日本の主流マスコミは、あいも変わらず「中国の脅威」を煽ることに日々精を出している。
下の読売記事など、その典型と言えるだろう。
読売新聞(9/11):
中国公船に囲まれた…緊迫の海、漁師ら恐怖
カツオやマグロなどの好漁場でもある周辺海域はこの間、日中がにらみ合う緊迫の海となり、沖縄から漁に出る船はほとんどいなくなった。
”国境の島”に生きる漁師たちは、頻繁に侵入を繰り返す中国の公船に翻弄されている。
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今年2月には、鹿児島県の漁船が、海洋監視船「海監」に接近されるケースも発生。同県指宿市の指宿漁協などによると、魚釣島沖の領海で一本釣りをしていた漁船2隻に正午頃、海監2隻が近づき、漁船は操業を中止して移動したが、海監は午後5時頃まで追いかけてきたという。
今年5月、漁師とともに現場海域を船から視察した石垣市の伊良皆(いらみな)高信議長(53)は、領海侵入してきた海監3隻に取り囲まれた。その際、海監のスピーカーから流暢(りゅうちょう)な日本語で「ただちに出て下さい」との警告が流れたという。海保の巡視船が割って入ったが、巡視船と海監のにらみ合いは7時間に及んだ。
伊良皆議長は「間近に迫る中国公船に恐怖を感じた。このままでは漁師が漁に出られず、中国に実効支配されかねない。政府は安心して漁ができるようにしてほしい」と訴えた。
現実はどうか?
現地の事情を良く知る地元メディアの、同じ日付の報道と比べてみれば、主流マスコミの嘘がよく分かる。
尖閣国有化から1年「政治の海」は今
【石垣】石垣市から北の海域。魚湧く漁師の海が「政治の海」へ変わり1年が経過した。昨年9月11日、政府が尖閣諸島を国有化して以降、中国公船が尖閣に接近。日台漁業協定の締結で台湾漁船も海域に乗り入れた。「静かな環境で漁がしたい」。沈静化を願う思いとは裏腹に、尖閣の政治的対立をあおる保守系団体、一部メディアの存在や生活の場を狭められている現状に漁師たちの不満は募る。
「実際に漁をしている船には中国公船は何もしてこない。でも報道では『漁船を追いかける中国船』と緊張をあおっている」。八重山漁協の上原亀一組合長は一部報道が日中対立をあおり、結果的に漁師に跳ね返る現状に懸念を深める。
同漁協のマグロはえ縄漁船は現在、「尖閣が肉眼で見える海域」でも漁をしているが、中国公船とのトラブル報告はない。
報道される「漁船」とは、保守系団体がチャーターした地元漁船に政治家やメディア関係者を乗せ、海上保安庁や中国公船がにらみ合う海域に繰り出しているもの。「漁業者」とは言い難い。
上原組合長は「政治家のパフォーマンスに多くの組合員が迷惑と考えている。中国のやり方には怒りを覚えるが、双方で冷却期間を置いてほしい」と訴える。
日中の緊張が高まる中、政府は中国と台湾の連携を防ぐ狙いで5月に日台漁業協定を締結。石垣北海域に台湾漁船が繰り出すようになった。
同漁協の比嘉幸秀幹事は4月、水産庁幹部に怒りをぶつけた。2010年9月、尖閣付近で中国漁船が取り締まり中の海保の船に体当たりした事件後、政治家が次々と漁協を訪ね、「日本領土を示すために、積極的に尖閣で漁をしてください」と呼び掛けた。
それが今では漁を自粛せざる得ない状況だ。「政治が決めたから従え−ということか。今は台湾とルール作りを進め、正常化に近づけるしかない」と比嘉さんは表情を曇らせる。
尖閣諸島は冬場、高級魚のマチを一本釣りで狙う好漁場。「漁業補償の話も出るが漁師は魚で食っていくのが本来の姿。静かな海にしてほしい。願いはそれだけだ」と言葉をつないだ。
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何のことはない。わざわざ船を仕立てて中国公船のいる海域に繰り出しておいて、「囲まれた」「追いかけられた」と騒いでいるのだ。要するに「やらせ」である。
中国とトラブルを起こすことを目的に出かけていく右翼団体の船に同乗して、ありもしない「脅威」を煽る。ジャーナリズムとか良心のひとかけらでも残っていれば決してできないはずの行為に日々勤しんでいるのが、日本の主流マスコミの実態なのだ。
ちなみに、読売記事に登場した伊良皆高信石垣市議長とは、8月23日に沖縄県市議会議長会が全会一致でオスプレイ配備反対決議をした際、「尖閣のために配備必要との意見もある」と述べて、ただ一人採決前に退席した人物である。
どの植民地にも、必ず現地人の行政官が置かれる。沖縄にも、政府自民党の手先となって働くことで役職を得ている、この手の政治家は存在する。
そんな伊良皆氏にも、これだけは言っておきたい。あなたたちのパフォーマンスが功を奏して本当に日中間で戦争が起こったら、真っ先に被害を被るのは沖縄であり、とりわけ石垣市を含む八重山である。そうなったとき、本土は決して助けてはくれないよ、と。