今回はタイトルがそのまま結論です。
- 脳死判定には常に不確実性がつきまとい、脳死と判定されたからといって本当に脳が死んでしまっているとは限らないこと
- 脳死と判定される状態であっても、臓器提供を拒否し、適切な治療を行えば(単に心臓が動き続けるというだけでなく)脳機能を回復しうる可能性もあること
- 逆に、いったんドナーとして臓器移植のプロセスに組み込まれてしまったら、脳死判定以前から脳の治療とは逆行する移植臓器保存のための処置を加えられかねず、その場合、回復の可能性は完全に絶たれてしまうこと
こうしたことを十分に理解したうえで、それでも「脳死と判定されるような状態に陥ってしまったら、その段階で助かる可能性は放棄して自分の臓器を移植用に提供する」、というのであれば、それはそれで立派な覚悟ではある。
だが、ここまで覚悟して臓器提供の意思表示をしている人が、果たしてどれだけいるのだろうか。
ちなみに、(社)日本臓器移植ネットワークのサイトを見ると、脳の蘇生限界を超えて二度と回復できない状態が「脳死」であるとか、脳死判定の手順とかが書いてあるだけで、上記のような情報は一切ない。
正確な情報を与えずに臓器提供意思の登録をさせるのは、善意の人を騙して臓器を奪うことではないのか。