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秘密保護法で得をするのは官僚だけ

 

関連記事: 秘密保護法案に断固反対

 

斎藤美奈子氏の秘密保護法案に関するコラムが鋭い。

 

東京新聞(11/6):

官僚国家への道

 

 今国会で政府が成立をもくろむ特定秘密保護法案。私が中央官庁の官僚だったら、今頃、マヌケな政府・与党をせせら笑っているだろう。おめでたいことに、彼らは自分が「秘密を握る側」に立つと信じているのだ。

 国会議員の仕事のひとつは行政のチェックである。そのため議員から資料請求があれば省庁は必要な情報を出す。秘密法案が通ったら、この流れが滞る。情報を持たない議員は議事堂の飾りも同じである、ワハハ。

 自民党も例外じゃないもんね。政権交代が可能な選挙制度の下では与野党がいつ逆転するとも知れず、下野した日からすべての党は蚊帳の外に置かれるのだ、ワハハ。

 では行政府の長である閣僚などの政務三役に情報は渡るのか。んなわけないでしよ。福島第一原発の事故の際、SPEEDIの情報が官邸に上がらなかったように、現在でも官庁が秘匿している情報はいくらでもある。まして情報を漏らした公務員には懲役刑という罰則が待っているのだ。私が官僚だったら、怖くて何も出さないよ。閣僚がごねたら「大臣、それは特定秘密ですが」。

 結果、憲法六二条の国政調査権は機能せず、国会の茶番劇化はもっと進み、日本は官僚のシナリオ通りに動く国家になるだろう。行き着く先は民主主義の死。侵害されるのは「国民の知る権利」ではなく「国民主権」なのだ。  (文芸評論家)

 

一つだけコメントすると、斎藤氏は「私が官僚だったら、怖くて何も出さないよ」と言うが、官僚は何も怖くなどないと思う。いま以上に、「何も出さない」で済ませるための恰好の口実ができるのだ。これほど有り難いことはないだろう。

既に41万件が指定されることになっているという特定秘密。そのすべてを首相や各省庁の大臣・長官が内容を理解して秘密指定することなどできるわけがない。当然、ごく一部の「特に重要な」ものだけチェックすることになるが、何を政治家にチェックさせるかも、その際どのような「ご説明」をするのかも、事務方の官僚が決めるのである。

秘密保護法は、官僚の、官僚による、官僚のための法である。議会制民主主義の自殺に等しいこんな悪法の制定に邁進する与党と似非野党の国会議員連中の愚かさは、まったく底知れない。