安倍内閣はついに、「そもそも」には「基本的に」という意味もある、とする答弁書を閣議決定した。
安倍晋三首相の国会答弁で話題になった「そもそも」の用法について、政府は12日午前の閣議で、「大辞林」(三省堂)に「(物事の)どだい」という意味があり、「どだい」には「基本」の意味があるとの答弁書を決定した。
(略)
答弁書は、「どだい」を間にはさむことによって首相の答弁を正当化する苦肉の策。「そもそも」の意味として「基本的に」を記載した辞書が実際に存在するかどうかについては、直接答えなかった。【朝日弘行】
国語学者怒らんとええの?
— Hideyuki Hirakawa (@hirakawah) 2017年5月12日
「どだい」には「基本」という意味もあるけど、「そもそも〇〇」と同義に「どだい〇〇」というときの意味はそれではなく「もともと。はじめから」(広辞苑)でしょ。
安倍首相:「そもそも」発言、政府が答弁書で正当化 https://t.co/3sim1UUOjO
「"云々"は"でんでん"と読む」と思ってたヤツが、「"そもそも"の意味は"基本的"だと辞書に書いてる」と国会でドヤ顔で答弁して、そのウソがバレたら「"そもそも"は"どだい"だから"基本的"」だと閣議決定して、強引に日本語の意味を変えてしまうという、頭悪すぎて情けないファシズム。
— きづのぶお (@jucnag) 2017年5月13日
毎度のこと、安倍やその取り巻き連中の愚行にはこちらの頭が痛くなってくるが、「云々(でんでん)」などとは違って、これは安倍をバカにして済むような問題ではない。
ことの起こりは、安倍が1月には共謀罪の適用対象は「そもそも罪を犯すことを目的とする集団でなければならない」と答弁していたのに、翌月「オウム真理教は当初は宗教法人だったが、犯罪集団に一変したので適用対象となる」と言い出したため、その矛盾を山尾志桜里衆院議員(民進党)が突いたことだ。「そもそも(最初から)」罪を犯すことを目的とする集団だけが対象ならオウムは対象にならないはずだと指摘され、答えに窮した安倍が「辞書に書いてある」と言い出したのだ。[1]
安倍首相は先月19日、オウム真理教が「そもそも罪を犯すことを目的とする集団」にあたるかどうかについて、「『そもそも』には『基本的に』という意味もある」と説明していた。
安倍首相「『そもそも』という意味にはですね、辞書で念のため調べてみたんですね。念のために調べてみたんですが、これは『基本的に』という意味もあるということもぜひ知っておいていただきたい」
もちろん、そんな意味を載せている辞書はないのだが、実はそんなことなどどうでもよく、どんなデタラメ解釈でも自分たちの主張を押し通すぞ、というのがこの閣議決定の真に意味するところなのだろう。
「そもそも=基本的に」が通るのなら、共謀罪は「基本的に罪を犯すことを目的とする集団」が適用対象ということになる。一見組織的犯罪集団だけを対象とするように見えるが、限定は「基本的に」である以上、時と場合によっては(=自分たちがそう欲するなら)それ以外の集団も適用対象にするぞ、と言っているわけだ。
あいまいな言葉の拡大解釈は警察・法務官僚の最も得意とするところだ。「基本的に罪を犯すことを目的とする集団」が対象になるなら、結局どんな集団(二人以上の人間の集合)でも共謀罪で叩けることになるだろう。安倍たちが何が何でも成立させようとするわけだ。
[1] 『首相 大丈夫?答弁の解釈、辞書になく…言葉の粗雑さ露呈』 毎日新聞 2017.4.30
「共謀罪」なんていらない?! ---これってホントにテロ対策?
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