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『ニュース女子』取材問題についてのDHCシアターの「反論」が言い訳にもなっていない件

1月2日放送のTOKYO MXテレビ『ニュース女子』が沖縄ヘイトと批判されている件で、番組の提供元であるDHCシアターが番組批判への「反論」を公開している。

全体として見てもおよそ反論になどなっていないのだが、ここでは前回記事で取り上げた「取材」に関する部分に着目してみることにする。

DHCシアターの「反論」

2)二見杉田トンネルの向こう側の取材を断念した件について

高江ヘリパッド周辺はご存知のように反対派の暴力行為や器物破損、不法侵入などによって逮捕者も出るほど過激化しておりますが、こうした事実だけでなく、地元の方々からは二見杉田トンネル以降にもいくつかの危険があると助言されております。

証言によれば、二見杉田トンネルは高江までは距離がありますが、以前同トンネルから4、5キロほど離れた汀間漁港で反対派の方と高江の作業員の方との交通事故があり、これは高江の作業現場から汀間漁港まで、反対派の方が作業車を追い回した結果起きてしまった悪質な事故であったこと。

またトンネルから高江ヘリパッドの間では基地反対派によって車両のナンバープレートが記録され、基地ゲート前に到着する前に暴力的に阻止された、等々の証言。

これらの情報の中には裏取りができないものもあり、番組では一切使用しておりませんが、番組制作者としては事前調査の段階で、こうしたリスクも踏まえ、現場取材者や協力者、撮影スタッフの安全に配慮するのは当然のことと考えます。

いろいろ書いているが、高江の現場では在京テレビ局も普通に取材ができているのだから、危険だから行けなかったという言い訳は無理だろう。

その上、反対派のせいで危険だとする情報の裏が取れていないことを、自分で書いてしまっている。だいたいこの番組では、反対派が救急車の通行を妨害しているとか、デモ参加者に日当が支払われているとか、警察がデモを取り締まらない(これ自体嘘だが)のは翁長知事がトップだからだとか、まったく裏の取れていないデタラメを平気で垂れ流している。そんな番組でさえ使えなかったというのだから、これら「未確認情報」の信憑性はおよそ想像がつくというものだ。

百万歩ゆずって、反対派が高江に行く車両のナンバーチェックをしていると仮定してみよう。だが、現場から40Km以上も離れたこんなところでやるだろうか。下のGoogleマップを見ても分かるように、高江までの間には名護市中心部や大宜味・国頭方面に行く道への分岐が存在する。こんなところで「検問」などしても、高江には行かない車が多すぎて効率が悪すぎる。私なら、もっと現場の近く、少なくとも東村役場より先でやるだろう。

そもそも、事前調査の段階で危険が分かっていたのなら、高江の現場取材など最初からやらなければいい。途中まで行ってみせたのは単なるパフォーマンスと白状したようなものである。

そして、上記「反論」のどこにも、この二見杉田トンネルをくぐった先がヘリパッドの建設現場だと言った理由の説明はない。

確かにこのトンネルをくぐってからさらに40数キロ走れば現場には着くわけだが、こんな言い方が許されるなら、那覇でもどこでも、道路でつながっている場所でさえあれば「この先が高江の現場」だと言っていいことになる。

DHCシアターの「反論」は、言い訳にすらなっていないのである。

 

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