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追悼・岡留安則氏。そして功も罪もあった『噂の真相』

■ ミスター『噂の真相』岡留安則氏死去

1月31日、元『噂の真相』編集長の岡留安則氏が亡くなった。71歳。肺がんだったという。

ご冥福をお祈りする。

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岡留氏は単に元編集長というだけでなく、自ら『噂の真相』を創刊し、そして最後まで編集長を勤めたわけで、いわば岡留氏自身が『噂の真相』そのものだったと言っていいだろう。

私が『噂の真相』という雑誌の存在を知ったのは1994年頃なので、初期の頃(1979年創刊)については知らないのだが、その後は2004年の休刊まで、よく読んでいた。『噂の真相』は堂々と「反権力」を掲げ、権力者やその周辺で利権をあさる連中を、主に彼らのスキャンダルを暴く手法で撃つという、ゲリラ的な雑誌だった。

■ バカジュニア(安倍)と軍事おたく(石破)

今から振り返っても、『噂の真相』は的確に危険な政治家の本性を嗅ぎ当てて早いうちから叩いていた。例えば安倍晋三と石破茂に対しては、「バカジュニアと軍事おたく」という、実に的確な評価を与えていた。

『噂の真相』2003年9月号:

●実態はバカジュニアと軍事おたく

(略)
 前出の自民党担当記者もこう領く。
 「たしかに、デキの悪い典型的なボンボンが多いね。石破は初選挙で遊説を終えた後、母親に駆け寄って『ママ、これで良かった?』と尋ねたという逸話があるほどのマザコンだし、安倍なんて学生時代ほとんど勉強しないで遊びほうけていたドラ息子。南カルフォルニア大学に留学させてもらいながら、卒業もできずに帰国し、父親と関係が深かった神戸製鋼に入れてもらうという有様だった。浜田(注:浜田靖一)も地元では父親の威光をカサにきたタチの悪い不良だったというし……」
 こんな連中が偉そうに「日本人も血を流せ」と叫んでいるのだから悪い冗談としか思えないが、自民党中堅議員はこう解説する。
 「ボンボンだからこそだよ。防衛問題は経済などとは違って単純だから、頭が悪かろうが勉強嫌いだろうが、少し齧るだけでもっともらしいことを語れるからね。そういう意味で防衛問題は、親から地盤や看板を引き継ぎ、選挙にも金にも苦労しないバカ二世議員がヒマにあかせてやるにはうってつけなんだ」
(略)
 そのきわめつけともいえるのが、石破だろう。石破といえば、以前からプラモデルおたくぶりが有名だが、その体質は防衛庁長官に就任してからもまったく変わっていないという。防衛庁担当記者が語る。
 「石破のおたくぶりには、防衛庁の幹部も頭を抱えています。閲兵式や演習視察などでの異常なハシャギぶりに加え、長官としての本来の仕事はそっちのけで、枝葉末節な装備の話などを延々とレクチャーさせるらしいんです。しかも、防衛庁背広組をすっとばして制服組を集めて、戦術の話や兵器の話をさせて悦に入っているらしい。庁内では『ありゃたんなる兵器マニアだ』と悪評紛々ですよ」
 もうおわかりだろう。彼らはたんなる苦労知らずの「軍事おたく」なのだ。そして今の姿はその「軍事おたく」が権力を握って、まるでオモチャを動かすように、自分の手で兵器や兵隊を動かしてみたい、という欲望に取りつかれているにすぎない……。
 彼らをよく知る評論家もこう領く。「連中は他人に血を流せといいながら、自分にはまったくそんな覚悟はないし、戦争がどういうものであるかすらわかっていない。連中のロからはしょっちゅう、弘兼憲史やかわぐちかいじのマンガの話が出てくるけど、結局、マンガやゲーム感覚で他人の命をオモチャにしようとしているだけなんだよ。酒鬼薔薇や長崎の事件の中学生と変わりはない


安倍のいわゆる「ケチって火炎瓶」事件についても早くから報じていた。

『噂の真相』2004年2月号:

人気と権力でメディアを支配する安倍晋三幹事長“清新な改革派”の虚実

(略)

●関係者の犯行だった火炎瓶襲撃事件

 先の総選挙から一夜明けた11月11日。福岡県警・山口県警の合同捜査本部が6人の男を「放火未遂容疑」で一斉逮捕した。逮捕されたのは、指定暴力団・工藤会系高野組長とその組員、そして小山佐市という下関市在住の元建設会社社長。だが、問題はその「放火」の中身だった。彼らはなんと、今から約3年半前の2000年6月、下関にある安倍晋三の自宅に火炎瓶を投げ込んだという容疑で逮捕されたのである。
 全国紙社会部記者が語る。
 「(略)衆院選を間近に控えていたことから対立候補の関係じゃないかとか、技致問題への取り組みに反発した北朝鮮関係者の犯行じゃないかという情報も流れたんですが、なぜか当の安倍事務所や捜査にあたった山口県警は一切沈黙。そのままウヤムヤになってしまっていたんです」
 ところが、それから3年半。フタを開けてみると、逮捕されたのは暴力団と元建設会社社長……。しかも、元建設会社社長の小山容疑者は、「安倍の対立候補関係者」「朝鮮総聯関係者」どころか、一時は『安倍の支援者』を公言していた人物だという。
 今度は福岡県警担当記者が語る。
 「(略)犯行はすべて一緒に逮捕された元建設会社社長の小山容疑者が依頼したもののようです。小山は下関で行政や地元の政治家に食い込んだり、恐喝まがいの手口を使って、公共工事や土地買い占めなどの手数料を稼ぐ、いわゆる『ブローカー』として有名だった人物で、一時はいろんなとこで『わしは安倍先生の熱心な支援者』と触れ回っていた。ところが、何かの問題で安倍事務所と揉めて恨みを持ち、今回の犯行に及んだということのようです」
 そう。どうやらこの事件、安倍はたんなる被害者というわけではなさそうなのである。
 実をいうと本誌は今回、逮捕前に小山容疑者と接触したというある地元関係者に取材することができた。匿名が条件だったため氏名を明かすことはできないが、この人物は、事件についても小山容疑者から詳細を聞いており、本誌にこんな証言をしてくれたのだ。
 「事件が起きた少し後に小山の自宅を訪ねたんです。当時、すでに地元では『安倍宅襲撃犯は小山じゃないか』という噂が流れていたため、私のほうから『あんたがやったんじゃないのか』と切り出した。すると、小山は『ああ、あれはわしが工藤会にやらせた』とはっきり認めたんですね。(略)」
 さらに、この地元関係者が動機についてただすと、小山容疑者はこう語ったという。
 「選挙妨害を頼んでおきながら、安倍事務所が約束を守らんかったからや」
 天下の自民党幹事長の事務所が選挙妨害を依頼? これはどういう意味なのか。
 実をいうと、下関ではかなり前から、小山容疑者がある選挙の不正工作に関わっていたという噂が根強く囁かれていた。
 ただし、これは安倍自身の選挙ではなく、99年4月に実施された下関市長選挙。下関市では95年から江島潔が市長を務めており、現在は3期目に入っているが、安倍はこの江島市長を全面的に支援してきた関係にあるという。下関の自民党関係者が解説する。
(略)
 ところが、その安倍の支援する江島市長が2期目の当選を目指した99年の市長選で、江島の対立候補が怪文書攻撃に晒されるという事件が起きているのだ。
 「この時の市長選には民主党公認の古賀敬章という候補が出馬して、一時は現職の江島市長の不利も伝えられるほどの勢いを見せていたんです。ところが、選挙の半年前と直前の2回にわたって、その古賀が北朝鮮出身だという怪文書が大量にバラまかれた。それも、古賀が自殺した新井将敬元代議士と親戚関係にあり、金正日の命によって政界を目指しているとか、古賀が市長になったら下関は朝鮮支配の町となるとか、とにかくひどい内容でした。もちろん内容は事実無根で、古賀候補も、氏名不詳のまま下関署に名誉設損で告訴しましたが……」(下関市議会議員)
 ようするに、この民族差別丸出しの怪文書こそ、小山容疑者が「安倍事務所に頼まれて」行なったという「選挙妨害」だったようなのだ。実際、先の地元関係者に対しても小山は『古賀の怪文書はわしがまいた。莫大な金がかかった」と認めていたという。
(略)
 つまり、これらの証言によると、小山容疑者は、選挙妨害工作への見返りに安倍事務所から利権参入の約束を取り付けたものの、それを反故にされたため、その「報復」として安倍の自宅や事務所への火炎瓶襲撃を行った――そういうことらしいのだ。

■ 小林よしのりのトンデモぶりも厳しく糾弾

小林よしのりへの批判も早く、既に94年(週刊SPA!での「ゴーマニズム宣言」連載開始から2年後)の段階で、そのゴーマンなマッチョイズムの陰にある精神的脆弱さと古臭い父権幻想を暴いていた。そして『戦争論』が出版されると、ただちにその内容のデタラメさを厳しく批判した。

『噂の眞相』1998年10月号:

歴史偽造を駆使してデッチあげた小林よしのり『戦争論』の狂気の精神

(略)

●陰謀のデッチあげ手法

 『戦争論』は、『プライド』同様、執筆動機もいい加減なら内容もズサン極まりない。その実態は、保守反動陣営の歴史偽造本のタグイからの寄せ集めである。しかも、小林がさかんに借用しているのは、渡部昇一、田中正明、中村粲、東中野修道、上杉千年、高森明勅といった、保守陣営内部でもそのタカ派ぶりや、あまりの狂信ぶりから白眼視されている連中の言説である。
 例えば『戦争論』137Pに「支那人撹乱工作兵」に関する記述が出てくる。「支那撹乱工作兵」とは、南京占領の際、日本軍の蛮行に見せかけて、略奪、強姦を行っていたとされる中国人の特殊工作兵のことである。もちろん実在は確認されていない。ところが小林は、当時「ニューヨーク・タイムズ」に掲載された「難民キャンプで、工作兵が逮捕された」という小さな記事だけを根拠に、この工作兵が大々的に暗躍していたとまで妄想を膨らませて描く。しかも、この「ニューヨーク・タイムズ」の記事自体が、東中野修道の「改めて南京虐殺を徹底検証する」(『正論』98年4月号掲載)なる「論文」からの借用である。東中野 は亜細亜大学教授。専攻は社会思想史であり、実証的な史学とはまるで畑違いの人物である。「つくる会」の主要メンバーであり「従軍慰安婦」懐疑派の歴史学者・秦郁彦にすら、平気で歴史を改竄すると警戒されているトンデモない危険人物である。現に『正論』6月号では、南京大虐殺否定派の歴史研究家・板倉由明でさえも、「どうもこの記事は、噂を埋め草記事にしたガセネタ」臭く、東中野の説は「『ニューヨーク・タイムズ』にも続報はなく、このような裏付けのない記事を、都合が良いからといって検証せずに歴史の資料に使ってはいけない」と批判しているほどのシロモノなのだ。

(略)

●歴史修正ファシストの広告塔 

(略)

 また、34Pの「日韓併合はコリアの最大政党一進会が望み世界が承認した」というのも大嘘だ。小林がどこからパクってきたのかわからないが、一進会は、日露戦争の時、日本軍の通訳だった宋秉畯によって結成された親日御用組織であり、右翼結社・黒竜会主幹の内田良平などの仲介で、日本の陸軍や政府有力者の支援を取り付けていた。実際の活動内容は、韓国政府内の反日分子を洗い出す諜報活動や日韓併合へと世論を誘導するための宣伝工作だったといわれている。
 そもそも当時の韓国政府は、日本の統監府に行政権・軍事権・司法権・警察権を奪われており、通常の意味での「政党」など存在できるはずがなかった。一進会は「強国」日本に尻尾を振って、利権のおこぼれにあずかろうとする売国者たちの政治集団だったのだ。この情けないスガタは、反動ファッショ勢力に懸命に取り入り、体制に尻尾を振って利権のおこぼれにありつこうと躍起になっている、小林よしのりの人物像にそっくりではないか(笑)。日本は一進会を単に利用したに過ぎず、用済みになった会は日韓併合後、解散させられている。歴史修正ファシストどもの広告塔・小林も、用済みとなれば哀れ抹消される運命にあるのだろう。

●ズサン、デタラメ、ペテン……

 小林は、「自虐的」「反日的」歴史を実証に基づいて修正することを意図しているようだが、これまで見てきた通り、ズサン、デタラメ、ペテンの一言で片づけてしまえるほど稚拙なものばかりである。ならば小林が日本や日本軍を擁護するために挙げている事例そのものは、十分に実証されたものなのだろうか。
 例えば、168~170Pに描かれている、小林がテレビでたまたまみたという(実際の資料は、上杉千年が小林に提供したもの)、スイスの写真家の手で撮影された、南京占領の日の中国人による中国人処刑のシーンや日本の捕虜を木の枠にぶら下げて殺したというシーンは、何ら史学的検証も受けていないシロモノである。
 ただ、第三国人が撮影したというだけで、そしてアメリカのCNNが報じたというだけで、ボンクラ小林は、完全にホンモノと決めつけて、「こんな変なもので日本兵は殺されたのだ! これは一体何だ?」といきり立ってみせる。これは何だ、だって?お前のへ夕クソな絵だよ、バーカと突っ込みのひとつも入れたくなる話だ。実際、何の検証もなされていない写真など、単なる写真に過ぎない。
 このことは、小林 自身も認めている。「『写真』とは必ずしも、『真実』をありのままに写すものとは限らない」(151P)
 小林はこうも言う。「戦火を交える戦闘だけが『戦争』ではない。『情報戦』『宣伝戦』という戦争もある。平和といわれる現在でもこの戦争は常に続いている」(171P) そのとーり、だ。だから、CNNで放送された写真は、人権問題で対立する中国を牽制するために意図的に流された、アメリカ当局による偽情報の可能性も大いにあるってことになるのではないか。
 さらに、ボンクラ小林のことだから、ひょっとして気づいていないかも知れないが、この『戦争論』そのものが「情報戦」の渦中にあるかも知れないのだ。お前が「奉仕」しているものの正体をよく見極めてみよ。そいつは、一体何だ?――と。

(略)

■ ホロコースト否定論に加担した『噂の真相』

とはいえ、『噂の真相』は多くの間違いをも犯した。その代表的事例が、よりによってホロコースト否定論に加担してしまったことだろう。1994年9月号に、「ジャーナリスト」木村愛二による、こんなトンデモ記事を掲載している。

翌95年2月に否定論者西岡昌紀による同様な記事を掲載した『マルコポーロ』(文藝春秋)は世界中から激しい非難を浴びて廃刊に追い込まれたが、『噂の真相』のほうは特に話題にもならなかった。しかしこれは、記事の悪質さが軽微だったからではなく、単に『噂の真相』が知名度の低い弱小雑誌だったからに過ぎない。

「反権力」「反権威」はいいが、よほど慎重にやらないとホロコースト否定論のような歴史修正主義につけ込まれる結果になる。アメリカの後ろ盾をいいことに中東で好き放題の悪事を働くイスラエルは厳しく指弾されるべきだが、そのイスラエルが主張しているからといってホロコーストが嘘だったことにはならないのだ。

■ 世界の半分を敵に回していた『噂の真相』

あと、いくら良い記事を載せても、ページをめくるとこんな広告がぞろぞろ出てくるようではどうしようもない。これでは世界の半分を最初から敵に回しているようなもので、看板に掲げる「反権力」も、思うようにいかない人生に不満だらけのオヤジたちのガス抜き手段に過ぎないと言われても反論できないだろう。

『噂の真相』のような反権力メディアは当時以上に今こそ必要だが、最低限の条件として、歴史修正主義と女性蔑視・ジェンダーバイアスとは縁を切ったものでなければならない。

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