日本の侵略戦争を正当化したい小林よしのりは、戦争は悪ではなく「政策」なのだと主張する[1]。
当時の軍部は「犯罪」をするために戦争を始めたわけではない
(略)
日本の自存自衛のため
「政策」の延長として戦争という策をとったのだ
戦争は「悪」ではない 「政策」である
政策として湾岸戦争をやったわけで
悪を行ったわけではない
(略)
日本は侵略をした 侵略は悪だろうと言う者もいるが
あの当時はまだ 欧米が先にアジアを侵略して
植民地にしたままの時代だったではないか
戦争はもちろん政策の一環である。しかし、それが政策であるかどうかと、その善悪とはまったく関係がない。人々が安心して暮らせるように労働法制や社会福祉制度を充実させるのも政策なら、安倍政権のように逆にそれらを改悪して弱者を貧困と死に追いやるのも政策である。
だいたい、戦争は「政策」だから悪とは言えない、というのなら、小林が絶対悪として非難する欧米列強の植民地主義だって「政策」である。列強同士の激しい競争の中、それこそ「自存自衛」のため、植民地を囲い込んで排他的経済圏を確立しようとした政策ではないか。小林の「戦争は政策だから悪じゃない」論はここで破綻している。
[1] 小林よしのり 『新ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論』 幻冬舎 1998年 P.34