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日本という国の根本的欠陥

福島第一原発での重大事故の発生を受けて、ドイツは脱原発に本格的に舵を切った。

真っ当な政府による真っ当な政策判断である。

薔薇、または陽だまりの猫さん経由International Business Times

2011年3月24日 12時56分 更新

ドイツ、「核の時代」終焉へ-再生エネルギーに変遷

 

 ドイツは、原子力を禁じる初の先進国になる予定だという。AP通信が伝えた。

 ドイツは石炭など安価だが環境を汚す資源から、環境にやさしい再生可能エネルギー利用への変遷をかかげ、再生可能エネルギーに積極的に投資してきており、環境税などもさまざまな種類のものを設けている。この変遷は当初、25年かかる計画だったが、メルケル独首相は、地震津波被災した福島第一原子力発電所の状況を見て、同計画を早める方針を決めた。

 ドイツ政府では2001年、原子力発電の利用を2021年までに止める方針を打ち出していた。メルケル政権は、その計画を12年先延ばしとしていた。しかし今年3月11日に発生した東日本大震災で、福島原発が深刻な状況に陥ったことから、ドイツ政府は同国内の原子力発電所のインフラ設備を再点検する方針を打ち立てた。

 世界原子力協会のデータによると、ドイツの電力供給のうち、原子力が占める割合は約25%である。日本では約29%、米国では約20%と比較的小規模であるが、フランスでは70%超などとなっており、国によって原子力依存度はまちまちだ。世界全ての国が原子力から離れようとしているわけではない。

 原子力発電所を止める場合、ドイツは代替エネルギー源を確保するために少なくとも1500億ユーロ(約17兆円)の投資が必要となってくる。ドイツ政府によると、昨年、同国政府が再生可能エネルギー分野に投資した金額は260億ユーロ(約3兆円)を超え、これによりおよそ37万人の雇用を守ったという。

 ドイツは電力供給の17%を再生可能エネルギーで、13%を天然ガスで、40%以上を石炭でまかなっている。同国の環境相によると、今後10年間で、再生可能エネルギーの占める割合は40%に上昇する計画を立てているという。

日本の原発震災から学んでいるのは、ドイツのような環境先進国ばかりではない。たとえば原発の導入を予定していたタイもその計画を見直している。

読売新聞

タイ、原発計画撤回検討…首相「リスク明確に」

 

 【バンコク=若山樹一郎】タイのアピシット首相は24日、読売新聞など日本メディアと会見し、2020年からの原発建設計画について、「(福島第一原発)事故で原発のリスクがより明確になったうえ、運転コストも高まると予想される」と述べ、計画の撤回を検討していることを明らかにした。

 タイ政府は、経済成長に伴う電力需要増に対応するため、20年から5年間で、同国初となる原発5基の建設を計画していた。首相は事故後、エネルギー当局に「原子力に依存しない代替プラン策定を指示した」とし、エネルギー源の多様化のため、「クリーン石炭発電など、今後の技術革新を注視していく。2年以内に結論を出す」と述べた。

(2011年3月24日23時58分  読売新聞)

 

一方で日本はどうかと言えば、情けないことにこの体たらくだ。

kojitakenの日記さん経由オルタナ

与謝野「原発は必要」に批判噴出

 

与謝野馨経済財政担当相が3月22日の閣議後の会見で福島第一原発事故について「将来も原子力は日本の社会や経済を支える重要なエネルギー源であることは間違いない」と語ったことを巡り、各方面から批判が噴出している。

与謝野氏はこの発言で「日本は環太平洋火山帯の上に乗っている国だから(地震が多いという)運命は避けられない」と話し、今後も日本に原発は必要との立場を示した。

これに対して環境エネルギー政策研究所の飯田哲也代表はツイッターで「このとんでもない人災を運命として受け入れろというのか」と厳しく批判。福島第一原発では、11日の東日本大震災直後の国および東京電力の初動対応の甘さが、炉心溶融や水素爆発、多量の放射性物質の漏えいなどにみられる被害の拡大をもたらしたとの指摘がある。また、映画「選挙」「精神」で知られる想田和弘監督もツイッターで「与謝野、即刻辞めてくれ。永遠に」とこき下ろした。

(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年3月23日

地震が日本の運命であるのなら、地震共存できない技術は採用できない、というのが科学的(というより論理的)思考。論理的にモノを考えることすらできない人物が経済財政担当相という地位にいるわけだ。

北海道新聞

原発津波に耐え素晴らしい」 原子力行政「胸を張るべきだ」 経団連会長が発言(03/17 10:55)

 

 日本経団連米倉弘昌会長は16日、東京都内で記者団に対し、福島第1原発の事故について「千年に1度の津波に耐えているのは素晴らしいこと。原子力行政はもっと胸を張るべきだ」と述べ、国と東京電力を擁護した。米スリーマイルアイランドの原発事故を上回る重大事故との見方が強いだけに、発言は波紋を広げそうだ。

 米倉会長は事故は徐々に収束の方向に向かっているとし原子力行政が曲がり角に来ているとは思っていない」と発言。「政府は不安感を起こさないよう、正確な情報を提供してほしい」と話した。

 一方、日本商工会議所の岡村正会頭は同日開かれた定例会見で「放射能の放出は、国民が最も不安を抱く。正確かつ迅速な情報提供を望む」と要望。その上で「原発の建設基準を向上させるしかない。見直しの期間だけ、(建設が)延伸されることは当然起こりうる」と述べ、今後もエネルギー供給の一定割合は原発に依存せざるを得ないとの認識を示した。

今回の津波は「千年に1度」などではない。1896年の明治三陸大津波では今回をはるかに超える38.2m、1933年の昭和三陸地震でも28.7mの津波を記録している。事実を事実として認識できないようでは、経団連会長どころか中小企業を経営する資格もない。

 

日本という国の根本的欠陥は、一度始めてしまったことは、間違いと分かっても止められないことだ、とよく言われる。

実際、先の大戦もそうだった。日中戦争が泥沼に陥り、その失敗が明らかになっても路線修正ができず、勝算も立たないままアジア太平洋戦争に突入して、予想通りに破滅的な敗戦に至った。

チェルノブイリに次ぐレベル6の重大事故という実物教育を受けながら、それでも既定路線が変えられないというのは、与謝野や米倉の頭が大戦当時の大本営参謀レベルであることを示している。辞めさせない限り何度でも同じ過ちを繰り返し、反省もしなければ責任も取ろうとしない連中だ。

こういう愚か者どもが政界や経済界にのさばっている限り、この国の再生などあり得ない。