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慎太郎は一流(笑)

また古い週金を整理していたら、こんなのが出てきた。都知事一期目の慎太郎と佐高信の対談[1]である。

この号は『石原慎太郎なる幻影』という特集を組んで徹底的な石原批判を展開しているのだが、その中でこの対談だけは妙に石原にすり寄って言いたい放題言わせている。相手の言い分も聞きましたよ、というアリバイ作りのつもりだったのかも知れないが、だとしたら失敗もいいところだ。

その石原だが、美濃部元都知事をこき下ろす発言の中でこんなことを言っている。

石原 あれは三流の学者だよ。ステレオタイプのコミュニストにすぎなかったな。変な情念的な経済学で知事になっちゃったけどさ。鈴木があのときに知事になったらもうちょっと東京は整備されたと思いますよ。それはナンセンスなほど貴族的だったよ。


編集部 確かに、「バラまき福祉」と言われたりもしたけれども、いろんな無料パスを出したりとか、そういう弱者に対する光を当てたことは確かだと思うんです。


石原 東大の教授とか、いろいろなグループが全部フォローしてくれてたからね。僕もそうだけど政治家っていうのは、いろんな人脈に支えられているのでね。だから今度の外形標準課税だってちゃんと立派な局長がいてやっただけ。

 美濃部さんという人は物書きじゃないし。僕は小説家で一流だからね。その感性は自分で信じている。だけども政治家としてはどうか知りませんよ。自分の持っている方法論でするしかないもの。僕は自分の方法論というのはものを書くということだから、それをアダプトして行政をするしかないんだよね。

 だから僕は、大衆の心理、都民の心理をいちいち先取りしようとは思ってない。


編集部 小説家として一流とおっしゃいましたが、政治家として自己採点では。


石原 分りませんね。まだ作品を書いたことないんだもん。とにかく知事という、ある意味 でトップとしての責任を持てる椅子に座ってみ ると、総理大臣を含めて閣僚というのはなんと儚いものだったかと思うね。

いやはや、自己採点によれば慎太郎は小説家として一流なんだそうだ。つまり、こんなのとかこんなのとかこんなのが一流の小説というわけだ。(笑)

なるほど、こんなものを書く方法論を行政に適用したら石原都政が出てくるのは当然の結果だろう。

 

ちなみに、この男にも一つだけ、他の追随を許さない一流の才能と言えるものがある。それは差別を扇動するアジテーター、デマゴーグとしての才能だ。

石原はまぎれもなく一流の差別扇動者である。

 

[1] 「対談 石原慎太郎・佐高信」  週刊金曜日 2000/7/7号