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やっぱりペテンだった電力不足キャンペーン

zaraさんとこ経由でzakzakニュース(6/29)

東電が公開しない“隠し電力”とは…アテにならない「でんき予報」
2011.06.29

 

 東京電力は7月1日から、電力の使用状況を数段階に分けて予測する「でんき予報」を始める。電力の供給力に対する使用実績(使用率)をほぼリアルタイムに数値化し、翌日のピーク時供給力を予測するもので、ニュース番組やネットなどを通じて節電を呼びかけるが、どこまで上昇したら“危険水域”なのかは実は判然としない。そもそも100%に達したら、どうなるのか。

 

 そこで、元東京農工大教授(電力システム工学)で日本クリーンエネルギー総合研究所理事長の堀米孝氏に聞いた。堀米氏は「停電の可能性はゼロではない」としつつも、こう話す。

 

 「理論上は、需要が供給を上回った時点から電圧、周波数が下がり始め、発電、輸送双方が正常に作動しなくなり、停電のリスクは高まります。ただし、もともと『でんき予報』のピーク時供給量は余裕を持った数値であるうえ、夜間の余剰電力を利用した揚水発電の数値は供給量の中にほとんど含まれておらず、100%で即停電とは極めて考えにくい

 

 東電の「供給力」には実は十分な余力があるというのだ。

 

 「しかも、東電にはまだ『供給力』に含んでいない、いわゆる“隠し電力”もあります」(同)

 

 これは、東電の最大供給力7769万キロワット(2009年度末実績、他社受電分を含む)から、福島第1、第2原発の出力約900万キロワットを差し引いた6869万キロワットとの差分のこと。東電は、これまでホームページで公開していた電源別の発電実績資料を削除しているが、計算上は供給電力に十分な余裕があるとみられる。

 

 実際、東電関係者は、「公開している『本日のピーク時供給力』は、東電が決めた目安に過ぎず、本来の供給力とは関係ない。節電意識を促すために恣意的に下げていると指摘されても仕方がない」と内情を明かす

 

 経済アナリストの森永卓郎氏は、「東電によると、ピークを迎える8月までに500万キロワット程度上積みできることになっています。従って、先週の猛暑程度であれば、十分に乗り切れるわけです。節電よりも体のほうが大事ですから、暑いと思ったら、迷わずエアコンを使ったほうがいいですよ」と語る。

 

 関西電力など他の電力各社も「でんき予報」を始め、ピーク時には「需給逼迫警報」を出すというが、この数値をもとに過度の節電をして体調を崩したり、高齢者が“節電死(=熱中症死)”するような事態に至っては元も子もない。

 

原発を止めても発電能力不足による危機的状況になどならないことは、小出裕章氏の指摘(下記)などにより既によく知られているが、やはり電力不足キャンペーンはペテンだったことが改めて確認された。

・(そうすると、本当に脱原発はできるのですか)簡単にできます。今現在原子力発電所が2割を占めているのは本当。だが水力発電所と火力発電所は膨大にあるが、ほとんど止めている現実がある。日本で動いている原子力発電所をすぐ止めたとしても水力発電所と火力発電所で十分にピーク電力はまかなえる。ただし、そのためには揚水式の原子力発電所をピークの時に動かせるように用意しなくてはいけない。今現在老朽している火力発電所も運転できるようにしなくてはいけない。

 

原発安全神話福島第一原発事故によって決定的に崩壊した後、原発利権を維持するための次の切り札として使われてきたのが「原発は安価」キャンペーンだった。

そして、これもまたインチキな神話にすぎなかったことが大島堅一氏によって暴露されると、次に持ち出されてきたのが「原発がないと電力不足で大停電」キャンペーン。

しかし、やっぱりこれもウソだった。

 

徹頭徹尾、ウソと隠蔽、ペテンに恫喝。バレてもバレても同じことの繰り返し。

それが骨絡みに染み付いた原発利権ムラの体質というものなのだろう。