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カラーネガのデジタル化は待ったなし&GIMPで退色した写真を修復する方法

 

今では余程こだわりのある人でなければフィルムカメラは使っていないと思うが、デジカメに乗り換える前に撮りためたネガやポジを大量に抱えている人はたくさんいるのではないだろうか。

私もその一人で、しばらく前から、そろそろデジタル化しておかないとまずいと焦っていた。今後、フィルムスキャナーの需要は減る一方なので、機能性能の向上は期待できないし、いずれ入手も困難になることが予想できたからである。

そこで、現在新品で入手できる機種を比較検討した結果、EPSON GT-X980を購入した。35mm、ブローニー、4×5インチ、8×10インチのフィルムスキャンに対応したA4フラットベッドスキャナーである。

 

 

コンパクトで読み取り解像度も高いplustekのOpticFilmのようなフィルムスキャン専用機も考えたが、残念なことにこちらは35mmフィルムしかスキャンできない。私の場合、量は少ないがブローニーもスキャンしたかったため、EPSONを選んだ。

結果としてGT-X980には満足しており、レビューも書いてみようと思うのだが、今回はちょっと別の話。

 

スキャナーを購入し、さっそく昔撮ったフィルムをスキャンしてみて驚いたのが、カラーネガフィルムの退色がひどいことだった。

これなどが典型的な例で、全体に黄色がかぶって色褪せてしまっている。撮影したのは1994年10月、21年前である。(写っているのはベネチアのサンマルコ寺院。)

 

 

ネガはネガアルバムに入れて居室の本棚に置いてあり、特に良い保存環境とは言えないが、悪くもなかったはずである。また、これより古いものも含め、ポジフィルムには見て分かるほどの退色はなかった。カラーネガが特に退色しやすいようだ。

調べてみたところ、一本のフィルムの中でもコマによって程度が違い、またフィルムの銘柄によっても違いはあるが、だいたい17~18年前くらいのものから退色が目立ち始め、20年を越えるとかなりひどくなっている。フィルムのデジタル化を考えている人は、手遅れにならないうちに始めたほうがいいと思う。

 

さて、せっかくデジタル化してもこれではどうしようもないので、なんとか修復を試みることにする。GT-X980付属のスキャナーソフトにも退色復元機能はついているが、自動調整だけなので必ずしも意図した結果にならない。そこで、ここではGIMPを使ってみる。

 

GIMPでの退色復元には、まず「色レベルの調整」ツールを使う。

GIMPにスキャン画像を取り込み、画像ウィンドウのメニューから「ツール」→「色ツール」→「レベル」を選択する。

 次に、「レベル」ダイアログの「自動調整」ボタンのすぐ右にあるスポイトボタン(黒色を設定)を選択し、画像の中から真っ黒にすべき点を選んでクリックする。

 続いて、一番右のスポイトボタン(白色を設定)を選択し、同様に真っ白にすべき点をクリック。

これで、指定した2点がそれぞれ真っ黒と真っ白になるよう、GIMPが色調と明るさを調整してくれる。

 

結果はこんな感じ。「OK」を押していったん結果を保存する。

 

だいぶ良くなったが、まだ空に黄色がかぶって、せっかくの青空が黄砂でも飛んでいるような感じになっている。

 

そこで次に、「トーンカーブツールを使う。画像ウィンドウのメニューから「ツール」→「色ツール」→「トーンカーブ」を選択。

 空の黄色味を落とすため、明るい部分で赤と緑のレベルを落としてやる。

 青のカーブの明るい部分は逆に上げて、空の青さを強調する。

ただ、これだけでは全体に青っぽくなりすぎるので、暗い部分は下げて赤・緑と同程度にする。

 

結果はこんな感じで、かなり見られる画像になった。

 

しかし、まだ空に黄色かぶりが残っている。退色は画像全体で均一ではなくムラが生じるため、色の調整だけでは完全な修復はできないのだ。やはり、退色が目立ってくる前にデジタル化するのが一番の正解である。