ツイッターで「ブースカちゃん」さんが、日中戦争に従軍した経験を持つ方に、「聞いてはいけない質問」をしてしまったという話を書かれていた。
僕は1回だけ、従軍経験者に、聞いてはいけない質問をしてしまったことがある。
— ブースカちゃん (@booskanoriri) 2018年8月16日
そのことを連ツイします。
(・ω・) https://t.co/H0sQBwnpPY
僕は学生時代、岐阜飛行場へ毎日のように飛行機の写真を撮りに行っていたんだけど、そこに梨畑があった。
— ブースカちゃん (@booskanoriri) 2018年8月16日
梨園の所有者だったおじいさんとは、すっかり顔見知りで、僕が行くといつも軽口を言ったりする仲良しになった。
その老人のことを、僕らは「ナッシー」なんて呼んでいた。
(・ω・)
ある日、たまたまナッシー翁と戦中の話になった。
— ブースカちゃん (@booskanoriri) 2018年8月16日
ナッシー翁も陸軍に従軍して支那戦線に行ったという話だった。
(・ω・)
たいした話もしなかったけれど、ニコニコ話しているナッシー翁に、僕は軽い気持ちで
— ブースカちゃん (@booskanoriri) 2018年8月16日
「支那大陸だったんだ。じゃあずいぶん悪いこともしたんじゃないの。(笑)」
と言ってしまった。
言ってはいけないことだった。
( ˘ω˘ )
僕のその言葉を聞いたナッシー翁の表情が一瞬にして変わった。
— ブースカちゃん (@booskanoriri) 2018年8月16日
体はこわばり、目は虚空を泳ぎ、震える半開きの口からは、もう言葉は出てこなかった。
僕はあんな人の表情、姿を、初めて見た。
激しく後悔したけれど、もう遅かったんだ。
( ˘ω˘ )
岐阜の郷土部隊は歩68連隊で、第二次上海事変で呉淞へ上陸し、そのまま南京攻略戦に加わっている。
— ブースカちゃん (@booskanoriri) 2018年8月16日
ひょっとしたら、ナッシー翁は、そこにいたのではないか。
僕が親父に「呉淞敵前上陸の武勲」を聞かされていた歩68の、一人だったのではないか。
( ˘ω˘ )
僕はもうナッシー翁に会うこともないし、ご存命なのかどうかもわからないけど、語られなかったことは、あまりに多いと思う。
— ブースカちゃん (@booskanoriri) 2018年8月16日
彼らが語れなかったことは、あまりにも多いのだろうと思うんだ。
( ˘ω˘ )
「ナッシー翁」さんの所属部隊である歩兵第68連隊は、上海戦のあと南京攻略戦に参加し、民間人をも含む大量の「捕虜」を虐殺する結果となった南京城内の掃蕩にも参加している。1937年12月16日(南京陥落から3日後)の同連隊第3大隊陣中日誌には、「爾後じご捕虜兵は一応調査の上各隊に於て厳重処分すること」との記載がある[1][2]。厳重処分とは、つまり殺せということだ。
歩兵第68連隊はその後も敗戦まで中国各地を転戦しているので、この方が中国で何らかの残虐行為に参加した可能性は高いだろう。
戦後復員した元日本兵たちは、戦場での苦労話を語ることはあっても、自分が手を下した残虐行為については、家族にもほとんど語らなかった。
しかし、いくら沈黙し、忘れようとしても、戦争だったから、命令には逆らえなかったからと自分自身に言い訳をしても、残虐行為の記憶は確実に心を蝕んでいく[3]。
保坂 (略)僕は医学システムの評論やレポートなんかも書くから医者からよく相談されるんですけど、八十代で死にそうなおじいさんがいるというんですよ。
京極 ほう。
保坂 四十代の医者が僕のところにきて、もう動けないはずの患者が、突如立ち上がって廊下を走り出すというんですよ。そして、訳わかんないことを言って、土下座してしきりにあやまるというんです。そういう人たちには共通のものがある。僕はこう言うんです。「どの部隊がどこにいって戦ったかというのを、だいたいは僕はわかるから、患者の家族に所属部隊を聞いてごらん」。みんな中国へ行ってますよ。医者はびっくりします。
京極 ひどいことをしたのをひた隠しにして生きて来られたんですね。
保坂 それを日本はまだ解決していない。
このような最期を迎えないためには、すべてを告白し、謝罪して許しを乞う以外にはないのだが、もちろんそのような行為には大変な勇気を要する。
それができた人は、本当に少ない。
[1] 藤原彰 『新版 南京大虐殺』 岩波ブックレット 1988年 P.31
[2]『陣中日誌 第5号 自昭和12年12月1日至昭和12年12月31日 歩兵第68連隊第3大隊本部(2)』 国立公文書館アジア歴史資料センター C11112199800
[3] 『スペシャル対談 京極夏彦×保阪正康』 IN・POCKET 2003年9月号 講談社 P.30-31
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