チェルノブイリ原発事故から10年後の1996年に放映された『チェルノブイリ原発事故 終わりなき人体汚染』。
よく知られている子どもの甲状腺ガンはもちろん、出産異常、妊婦の染色体異常と新生児の先天性障害の増加、免疫力の低下による頭痛や疲労感などの様々な慢性症状の蔓延など、汚染地域の住民を襲う長期被曝の脅威が克明に描き出されていく。
とりわけ衝撃的だったのが、事故の後処理を行った作業員(リクビダートル)たちに多発する脳神経障害である。
言語障害や記憶力・思考力の低下といった症状を訴える作業員たちの脳は萎縮しており、神経細胞が死滅しつつあることが明らかになってくる。ストレス性の精神症状などではなかったのだ。
ラットに放射性物質を混ぜたエサを与える実験により、放射性物質が脳に蓄積し、徐々に神経細胞を殺していくメカニズムも判明する。神経細胞は一度死んだら再生しないし、脳内に入り込んだ放射性物質を排除する手段もない。要するに、治療法も、進行を食い止める手段もないのだ。
さらに、汚染度が低いために問題はないと思われていた一部地域でも、人々の体内に多量の放射性物質が蓄積されており、様々な健康障害を引き起こしていることが判明する。粘土分が少なく、粒の粗い泥炭を主体とする土壌だったために、放射性物質が植物に吸収されやすく、牧草を食べる牛から人間へと濃縮されていったのだ。
15年前、日本人はこのドキュメンタリーを遠い旧ソ連の地で起こった他人事として見ていた。
いま、それが我々自身の未来として目の前に突き付けられている。
まさに必見の映像です。
「日々坦々」さんのこちらのページ(パート1、パート2)には書き起こし付きで掲載されているので、時間のない方はそちらをどうぞ。
【追記】5/8
こちらにも詳細な書き起こしがありました(Peace Philosophy Centre)。