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「橋本琴絵」アカウントが吐き出す「ネアンデルタール」ヘイトは危険な差別思想の現れ

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数日前から、「橋本琴絵(@HashimotoKotoe)」というアカウントが連発するネアンデルタール人へのヘイトツイートが話題になっている。

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ネアンデルタール人は4万年ほど前に絶滅したと考えられている化石人類で、長期間現生人類と共存していた、系統的には我々の兄弟と言っていい人々である。また、両者の間には交雑があり、現生人類のDNAの1~4%がネアンデルタール人由来であると言われている[1]。

橋本が繰り返している、ネアンデルタール人が極悪非道の種族だという主張には根拠がない。最近の研究によれば、ネアンデルタール人たちは死者を悼み埋葬していただけでなく、「自己責任」では生きていけない病人や老人の世話さえしていたと考えられており、橋本の主張とは正反対だ[2]。(なお、周知のとおり食人は現生人類も行っている。)

 フランス南西部の洞窟で100年以上前に発掘されたネアンデルタール人の骨は、意図的に埋葬されていたことが、改めて確認された。この遺跡については最近、13年にわたり改めて分析が行われていた。 研究報告によると、ネアンデルタール人たちは故人のために、細心の注意を払って墓穴を掘り、遺体を腐食動物から守っていた。少なくとも5万年前の人類の間に、入念な埋葬の習慣が存在したことが確かめられた。 ネアンデルタール人は、絶滅した人類の1つの種で、アフリカ人以外の現生人類の遺伝子に、ほんのわずかな痕跡を残している。ニューヨーク大学国際人文社会科学研究センター(CIRHUS)とフランスの考古学組織アルケオスフェール(Archeosphere)に所属する古生物学者ウィリアム・レンドゥ(William Rendu)氏が率いた今回の新たな研究により、ネアンデルタール人の遺跡と人骨が埋葬によるものかどうかを巡る長年の論争に決着がついた。
(略)
 ネアンデルタール人が死者を葬っていたという見方は、彼らには象徴的思考の能力があり、豊かな文化を築いていたとする近年の知見とも符合する。例えば、ネアンデルタール人は自分の身体を顔料で飾り、鳥の羽や色味のある貝殻で作った装身具を身に付けていたことが分かっている。
 ラ・シャペルーサン遺跡から見つかった証拠は、ネアンデルタール人が私たちと同じように、病人や老人の世話をしていたことを示唆する。ブイソニー兄弟が発見した骨の主は、ほとんど歯を失い、腰と背中に問題を抱えて、補助なしには移動も困難だったと考えられる。
「このネアンデルタール人を葬った人々は、遺体に気を遣う以前に、生きていたこの者の世話をしなければならなかっただろう」とレンドゥ氏は推測している。

この橋本琴絵なる人物は、昨年の衆院選に希望の党公認で立候補し、選挙では落選したものの、今でも同党幹事だという。

このような奇矯なヘイトツイートを繰り返す理由は不明だが、すでに絶滅したネアンデルタール人が対象なら、なにしろ被害者が現存しないのだから、いくら刺激的な差別発言をしても大きな問題にはならないと考えたのかもしれない。要するに、話題作りを狙った炎上マーケティングである。

しかし、特定の祖先から受け継いだ「血」や「DNA」を悪の根源とする考え方自体が、ヘイトクライムを誘発する危険な差別思想であることは言うまでもない。

橋本が落選したのは幸いだった。こんな人物を政治にかかわらせてはならない。

[1] 「現生人類に残るネアンデルタールDNA」 National Geographic 2014.01.30
[2] 「ネアンデルタール人の埋葬を改めて確認」 National Geographic 2013.12.17

 

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