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北朝鮮報道に見るメディア・バイアスの典型

 

北朝鮮に関するマスコミ報道には、いつも独特の言い回しがついてまわる。

まるで、「北朝鮮」という言葉には枕詞がつくことになっているかのようだ。

 

先日平壌市内で見つかった、終戦直後の残留日本人のものと見られる遺骨に関する記事をサンプルとして、その実例を見てみよう。

 

東京新聞(4/20):

北朝鮮大使「残留邦人遺骨返還も」

平壌に多数 日本揺さぶりか

 

 北朝鮮平壌市内などで、終戦前後の混乱で残留した日本人のものとみられる多くの遺骨が見つかったと北朝鮮当局者が話していることが十九日分かった。十五日の金日成主席生誕百年の記念行事に合わせ北朝鮮入りした日本からの訪朝団に宋日昊ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使が伝え、日本側から収集や返還の要請があれば応じる考えを示した。複数の関係者が明らかにした。

 長距離弾道ミサイル発射で国際社会での孤立が深まる中、遺骨返還を持ち出し、日本側を揺さぶる狙いがあるとみられる。

 

「日本側を揺さぶる狙いがあるとみられる」。

遺骨が見つかったから要請があれば返すよ、というだけのことが、どうして「日本側を揺さぶる」ことになるのか。

 

北朝鮮がやることにはすべて悪意や裏の狙いがある、という偏見があるから、こういう書き方になるのだ。

一方で、たとえば米国が執拗に求めてくる「規制緩和」や「自由化」には、日本市場を米国資本の食い物にしようという狙いが当然あるわけだが、日本のマスコミがそうした「狙い」を指摘することは滅多にない。

 

残留日本人の遣骨問題をめぐっては、日本政府関係者が昨年十一月の極秘接触で、拉致問題進展の糸口とするため収集と返還を北朝鮮側に提起した経緯があり、日本側は難しい対応を迫られそうだ。

 

だいたい、これはもともと日本側から求めたことではないか。

自分から言い出しておいて、話が具体化してくると「遺骨返還を持ち出し」「難しい対応」とは何事か。

 

関係者によると、宋氏は十六日午後、元国会議員や地方議員など訪朝団メンバー約二十人と平壌市中心部のホテルで面会。この際に「平壌市内で進んでいる道路や住宅の開発現場で多くの遺骨が見つかっている。この中に日本人と確認された分があり保管している」と説明。日本側が収集や返還を求めれば「いくらでも受ける」と語った。一方で「『いらない』と言うなら処分するしかない」とも述べたという。

 面会で宋氏は、民主党中井洽拉致問題担当相と、これまでに四回会い、在日朝鮮人帰還事業北朝鮮に渡った日本人妻の一時帰国問題などについて協議したことも明らかにした。ただ会談の一部が日本側で報道されたことを踏まえ「二度と会うべきでないという批判が朝鮮内外にあり、私は針のむしろだ」と話したという。

 

しかも、北朝鮮内部で日本との関係を良くしようとする者の立場を悪くし、危地に陥れる。

日本との関係改善を図っても何も良いことはないぞ、というメッセージを相手に送り続けていることが分からないのだろうか。こんなやり方で「拉致問題進展」など、ありうるはずがない。

 

日本の政府もマスコミも、限りなく愚かだ。