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忘れるべき名前と記憶すべき名前

19日、厚生労働省の現役高給官僚(武田康祐賃金課長)が、韓国・金浦空港で泥酔して空港職員に暴行を加えるという事件を起こした。

this.kiji.is

 厚生労働省は20日、私用で韓国に渡航していた武田康祐賃金課長(47)が韓国・金浦空港で職員とトラブルを起こし、現地警察の取り調べを受けたと発表、同日付で官房付とする人事異動を発令した。事実上の更迭。厚労省幹部によると、武田氏は空港職員に暴行した上「韓国人は嫌いだ」などと暴言を吐いた疑いがあるという。武田氏は韓国警察に一時拘束されたが、釈放され、現在は帰国している。

現場を撮影した動画を見ると、I hate Korea!などと怒鳴りながら職員に物を投げつけ、蹴り、拳も振るっている。そのまま逮捕・起訴されていてもおかしくない、とんでもない醜態だ。

そんなに韓国が嫌いなら、なぜわざわざ私用で、しかも省の規則で義務付けられている届けも出さずに行ったのか?

そして、事件後もまったく反省している様子がない。


しかし、こんな男が、安倍政権下ではとんとん拍子に出世しているのだ。しかも、事実上の「奴隷法」「過労死/過労自殺促進法」である「働き方改革」関連法の旗振り役としてだ。

data.wingarc.com

最初のセッションでは、内閣官房一億総活躍推進室・働き方改革実現推進室 内閣参事官の武田 康祐氏が「働き方改革に向けた政府の取り組み」と題し、講演
(略)
こうした課題に対して「日本政府ではアベノミクスの第2ステージとして、子育て支援や社会保障の基盤を強化する、新たな社会経済システムの構築に挑戦しています。この広い意味での経済政策により『希望出生率1.8』および『介護離職ゼロ』を実現し、『GDP600兆円』に向けた強い日本経済を生み出すわけです。これは単なる社会政策を超えた“究極の成長戦略”といえます」と、武田氏は日本政府の取り組みを語った。
(略)
働く人々の視点に立った労働制度の抜本改革で、企業文化や風土も含めて変えていく、というのが働き方改革の考え方です。これにより、需要の拡大を通じた成長を図る『成長と分配の好循環』が構築され、人々の暮らしも豊かになります」(武田氏)
(略)

(略)
武田 康祐(タケダ コウスケ)
  2014年 厚生労働省労働基準局労働条件政策課労働条件政策推進官
  2015年 内閣官房一億総活躍推進室企画官
  2016年 内閣官房一億総活躍推進室内閣参事官、内閣官房働き方改革実現推進室併任

ネトウヨ首相安倍の下では、こうした口がうまいだけのヘイト官僚ばかりが幅を利かせていくことになる。まあ、亡国一直線である。

 

ところで、50人が殺されたニュージーランド・クライストチャーチでのモスク銃撃事件を受けて、同国政府、とりわけアーダーン首相の迅速かつ見事な対応が称賛されている。

その一連の対応の中で、アーダーン首相は、今後自分は一切犯人の名前を口にしないと語った。こうした劇場型のヘイトクライムを起こす犯罪者の抱く欲望の一つが、自分の悪名を人々の記憶に残すことだからだ。

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約100人が死傷したニュージーランド・クライストチャーチのモスク(イスラム教礼拝所)銃撃事件を受けて、ジャシンダ・アーダーン首相は19日、銃撃犯の名前を今後一切口にしないと誓った。

アーダーン首相は議会で、「男はこのテロ行為を通じて色々なことを手に入れようとした。そのひとつが、悪名だ。だからこそ、私は今後一切、この男の名前を口にしない」と、気持ちをこめて演説した。

「皆さんは、大勢の命を奪った男の名前ではなく、命を失った大勢の人たちの名前を語ってください。男はテロリストで、犯罪者で、過激派だ。私が言及するとき、あの男は無名のままで終る」


一方、この武田康祐「内閣参事官」のような官僚は逆に、組織と匿名性の陰に隠れて悪事を働く。彼らの望みは、自分の責任とは決して分からない形で権力に阿り、出世や快適な天下り先といった私欲を満たすことだ。

だいたい、こんな破廉恥事件を起こしたら、民間企業なら即懲戒免職だろう。とりあえず「更迭」などというあいまいな処分にしたのは、ほとぼりが冷めたらまた復活させるためではないのか。安倍政権が続く限り、これは十分あり得る。

だからこのような男の名前は決して忘れてはならない。決して忘れず、いつまでも監視し続け、顔を出すたびに何度でも繰り返し名指しで叩いてやらなければならない。

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