■ 共謀罪への関心が薄い理由
森友学園問題の騒動にまぎれて、超弩級の悪法「共謀罪」法案が国会に上程されようとしている。
しかし一般の関心は薄い。
権力監視の責務を放棄したマスコミの怠慢ももちろん原因のひとつだが、共謀罪の危険性に関心が集まらない根本には、恐らくこういう感覚があるのだろう。
共謀罪で反対の意を唱える人たちは「自分たちはやましいことをする人です」と言ってるようなものだと捉えてます。
— canapé: (@yanin528) 2017年4月1日
普通に暮らしている一般の人には絶対全く完璧に"関わるの事の無い罪"ですから
権力に「思想」や「内心」を弾圧できる凶器を与えることに危機感を感じないのは、たとえそんな法律ができても、それが自分に適用されたり害を及ぼすことは決してない、と信じているからだろう。
だが、それは歴史を知らないがゆえの甘い見通しだ。
■ 共謀罪が作り出す監視・密告社会
犯罪の実行やその具体的準備行動ですらなく、相談や同意の段階で処罰できる共謀罪がいったん成立すれば、今度は「相談」や「同意」そのものが「犯罪」となる。
するとどうなるか。警察にとっては、摘発すべき「相談」や「同意」が行われていないか社会全体を常に監視することが、犯罪捜査のために必要な日常業務となるのだ。
#共謀罪 やばいって聞いてたのに正直ピンときてなかった。
— 砂つぶ (@sandrops04) 2017年2月6日
「相談した時点で罪になるということは、警察はそれを見逃さないために、国民の生活のあらゆる場面を監視しなくてはいけなくなる。社会の形が全く変わってしまうんだよ」
昨日の勉強会、伊賀先生のお話に衝撃受けた。うわ、ほんまや……!
「共謀罪の核心は、人々の日常のコミュニケーションが犯罪化される、という点にある。合意すること、相談すること、言葉に出すことで犯罪が成立するのだから、警察は私たちのコミュニケーションそのものを捜査対象とすることになる。」(小笠原みどり)
— tsuyoshi (@hotarupika) 2017年2月26日
盗聴法は既に改悪済み。国民全監視まで後僅か。
ディストピアSFなみの警察国家の完成である。あなたのメールやLINEやSNSでの会話もすべて監視対象となる。犯罪捜査だからもちろん匿名性など何の役にも立たない。
金田法相「(通信手段は)特段、限定をしない前提で検討している」
— 異邦人 (@Medicis1917) 2017年2月24日
やはりこの為に通信傍受法を改悪したようだ。今となっては、捜査機関は立会人なしで市民の通信を盗み見ることが出来る訳で、共謀罪が言論弾圧の武器として用いられる危険性がより一層増した。萎縮効果も計り知れないだろう。 https://t.co/SEzdyVwcEC
そして、共謀罪のある社会は、そのまま密告社会でもある。
「密告なんてやましいことがなければ関係ない」という統治者目線の被統治者の皆様は「ヒトラーを支持したドイツ国民」を読んでみてね。「(ゲシュタポへの)密告の内容を分析しているが、殆どが個人的な恨みややっかみによるもので、根拠さえ不明。」 https://t.co/RueDHptmgD
— CAVU (@cavu311) 2016年7月9日
もっとも、ここまで指摘されても、自分は常に国家権力の側に立っているから安全だと信じる自称「普通の日本人」のような人々は危機感など感じないのだろう。
確かに、そうした人々に共謀罪が直接適用される可能性は(少なくとも当面は)低い。これで真っ先に弾圧されるのは、沖縄での基地反対運動など、政権の意志に抗う人々だろう。
「共謀罪」は辺野古反対運動などに適用される危険性が高い。日本会議という寄生虫を飼い、腐臭を放ちながら、日本経済を壊していくアベ友政権。あとは言論と行動を抑え込めば、日本経済が破綻しようがが、何でもできるようになるからだ。https://t.co/JcQGzSsrJM
— 金子勝 (@masaru_kaneko) 2017年3月6日
だが、そんなことを許した結果がどうなるかは、歴史が教えてくれている。
■ 歴史への無知と想像力の欠如が破滅をもたらす
@Only1Yori 治安維持法は国民生活のあらゆる分野に猛威をふるい、結果は逮捕者数十万人を超え、被送検者7万5千人、特高警察の拷問、劣悪な留置環境などが原因で亡くなった人は、判明しているだけでも1682 人にのぼる。#共謀罪反対
— 川上芳明 (@Only1Yori) 2017年1月14日
「治安維持法は伝家の宝刀に過ぎぬ
— 清水 潔 (@NOSUKE0607) 2017年2月20日
社会運動が抑制されることはない。警視庁は語る」はずだったのだが、実際は運動どころか自由な発言すらもできなくなり戦争を止めることもできなくなった。我が国が焦土と化すことでようやく無くなった法律。共謀罪と名を変えて適当な説明だけでまたやるのか。 pic.twitter.com/OC0lbqhhcs
「テロ等」で押しているから共謀罪の悪辣な深意が伝わっていないのだろう。更に治安維持法などの歴史を教えない教育も。そもそも日本って国が政治や軍の暴走で自爆した過去を知らないし、だからそれが再発しそうな未来予想もできない。教育と報道が機能しないから権力はやりたい放題だ。 https://t.co/OSW3u2alrG
— 清水 潔 (@NOSUKE0607) 2017年2月20日
かつての治安維持法によって行われたように、政権の意志に反対する人々が口を封じられ、社会から排除されてしまえば、国家権力の暴走を止める手段は何もなくなる。そして、愚かな権力者であればあるほどこのような悪法を活用して反対者の弾圧に勤しむだろう。
行き着く先は経済破綻か、再度の原発過酷事故か、あるいは必要もない戦争を始めたあげくの敗戦か。いずれにせよ、そうなったときには「普通の日本人」も被害を免れることはできない。
そのときになって、かつての敗戦時のように「騙されていた」などとは言わないことだ。そうした結果をもたらすのは間違いなく、共謀罪に反対するのは「やましいことがあるから」などと言っているあなたたちだ。
「共謀罪」なんていらない?! ---これってホントにテロ対策?
- 作者: 山下幸夫,斎藤貴男,保坂展人,足立昌勝,海渡雄一
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