2月12日、競泳の池江璃花子選手が、白血病と診断されたことを自身のTwitterで公表した。
ご本人やご家族がどれほど辛い思いをされているかは想像に余りある。治療に専念し、一日も早く健康を回復されることをお祈りする。
ところで、これを聞いた桜田五輪担当相が、「がっかり」「盛り上がりが下火にならないか心配」などと発言して批判を浴びている。
桜田五輪相「また元気な姿を見たい」
桜田オリンピック・パラリンピック担当大臣は記者団に対し、「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」と述べました。
あまりにも無神経な発言で、批判は当然なのだが、どういうわけか「マスコミの切り取り報道のせいだ」「全文読めば真意は分かる」などと桜田を擁護する人たちがいる。
堀江貴文氏とそのフォロワーたちの発言などが典型例だろう。
堀江氏は桜田五輪相と記者団のやり取り全文を報じたネットニュースをツイッターに貼り付けた上で、「マジでマスコミくそ」と短くつぶやいた。
フォロワーからは「治療に専念して欲しいって真っ先に言ってたのか…マスコミの切り取り方えぐいな」「発言の切り取り方が異様ですね」「切り取りかたに悪意あり」「マスコミの取り上げ方も悪いけど、切り取られた部分だけ見て炎上させてる人たちもどうなのか」「小学生が他人の揚げ足をとるのと一緒」など、発言の報じ方を問うリプライが相次いでいる。
本当にそうか? では、堀江氏がツイートに貼り付けた記事の「全文」を見てみよう。
記者︓池江選⼿が⾃ら⽩⾎病であること、しばらく休養することを公表した。桜⽥五輪担当相の受け⽌めは︖
桜⽥五輪担当相「びっくりした。病気のことなので、早く治療に専念していただいて、⼀⽇も早く元気な姿になって戻ってもらいたいというのが、私の率直な気持ちだ」
記者︓競泳の中でも有⼒な選⼿だ。
桜⽥五輪担当相「⾦メダル候補で、⽇本が本当に期待している選⼿だから、本当にがっかりしている。早く治療に専念していただいて、また元気な姿を⾒たい」
記者︓これまで池江選⼿の活躍をどう⾒てきたか︖
桜⽥五輪担当相「⽇本が誇るべきスポーツ選⼿だ。最近⽔泳が盛り上がっていて、オリンピック担当相としては、オリンピックで⽔泳に期待している部分もある。⼀⼈リードする選⼿がいると、全体が盛り上がる。そうした盛り上がりが若⼲、下⽕にならないか、ちょっと⼼配している。我々、⼀⽣懸命がんばって、いろんな環境整備をやる。とにかく治療に専念して、元気な姿を⾒せていただいて、またスポーツ界の花形として、がんばっていただきたいというのが私の考えだ」
記者:池江選手にエールを送るとしたら?
桜⽥五輪担当相「とにかく治療を最優先して、元気な姿を⾒たい。またがんばっている姿を期待している」
全文を読めば明らかなように、桜田が「早く治療に専念して」欲しいと言っているのは、池江選手がまた元気な「金メダル候補」「スポーツ界の花形」に戻ってオリンピックを盛り上げて欲しいという意味だ。わずか18歳で命にかかわる病気に直面している池江選手に寄り添う気持ちがあれば、こんな言葉は出てこないだろう。桜田には悪意すらなく、ただメダルの数を稼ぐ道具としか選手たちを見ていない本音が漏れたのだ。
ウヨやネオリベにはなぜこの文脈が読めないのか。それは、桜田と同じく、他者というものを目的(国威発揚とか金を稼ぐとか)を達成するための道具としてしか見ていないからだろう。メンタリティーが一緒だから桜田を擁護したくなるのだ。