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雁屋哲氏のブログが近々再開

 

雁屋哲氏のブログが、名前を変えて近々再開するとのこと。

3.11福島核惨事の後、膨大な量の罵倒中傷を浴びせられて休止に追い込まれて以来、およそ4か月ぶりの再開ということになる。

 

私は『美味しんぼ』での食に関する彼の主張には必ずしも賛成しないが、今回の原発事故に関して彼が書いてきたことは高く評価する。実際、大震災翌日の段階で、既に雁屋氏はここまで書いているのだ。(記事は休止時点で削除されていてもう読めない。以下の文章はGoogle Readerに取り込んでいたフィードから再録した。)

 

雁屋哲美味しんぼ日記(3/12):

東北地方を中心とする大震災で罹災された方々にお見舞い申し上げます

 

 東北地方を中心とする大地震でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げます。

 また、被害に遭われた方々に、心からのお見舞いを申し上げると同時に、どうか心を強く持って、頑張って下さるようお願い致します。

 …

 私は地震の知らせを聞いた時にすぐに原発は大丈夫かと、そっちの方に頭が行った。

 案の定だ。

 福島第一原発の冷却水が止まって、原子炉の冷却水が回らなくなり、炉のが高くなり、破裂寸前だという。

 NHKに出て来た東大教授は、如何にも何でもない軽微な事故のように言うが、これが軽微だったら重篤の事故なんて物はない。

 冷却水が止まったら原子炉がどうなるのか、原力工学のイロハを知っていれば分かることだ。

 中央制御室内の放射能の値が既に通常の1000倍になっていると言う。

 その大学教授は、防護服を着て制御の作業に当たれば何でもないといった。

 

 おっさん、気は確かか。防御服を着て制御するなんて、ジョーク以外の何物でもないだろう。

 中央制御室は原子炉から離れたところにある。そこの室内の放射能の値が1000倍になったと言うことは、既に、原発敷地内全てが1000倍の放射能に汚染されているということだろう。

 放射能は、敷地内に留まるような行儀の良い奴ではない。

 とっくに、周辺に拡大しているだろう。

 この先、冷却装置が回復せず、原子炉を冷却することが出来なくなったら、どうなるのか。

 

 1号機は、沸騰水型原子炉である。

 沸騰水型原子炉とは、炉心の周りに水を流して、その水を炉の熱で沸騰させて蒸気にしてタービンを回して発電する、と言う構造になっている。

 その炉心の周りに流すのが冷却水だが、その冷却水が補給されなくなったら、原子炉での核分裂反応は止まるが、原子炉の運転には関係なく、燃料棒の中の様々な不安定な原子核を持つ物質は崩壊してより安定な元素になって行き続けている。

 崩壊する時に熱も放射線も出す。

 その時出る熱を崩壊熱と言うが、崩壊熱は、原子炉を運転していようと止めていようと、そこに不安定な核を持つ物質がある限り発生する。

 で、冷却水が無くなってしまうと、崩壊熱の逃げ場が無くなり、燃料棒の集合体は短時間の内に数千度にまで達し、溶けて落ちる。

 これが、あの恐るべき炉心が溶けてしまう、メルト・ダウンなのだ。

 この、崩壊熱で溶けた燃料が水に触れると水蒸気爆発を起こす。

 これが、原子炉格納容器を爆発させたら、チェルノブィリ以上の事故になる。

 …

 もう、われわれは、幸運を祈るしかない。

 なんとか、冷却水が間に合うように、神を信じることの出来る人は神に祈って下さい。

 私は無信仰だから、しっかり事態を見届けるしかない。

 

 しかし、はっきりしておきたい。

 地震は天災である。

 だが、原発事故は人災である。

 過去の自民党政権の遺産である。

 自民党の現議員たち・前議員たち・元議員たち、総出で福島冷却水問題に当たれ。

 本当に国を思って原発を建てたのなら、今こそ自民党人柱隊を作って福島原発に突入せよ。

 今の民主党政府の取り組み方を批判する資格はお前たちにはない。

 分かっているのか、この、腐れ自民党どもが!

 貴様等の悪政が今の悲劇を招いているんだ。

 

炉心溶融メルトダウンが始まった 

 

 ついに、福島第一原発で、核燃料が溶け出した。

 

 原発側は、一生懸命冷却作業を続けていたが、第1号機周辺でセシウム137が検出された。

 これは、燃料棒が既に溶け始めたということである。

 福島第1原発1号機の原子炉容器内の水位が下がり、燃料棒の一部が最大90センチ露出し損傷している可能性のあることを明らかにした

 これは、手も足も出ない状況ではないか。

 さらに、ふつう、燃料溶融・メルトダウンだけでは放射能が外部に出ることはない。

 この段階でセシウムが外部に出たと言うことは、メルトダウンだけでなく、原子炉を格納している容器自体が破壊されしまったと言うことではないか。

 

 冗談じゃない。

 ついに最悪の事態に突入してしまった。

 これは、えらいことだ。

 当分テレビから目を離せない。

 ああ、あまりにひどい画面を見せられ続けて、心がちぎれる思いだ。

 

 私のオーストラリア人の友人は電話をかけてきてくれたはいいが、電話口で、「テツヤ、テツヤ、オオ、テツヤ」と泣くばかり。

 本当に私も発狂しそうだ。

 これ以上悪いことが起こらないように、祈るだけだ。

 

もちろん、氏は原子力工学の専門家ではないから、中には間違ったことも書いている。

しかし、事故後連日テレビに出て事故矮小化デマ、安全デマを振りまき続けた「専門家」連中などと比べたら、この程度の間違いは問題ではない。雁屋氏と、かれを罵倒していた側と、どちらの言い分が全体として正しかったかは、今となっては明らかだろう。

 

再開予告の文章も一部引用しておく。

 

雁屋哲の美味しんぼ日記(7/20)

再開予告

 

長い間、お休みしていましたが、ブログを近々再開します。

ただ、これまでは「美味しんぼ日記」と言う名前でしたが、日記に書く内容が全然「美味しんぼ」と関係ないではないかと言うご意見も強くあったので、題名を「雁屋哲の、今日もまた」に変更します。

 

2)放射能汚染された福島産の肉牛が7月19日現在、700頭以上が出荷され、そのかなりの部分がすでに市場に出回っている事が明らかになった。

おかげで、牛肉を敬遠する人が増え、焼き肉店も窮地に陥っているという。

 

私は、政府の、福島産の肉牛に対する態度が理解できない。

一体何を考えているのか。

 

BSE(いわゆる、狂牛病)問題の際、日本はアメリカに、肉牛の全頭検査を要求した。

ところが、今回、福島の肉牛に対しては全く検査をしなかった。

その結果、最終段階の消費者の口に入るところで、放射能汚染が確認されて、大問題になった。

BSE問題の時に、アメリカに全頭検査を要求しておきながら、当然問題が出ると思われる福島の肉牛に対して何の処置も取らなかった、不合理で自分に都合の良いように基準を決める日本の態度は、全世界的に大きな問題になるだろう。

 

すでに、シンガポール、イタリアなどでは、日本からの食品に対して輸入禁止処置を取っている。

私はこれまで、そう言う外国の態度を「愚かな風評に惑わされている」と馬鹿にしていたが、今回の肉牛に対する政府の態度を見ると、シンガポールやイタリアは正しかったと言わざるを得ない。

放射能汚染食物に対する処置が、こんなにいい加減な国から、誰が食べ物を輸入するか。

こんな国からの食物の輸入を禁止した国に対して我々が何を文句が付けられようか。

 

一番の被害者は、福島県の肉牛肥育業者である。

彼らは、牛に与える乾し藁の放射能問題を県などから何も聞いていないと言う。

それが、いきなり、「あんたのところの牛は放射能汚染されているから出荷停止」と言われたのだ。

こんなめちゃくちゃな話があるだろうか。

普通の肉牛肥育農家にとって、乾し藁と放射能汚染の関係など、考えもつかない事だ。

それも、当然の事で、肉牛肥育農家は放射能汚染などと言う事自体、今まで経験もした事がないので、乾し藁を餌として与える事の危険性など想像も出来なかった事だろう。

 

事実は違う、農水省などは、ちゃんと乾し藁の放射能問題を掴んでおきながら、それをきちんと、各個別の肉牛肥育農家に伝える事を怠っていたのだ。

もし、早めに、乾し藁の放射能問題を個別農家に伝えておけば、農家も肉牛に乾し藁を与える事は無かっただろう。

そして、もし早めに、個別の土地の肉牛の放射能汚染が検知できていれば、その個別の場所の肉牛を出荷停止にせざるを得ないが、安全な肉牛は他の土地には当然あるので、福島県全体の肉牛の出荷停止と言う事にはならなかった。

 

怠慢なのか、問題を起こしたくないという隠蔽体質なのか、農水省は大事な肝心の情報を個別肉牛肥育農家に伝えず仕舞いになった。

その結果、汚染した肉牛だけでなく、被害は福島全県の肉牛に広がり、ひいては消費者の牛肉離れを引き起こし、社会に大打撃を与えた。

そして、世界的に、日本の食べ物に対する信用は失われた。

これから、日本の食品の輸入を禁止する国が増えることは予想される。

 

本当に我々日本人は愚かすぎないか。

原発事故も、既に人災による事が明らかになっている。

今回の福島県産肉牛の問題も明らかに、農水省の役人共による人災である。

原発を監督する経産省、食品を監督する農水省、これらの官庁の役人共にはその責任を厳しく取らせる必要がある。

 

こう言う役人共の頂点は、国家公務員試験などを高得点で通過した試験秀才たちである。

先の大戦で日本を破滅に追いやったのは、高等文官試験の高位合格者の官僚たち、陸軍大学を優秀な点数で卒業した軍官僚、いわゆる試験秀才ばかりだった。

試験秀才は、模範解答のあるような問題には上手く対処する。

それは当たり前だ、採点する方はその模範解答に合わせて点を付けるのだから。

そんな試験で高得点を取ったからと言って、それが実用になるか。

試験秀才は、模範解答にないような未知の問題に遭遇すると何の力も発揮できない。

日本が戦争に突入したのも、惨めな負け方をしたのも、全部その試験秀才たちのおかげである。

かれらは、生き物であり、模範解答の存在しない現実の動きに対処する能力がなかったのだ。

 

現在、軍官僚は存在しない。

いるのは、財務省経産省農水省などの官僚である。

この20年間、日本の経済を衰退させ続けて来た財務省経産省の役人共は、戦前の内務官僚、軍官僚同様の試験秀才でしかなく、実際の未知の事態に対応する能力はない。クズであることを示した。

 

今回、原発の事故で,経産省の役人共のクズさ加減が更にはっきりした。

それに加えて、今度の福島の肉牛問題である。

農水省の役人共もクズだ。

 

経産省農水省もその頂点にいるのは東大法学部出身者だ。

日本経済のバブルがはじけて、国民全部が苦しんでいる最中に「なんとかシャブシャブ」(なんとか、のところに入れる言葉は知っているのだが、流石に私はこのページではその言葉は書けない。)でお馬鹿な接待を受けていた事件の時にも、当時の大蔵省のトップの人間達が関わっていて彼らが全員東大法学部の出身者だった。

前にも書いた事だが、一つの大学の一つの学部でこれだけ日本の社会に害をなしているところは他にない。世界中見回しても、こんな大学、こんな学部はない。

 

東大法学部の教育方針に決定的な欠陥があるに違いない。

東大法学部は廃部にするべきである。

それが出来なかったら、東大法学部出身者は官僚として採用するべきではない。(明治以降の官僚育成政策から、必然的に東大法学部と言う物が生まれたのだし,東大法学部あってこその日本の官僚制度なのだ。となると、日本という国のあり方まで、問題になってくるね)

 

ええと、再開予告のはずが、何だかまた物議を醸し出しそうな内容になってきましたが、まあ、私はこんな人間なので、仕方がないですね。

 

ちなみに、官僚だけでなく国会議員自民党(元を含む)を中心に東大法学部卒が主流だ。

まったく、これほど大量に犯罪者・殺人者(しかも処罰されない)を輩出してきた大学は他にない。