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中国にも焼き餃子があったよ!w

日本人が中国に行ってみて驚くことの一つに、「焼き餃子がない!」というのがある。実際、中国では餃子といえば水餃子(茹でて湯切りをしたもの。日本風に言えば茹で餃子)がほとんどで、あとはシュウマイのようにセイロで蒸した蒸し餃子があるくらいだ。

私も中国(主に上海と北京)には何度も行っているが、これまで一度も焼き餃子に遭遇したことはなかった。

不思議に思って、知人(華北出身)に「中国では焼き餃子は食べないの?」と聞いてみたことがある。彼の答えは、「餃子を作りすぎて余ってしまった場合、翌日焼いて食べることはある」というものだった。家庭で余り物を始末するとき以外は焼いて食べることはないというのだ。

というわけで、中国には焼き餃子はないものと思っていたのだが、南京にはそれがあった。

焼き餃子に遭遇したのは、孔子を祭った廟堂を中心とした観光地の「夫子廟」。

南京 夫子廟

ここで夕食を食べようということになり、友人と二人でこの店に入った。さすが観光地でどの店も混んでいたが、なんとか座れた。

南京 夫子廟

ここは、まず専用のカードにお金をチャージし、カウンターから好きな料理を取ってはその都度代金分を減額して、最後にカードの残額を返してもらう、というシステムになっている。なるほどこれなら待たずに食べられるし、店側も大量の客を効率的にさばける。

で、取ってきた料理がこちら。左上におなじみのものがある。

南京 夫子廟

これが南京の焼き餃子。日本のものと比べると皮が厚めでもっちりとしている。具は多分豚肉と白菜くらいで、あっさりした感じ。酢醤油か、お好みで辛いタレをつけて食べる。普通に美味だった。

南京 夫子廟

あと、この中で特に気に入ったのがこちらの「臭豆腐」。見た目は真っ黒だし、確かに臭いのだが、揚げてあるので香ばしく、こくがあって美味しい。

南京 夫子廟

 
こういう大衆食堂的なお店に並んでいるところを見ると、このあたり(江南地方)では焼き餃子は珍しいものではないようだ。なにしろ中国は広いので、中国人でも自分の出身地と現住地以外の地方の料理は、特にポピュラーなものしか知らないのが普通らしい。

あと、写真を撮り損ねたが、翌日昼食をとった別の店では、具が豆腐の焼き餃子というのも出てきた。ただ、具が豆腐だと、あっさりしすぎて味はいまいちだった。

後で調べてみたところによると、台湾には「鍋貼」(guōtiē)という、上のものよりさらに日本の焼き餃子にそっくりなものがあるという。日本の焼き餃子は、戦後中国東北地方などから帰国した引揚者が水餃子をベースに日本人の好みに合わせて工夫したのが始まりと言われているが、実は江南地方や台湾からの引揚者がそのまま持ち帰ったのかもしれない。


以下、おまけに夫子廟で撮った写真をいくつか貼っておく。

南京 夫子廟

南京 夫子廟

南京 夫子廟

南京 夫子廟

南京 夫子廟

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