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安倍晋三はどこまで行くつもりなのか?

『マスコミ市民』7月号に、精神科医の香山リカさんによる安部首相の分析[1]が載っている。なかなか面白いので、要点を抜き出してメモしてみる。

 

 安倍はなぜ人の話を聞かないのか?

 また、自民党が大勝し、その後、安倍さんが総理大臣になることになる2012年の総選挙の直前に、元航空幕僚長田母神俊雄さんが代表をつとめる「頑張れ日本!全国行動委員会」という右翼系の団体が日比谷野音で「安倍『救国』内閣樹立!」という大きな集会を開きました。そのとき安倍さんは、「日本の国士を守るのは内閣総理大臣」「菅直人は去れ」といった強気の発言をして、会場全体から熱狂的な拍手が送られました。身を置く場所や会場を選べば、自分の発言はこんなに歓迎され、そしてタカ派的な発言をすればするほど熱狂が高まる場があるのだという心地よさを知り、自信の高まりや陶酔感を味わったのだと思います。
 首相になってからは、安倍さんはフェイスブックをフルに活用しました。安倍さんの書き込みに対して数万人の人から「いいね」をクリックされ、一斉に皆が自分を支持する高揚感を味わったのです。そのように、これまで安倍さんが政権に就く前、就いてから、そして今を見ていくと、群衆の全体からの熱狂的な支持によって高揚しそしてさらにラジカルになっていくという繰り返しだったと思うのです。それを維持するためには、自分と違う意見の人と接触するとか議論をして妥協するといったことをしてはならないのです。もしそんなことをしたら、熱狂のうちに支持され、高揚して自信を深め、さらに発言を先鋭化させてまた支持される循環が止まってしまうのです。もう後戻りできない状況になっているのだと思います。

 安倍さんの場合は、理論ではなく情緒的な高揚の連鎖の中で自分が存在しているわけですから、いくら事例をあげて歴史を語って理詰めで話しても無理なのです。先ほど述べましたように、それを聞き入れてしまったり、それに耳を傾けてしまったら、情緒的な高揚が終わってしまうのです。現実的な意見に対して理論的な反論を述べてしまっては、高揚が覚めてしまうことを自覚されているのか、あるいは無意識なのかは分かりません。ただ、理屈で反論するのではなくて、聞く耳をもたないという姿勢を見せることでしか高揚状態を維持していけないことは、ご自身も知っているのだと思います。
 もし、自分の方にも修正の余地があるとか、もしかしたら論理的に破綻しているとか考えてしまったら、それは普通の考えになってしまいますので、フェイスブックでも「いいね」はもらえませんね。強気で反論をシャットアウトするとか、意見を受け付けないといった、そういう安倍さんの自信満々の姿勢を待ち望んでいる一部の群集が、また「いいね」を押すのです。そういう人たちからの支持を得るためにも、普通に話ができる人にはなるになれない状態なのではないでしょうか。

 

安倍は、この国を率いる指導者としての「強い自分」という幻想の中で生きている。その幻想を維持し、酔い続けるためには、意見の異なる者との対話などしてはならないのだ。そんなことをしたら、たちまち虚像は剥げ落ちて、前回政権を投げ出したときのような等身大の自分に向き合わなければならなくなる。

この男には、自分の実像を直視する勇気などない。だから、幻想を維持するためなら何でもするだろう。 小出裕章氏が述べたように、安倍は単なるバカではなく、病気なのだ。それだけに、極めて危険である。

 

 

祖父「岸信介」を乗り越えたい安倍晋三

私の理解としては、安倍さんは祖父の岸さんに対して憧れやシンパシーをもっている一方で御祖父さん以上の人間になりたいという意識が非常に強いのではないかと思います。総理大臣になったという時点で、もうお父さんは乗り越えることができたという気持ちなのだと思うのです。それで、じゃあ今度は御祖父さんということです。おそらく安倍家では、子どもの頃から御祖父さんは偉大なのだということを繰り返し言われてきたのだと思います。「御祖父さんを見習いなさい」とか言われて、「そうだな」と思う反面、反発もあったと思います。「御祖父さんは立派だったのに、あなたは・・・」みたいな言われ方で比較されたこともあったのかもしれません。そういうものに対して、どこか反発のようなものもあって、自分はあの祖父を乗り越えた人間になろうと思っている部分があるのだと思います。
 その一つとして、改憲があるのだと思うのです。総理大臣になったことで父は乗り越えたけれど、祖父は総理大臣をやっているので、それだけでは乗り越えられない。では、祖父を乗り越えるのは何だろうと考えたときに、憲法を変えるということに至ったのかもしれません。それがすごく歪んだ形で現われるなれば、安倍さんは「そんなことは思っていない」とおつしやるでしょうが、戦勝国になるというお考えもあるのかもしれません。岸さんは戦犯として巣鴨にも行った人で、敗戦国の総理大臣だったけれど、自分はもしかしたら戦争をして勝って、戦勝国の総理大臣という地位を得ることで祖父を乗り越えるということもあるかもしれません。凄く個人的な問題ですし、それは表立ってはいないかもしれませんが、無意識の中にはテーマとしてあるのではないかと思います。

 

安倍は母方の祖父である岸信介が大好きで、岸を顕彰したい、岸のようになりたい、という思いが強いと、よく言われる。しかし、どうやらそれだけではなさそうだ。

中国に対して馬鹿げた挑発を繰り返す安倍の姿を見ていると、香山氏の指摘もうなずける。安倍は、中国と戦争をして、戦勝国の総理になりたいのだろう。それがどれほど危険で愚かなことか、この男には理解できない。いや、理解などしたら幻想が消えてしまうから、理解することを拒絶しているのだ。

この男やその同類連中を権力の座から引きずり降ろさないと、日本人はまた地獄の底まで連れて行かれることになる。その時になって「騙された」などと言ってももう遅い。

 

[1] 香山リカ(インタビュー)「群衆の熱狂と「いいね」で高揚する、素朴な情緒で動いている安倍首相」 マスコミ市民 2014年7月号