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民団による「少女像」撤去要請を報じたSankeiBizさんのグッジョブw

韓国・釜山の日本総領事館前に設置された「少女像」(日本軍性奴隷制被害者を象徴する像)の撤去を民団(在日本大韓民国民団)が求めたという件。

ほとんどのマスコミが団長発言から都合の良い部分だけを切り取って報じる中で、なぜか産経系列のSankeiBizが、背景にまで踏み込んだ良い報道をしていた。

SankeiBiz(1/13)

韓国民団が慰安婦像撤去求める 「在日同胞は息を殺して生活」
 
 在日本大韓民国民団(民団)は12日、都内のホテルで新年会を開き、呉公太(オ・ゴンテ)団長が韓国・釜山の総領事館前に設置された慰安婦像について「撤去すべきだというのが、私たち在日同胞の共通した切実な思いだ」と述べた。その上で、一昨年12月の慰安婦問題に関する日韓合意の堅持を訴えた。

 呉氏は日韓合意を「両国政府が苦渋の末に選択した結果で、関係発展のための英断だ」と評価し、会場の拍手を浴びた。その上で「誠実な態度で履行されなければ問題は永遠に解決されない」と強調。「合意が履行されずに再び両国関係が冷え込み、私たち同胞はまたも息を殺して生きなければならないのか」と切々と述べ、「(韓国)国民の冷静かつ賢明な判断と、日本政府の冷静な対処」を求めた。

(略)

記事中で引用されているとおり、日本と韓国や北朝鮮との間で何かがあるたびに在日コリアンはヘイトの嵐にさらされてきた[1]。

 2002年9月の日朝首脳会談で、朝鮮政府が拉致を認めたことを契機とする日本政府の制裁政策と煽動的なマスコミ報道以降、全国の朝鮮学校の生徒や日本の学校の在日朝鮮人の子どもたちへの暴言・暴行が続発し、半年間に判明しているだけで1000件にのぼった。うち四分の三は、「朝鮮人、死ね」「植民地時代に朝鮮人を皆殺しにしておけばよかった」などというヘイト・スピーチであり、残りは民族衣装の制服であるチマ・チョゴリを切る、駅の階段から突き落とすなど、人種主義的動機に基づく有形力の行使を伴う犯罪行為、すなわちヘイト・クライムであった。

それどころか、今や特に何もなくても在特会のようなヘイト集団の暴言・暴行に日常的にさらされる異常な社会になっている[2]。

(略)新大久保ではヘイト・スピーチを聞く苦痛から店舗を閉めた在日朝鮮人の経営者がいたこと、韓国学園の保護者たちが子どもたちにバスや電車で韓国語を話さないよう言い聞かせていること等が報告された。新大久保の韓国ショップは軒並み売り上げが減少したと報道されたが、ある有名な韓国料理店の経営者は昨年に比べ半減したと述べている(『東京新聞』9月29日29面など)。前述の在日朝鮮人女性教員は、2012年、韓国学校の生徒たちが見知らぬ男性から暴行を受ける事件があり、その直後に同校の生徒であった娘さんが下校時に近所の公立小学校の子どもたちから「日本から出ていけ」などと罵られ、家族で娘さんの身の安全のため韓国学校退学の決断をしたという。

まさに、「息を殺して生きなければならない」状態と言える。

日本という国が、何世代にもわたってそこで生活している民族的マイノリティが迫害を怖れて身を縮めて生きなければならないという、人種差別にまみれた異常な国であること。SankeiBizの記事を読めば、日本以外の国際社会ではこのことが直ちに理解されるだろう。

SankeiBizさん、グッジョブであるww
 
[1] 師岡康子 『ヘイト・スピーチとは何か』 岩波新書 P.v-vi
[2] 同 P.56-57

 

ヘイト・スピーチとは何か (岩波新書)

ヘイト・スピーチとは何か (岩波新書)