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元米国国防総省高官すら危惧する秘密保護法案のデタラメさ

 

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   秘密保護法で得をするのは官僚だけ

 

共同通信が、米国の核戦略の専門家で国防総省や国家安全保障会議(NSC)の高官を歴任したモートン・ハルペリン氏(75)へのインタビューを掲載している。

9.11同時多発テロ後のパニックに乗じて作られた米国の秘密保護法制は、世界基準「ツワネ原則」から見ればひどいものだ。その米国の現場を体験してきたハルペリン氏の警告は、安倍政権が無理押しする「秘密保護法案」がどれほど劣悪かを的確に示している。

 

共同通信(11/23)

【秘密保護法案、国際基準を逸脱】 米政府元高官ハルペリン氏  秘密多いと管理困難に 

 

 ―法案の問題は。

 「世界の基本原則では、政府が持つ情報はその国の市民のものだ。安全保障など特別な目的で情報の秘匿は可能だが、非常に狭く精密な限定をかけねばならない」

 「運用には司法の監視が必要で、開示による公益が勝る場合は秘密にできないという決まりも要る。法案にそれらの規定が全くない。秘密指定が解けた後に廃棄されれば『情報の所有者は国民』の原則に反する」

 ―秘密を漏らしても公益になる場合とは。

 「好例がペンタゴン・ペーパーズ事件だ。(国防総省の機密書類が漏えい、報道され)米国がどうやってベトナム戦争に入ったか米国民に知らせた」

 「(自らが担当した沖縄返還交渉の)日米核密約も日本国民には知る権利がある。開示に不都合があるとすれば、日本国民が政府に政策を変えろと言い出すことかもしれないが、民主主義なのだからそれは物事を隠す理由にならない」

 ―米政府当局者としての経験からは。

 「秘密を指定しすぎると真の秘密を保護するのが実は難しくなる。どこにでも『最高機密』と書かれているのに慣れてしまい、本当に重要なものが分からない。真の秘密を保護する立場からも、秘密の大量指定につながる制度は間違いだ」

 ―法案は「知る権利に配慮」「著しく不当な方法でなければ取材行為は処罰しない」とした。

 「漠然としすぎて用をなさない。情報を秘密指定できる条件を具体的に定め、公益が勝れば秘密にできないと規定し、国民が異議を申し立てる監視機関を置くことが必要。そうでなければ、美しい言葉の条文があっても、政府は秘密にしてはならないものを次々に秘密指定する」

 

秘密保護法案を作った官僚たちは、実際にこんな代物の運用を始めたらどういう結果になるか、理解しているのだろうか?

とてもそうとは思えない。

一つだけはっきりしているのは、こんな稀代の悪法がどれほど悲惨な事態を引き起こしたとしても、彼らは決して責任を取らないということである。