読む・考える・書く

マスコミやネットにあふれる偏向情報に流されないためのオルタナティブな情報を届けます。

「よそ者」には恩を仇で返すのが美しい日本の伝統文化

別エントリーでも書いたように、今回の東日本大震災でも阪神淡路大震災のときと同様、朝鮮学校が避難場所や住民支援の拠点として活躍している。

仙台市八木山にある東北朝鮮初中級学校でも、全国の在日有志や総連組織から送られた物資を使って、周辺住民への炊き出しなどを行った。もちろん、そこには在日か日本人かなどといった別け隔てはなかった。

 

この大震災で、東北朝鮮初中級学校自身も無事だったわけではない。校舎は倒壊の危険があるためもう使えず、新学期は寄宿舎を仮設校舎としてスタートしたそうだ。

その東北朝鮮初中級学校に対して、宮城県は今年度の補助金を交付しないという。なるほど、これが朝鮮学校による救援活動への県当局からの回答というわけだ。

 

在日は、日本による植民地支配の結果としてこの国に来た朝鮮半島出身者とその子孫であり、すでに6世まで生まれている。しかし日本政府は、たとえ何世代この国で生まれ育っても彼らに国籍を与えず、民族教育を受ける権利も認めないできた。朝鮮学校という存在自体、同じ国土で共に生きる少数民族である在日朝鮮人に対して、公教育の場で民族の言葉や歴史を学ぶことを政府が拒絶してきた結果とも言える。

 

100年以上にわたって差別し、抑圧し、時にはあからさまな虐殺までしてきた在日に対して、いまだに謝罪も反省もないばかりか高校無償化除外や補助金拒否といった仕打ちを続ける日本という国は、いったい何なのだろうか。

 

日刊イオ

テレビを見ればわかる通り、被災地へエールを送るCMがたくさん流れています。

私の家の近所のスーパーの入り口には、「がんばろうニッポン!」と大きく貼紙が貼ってありました。

何万という死者・行方不明者がいて、まだまだ過酷な環境で避難生活を続けている方が何十万といらっしゃる中、日本中のたくさんの人たちが引き続き被災地に関心を持ち続け、何か一つでもできることをやっていかなければならないんだと、本当に思います。

 

ですが、3月31日、宮城県が新年度の東北朝鮮初中級学校への補助金を交付しないことを決めたという驚くべきニュースを耳にしました。

 

こんな状況の中で、こんな決定しか出せないのかと、正直本当に悲しかったです。

東北初中の関係者たちが、日本の友人たちのために炊き出しを行ったその姿を、県の当局者たちは知らないのでしょうか。

現在、日本政府は昨年11月に朝鮮半島で起こった「砲撃事件」を理由に「高校無償化」をいまだ朝鮮学校に適用しないでいますが、県は別にそんな国の姿勢にならう必要はなく、独自の判断で朝鮮学校に対する施策を講じればいいのではないでしょうか。

 

テレビで芸能人らが、「日本の力を、信じてる」と繰り返していますが、
それよりもまず、「日本の良識を、信じたい」と言いたいです。
(里)

 

いま、こんな言葉を聞かなければならないことを、本当に悲しく思う。

この国では、「よそ者」とレッテルを貼った相手には恩を仇で返すのが伝統文化なのだろうか。