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もう性差別団体「日本相撲協会」は滅んでいいよ

4月4日、女人禁制の「伝統」を理由に、土俵上で救命措置を行っていた女性に降りるようアナウンスを繰り返し、6日には男性と同様に土俵上で挨拶させて欲しいという女性市長の要望を断った性差別団体「日本相撲協会」が、8日にまたやらかした。

中日新聞(4/12)

女児土俵に上げず 静岡場所「ちびっこ相撲」

(略)
 静岡市駿河区で8日にあった大相撲春巡業「富士山静岡場所」で、力士が土俵上で子どもに稽古を付ける「ちびっこ相撲」に、毎年参加していた小学生の女児が参加できなかったことが分かった。主催者側に日本相撲協会から直前に「女の子は遠慮してほしい」と連絡があった。(略)
 富士山静岡場所は前身を含め2013年から毎年開催。少なくとも昨年までの3年間は、ちびっこ相撲で女子児童が土俵に上がっていた。今年は静岡市と焼津市の相撲クラブの女児5人程度が参加する予定だった。
 主催した実行委員会の幹部によると、静岡場所を担当する日本相撲協会の荒磯親方(元幕内玉飛鳥)から4日に電話があり、ちびっこ相撲に女児を参加させないよう要請された。(略)
 協会広報部によると、3月の大相撲春場所中に巡業部長名で「年齢にかかわらず女性を土俵に上げないように」との通達が出された。広報部の担当者は本紙の取材に「(通達は)春巡業から適用している」と説明。この時期に通達を出した理由については「巡業部長が交代したことが一つ」と新巡業部長の意向を示唆し、「相撲の伝統は本来そういうものだから」と話した。(略)
 静岡市で8日にあった大相撲春巡業「富士山静岡場所」の土俵で、女の子が好きな力士の胸を借りる夢はかなわなかった。参加できなかった小学生の女児たちは11日、悔しさをかみしめながらも「強くなりたい」と稽古に励んだ。日本相撲協会はあらためて伝統を重視する姿勢を打ち出し、角界を巡る「女人禁制」は今後も議論を呼びそうだ。
(略)
 同じクラブの青木菜南(ななみ)さん(7つ)=焼津市・大富小2年=は兄と弟がちびっこ相撲に参加した。「ずるいと思った。私も上がって、力士と稽古したかった」と悔しさをにじませた。
(略)
 スポーツライターの玉木正之さんは「大相撲の女人禁制は『血は穢(けが)れ』であるとする神道に結び付いているとされるが、女児の土俵参加は問題ない。協会は女人禁制の本来の意味を分かっていない」と批判する。(沢田佳孝、福島未来)


相撲の伝統がそういうもの(女人禁制)だから、というのなら、なぜ昨年までは女児の参加が認められていたのか。巡業部長が交代したくらいでころころ解釈の変わる「伝統」とは何なのか。

協会は何かというと相撲は「神事」だと言い、神道を持ち出して「伝統」を正当化するが、女人禁制の理由が神道の「血穢」であるなら、月経のない女児まで排除する理由はないなずだ。協会は自分たちが何を根拠に「伝統」を主張しているかさえ分かっていないのではないか。

こうした矛盾を突かれると、協会は今度は「安全確保のため」だと言い出した。

スポーツ報知(4/12)

女児を土俵に上げないのは安全確保と芝田山広報部長「顔に傷が残ることになってはいけない」

 8日に静岡市で開催された大相撲春巡業で関取が子どもに稽古をつける「ちびっ子相撲」に参加予定だった女児が、日本相撲協会の要請で土俵に上がれなかった問題で、芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は12日、「安全確保のためです」と説明した。
(略)
 その背景として、これまでの巡業で保護者などから男子より女子がちびっこ相撲で負傷するケースが目立つとの意見があった。「男子はけがをしていいというわけではないが、女の子が万一、けがをして顔に(一生残る)傷が残ることになってはいけない。安全面も考えてそうなった」(芝田山部長)という。(略)「女性を(土俵に)上げる、上げないのではなく危機管理の問題」と芝田山部長は一部報道であった女性排除ではないと強調した。

ちびっ子相撲は取組ではない。体格でも力量でも圧倒的に上の現役力士が、子どもたちに軽く胸を貸してやるだけのイベントだ。そもそも大きな危険などないし、本当に危険なら男児の参加も認められないはずだ。

思いつきで後付けの理由をこしらえようとするから、7歳の女児に論破されるようなみっともない結果になるのだ。しかも、安全確保が理由なら、安全面で問題なければ女性が土俵に上がっても構わないではないか。


今回の件ではっきりしたのは、協会は相撲の伝統とは何かも、なぜそれを守らなければならないのかも理解していない、ということだ。単に「神事」「神道」を自らの権威付けに利用したいだけで、その結果、何の自覚もなくあからさまな女性差別を繰り返している。


もはや公益法人格を剥奪すべきかどうか、などというレベルではない。こんな差別団体はとっとと滅びるべきだ。

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