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うっすらとした洗脳

 

東京新聞の5月22日朝刊記事:(強調部は引用者による)

10年服役 2男性に再審無罪 中国が賠償3700万円
中国「法治国家」訴え

 

 【上海=今村太郎】中国浙江省の高級人民法院(高裁)は二十日、十年前の暴行殺人事件で実刑判決を受けて服役していた男性二人が無罪だったとし、国家賠償計二百二十一万元(約三千七百万円)を支払うと発表した。習近平国家主席が掲げる法治国家の新局面」をアピールする狙いがあるとみられる。

 高級法院によると、男性二人は親類で、二○○三年五月に浙江省杭州市で十七歳の少女が殺された事件で逮捕され、それぞれ執行猶予付き死刑と懲役十五年の判決が確定した。

 家族が無罪を訴え続けたものの十年近くが経過。だが、習氏が国家主席に就任した直後の三月二十六日に再審公判が開かれ、「証拠が不十分」「他者による犯行の可能性がある」として無罪が言い渡された。

 最高人民法院最高裁)も二十日、過去の国家賠償事案を十例挙げて公表する異例の対応を取った。最高法院のトップには、次世代実力者の一人とされる周強氏が三月に就任したばかりで、法治の公平性や透明性を演出したとみられる。

 

最初に確認しておきたいのだが、証拠が不十分なまま犯罪者とされてきた人が再審無罪になるのはいいことではないのか?

中国でそうした再審が行われ、国家賠償も支払われるというのは、同国の人権状況の改善を示しているのではないのか?

そもそも、逮捕後10年程度で再審無罪が確定するというのは、一度有罪が確定してしまうとたとえ再審までたどり着けたとしても何十年もかかり、人生すべてを滅茶苦茶にされてしまう日本より、はるかにマシな状況ではないのか?

 

にも関わらず、こと中国のこととなると「アピールする狙い」だの「演出」だのという形容が付加されて、すべてが政治的な駆け引きに過ぎないかのように矮小化されてしまう。

東京新聞でさえこうなのだから、他の大マスコミは推して知るべしである。

 

こうやって、すべての中国情報にはネガティブなバイアスがかけられ、薄皮が積み重なるかのようにマイナスのイメージが蓄積されていく。

これでは、大半の日本人が中国に対して偏見を持つようになるのも、当然の結果だろう。