資が避難生活を送る同胞たちの心や身体を癒していることであろう 。

 日本のマスコミが伝えるのは、ほとんど日本人被災者のことだが、当然のことに、在日同胞をはじめ、少なくない外国人が震災に遭い日本人と共に苦しい避難生活を送っている。もっとその部分にもスポットを当ててもらいたいと思う。

 

別エントリで紹介したトリビューン・ド・ジュネーブ紙の記事では、救援活動に取り組んでいるヤクザがこう語っていた。

「今はヤクザもカタギも外国人もない。みんな助けあわなきゃあかんのや」と。

人道主義や助け合いについてヤクザに教えを乞わねばならない、哀れな日本人が多すぎる。