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故・翁長沖縄県知事を侮辱するデマの発生源は青山繁晴

米軍基地への姿勢が争点となる沖縄の選挙は(選挙のない期間も大差はないのだが)、常にデマとの戦いとなる。

故・翁長雄志知事の遺志を継いで、基地負担を軽減し、豊かで誇りある沖縄の実現を目指す候補者を選ぶか、口当たりの良い言葉を弄しながら、実際には自公政権の意に従うだけの行政官となる候補者を選ぶかが最大の争点である今回の知事選挙でも、もちろん大量のデマが流されている。

■ 翁長知事が中国の支援を受けていたというデマ

中でも悪質なのが、翁長知事が中国の支援(とその意向)のもとで米軍基地の新設に反対していたかのように匂わせるタイプのデマだ[1]。

「翁長知事に中国の支援」 沼津市議が投稿、 根拠示さず

 静岡県沼津市の小澤隆市議(32)=無所属=が9日付の自身の短文投稿サイト「ツイッター」に、8日に死去した沖縄県知事の翁長雄志さんについて「前回の知事選挙においても中国の支援を受けていることが確定だったといわれている」との投稿をしていたことが16日、分かった。

 発言の根拠について小澤市議は本紙取材に「どのメディアで誰が発信したのかは思い出せていませんし確認も出来ない」とメールで回答。さらに「申すまでもなく、私が一次情報を持っているわけではありませんから、沖縄県内で取材なさったほうが真実に近づけるのではないでしょうか」とした。
(略)

この市議、誰の発言だったかも思い出せない内容を公言しただけでなく、根拠を確認する責任を相手側に転嫁するという無責任さには呆れるほかない。こんな人物が、「沼津市倫理法人会」なる団体で「倫理の道」とかを説く講演などをしているのだ。

■ デマのネタ元は青山繁晴

当初は誰の発言か思い出せないと言っていた小澤市議だが、どうやらその後、ネタ元が青山繁晴だったことを思い出したようだ。


では青山繁晴は翁長知事について何を書いているのか。調べてみると、これがまたとんでもないデマの連続なのだ[2]。

 那覇市に聾え立つ県庁はもはや沖縄県民の県庁ではない。言いにくくても言わねばならない、中国の野望の拠点かのようになりつつある。
 こころある県庁マン、県庁ウーマンたちも、少なからぬ県民と共にどれほど苦しんでいるか。
 中国は前知事時代に「この仲井眞弘多知事は、元は帰化人の一族のくせに中国に靡かない。新しい傭偶知事を探す」と決意した。推測ではない。福岡にある中国の総領事館を拠点とする対沖縄工作の証拠を日本政府のインテリジェンスは把握している。
 現在と先代の二代にわたる総領事が秘かに那覇に何度も入り、経済人をまじえた秘密会議を開いた。
 その席上、「那覇市長(当時)の翁長雄志なら靡く。自民党の沖縄県連の幹事長まで務めた男だが、自民党中央の扱いに強い不満を持ち、その裏返しで知事の座を射止める野望を持っている」という工作活動に基づく分析を示している。
 そして西暦二〇一四年十一月の沖縄知事選で翁長候補を徹底的に支援することを、中国共産党中央の指示として、こうした秘密会議で下命した
(略)
 本書で一度、述べたように翁長さんは知事に当選後、四月に訪中され、李克強総理と自治体首長としては異例の直接会談を実現した。中国はあからさまに歓待してみせた。
 安倍総理にはちゃんと頭を下げて挨拶すらしない翁長知事は、この外国の総理、李克強さんには最敬礼をされ、まるで中国の皇帝に冊封された琉球王のごとく眼も上げずひれ伏すかのように、「那覇と福建省のあいだに定期の航空便を開設していただきたく」と願い出た。
(略)
 この定期便の開設という案こそが実は、福岡駐在の中国総領事の発案であり、翁長さんが当選する前に耳打ちしたアイデアであった。

工作員と観光客の区別
(略)
 たった今、そしてこれからずっと大量の中国人が中国の航空機によって那覇から沖縄全県に入る。
 それは長崎県の対馬が、大量の韓国人観光客によって韓国化されようとしている事実と似ていて、さらに規模としては遙かに大きい。
 沖縄県内の経済界には、これも報道されないが翁長県政への強烈な批判が膨らんでいる。(略)翁長知事は、その批判が表面化しないよう、チャイナマネーの導入で沖縄経済を中国化しょうとしているとも言える。
 飛行機から那覇に降り立つのは多くが観光客にみえるが、もちろん工作員と観光客の区別はつかない。
 決定的な事実とも言えるのは、前述した中国の総領事による那覇秘密会議で、中国共産党の聖なる直接指示として出されたひとつが「沖縄からの米軍の放逐」であったことだ。
 これも推測ではなく証拠がインテリジェンスによって把握されている。

「2014年の知事選での中国による翁長氏支援」を明記しているだけではない。青山繁晴によれば、那覇と福建省との間の定期航空便の開設が、工作員を送り込んで沖縄を中国化し、沖縄から米軍を放逐するための中国共産党の秘策なのだそうだ。

バカなの?

それとも、自分の本を読むような連中はこの程度のヨタで騙せると踏んでいるのか。

中国との定期航空便など、沖縄だけでなく日本全国に飛んでいる。日本の小売業界は中国人観光客によって支えられていると言ってもいいくらいだ。そして、一番本数が多いのはもちろん我が国の政治・経済の中枢である首都東京だ。国会議員である青山繁晴氏は、沖縄の心配などする前に、スパイ防止のため中国―東京間の定期航空便を全廃するよう安倍政権に緊急提言でもしたらどうか。

ちなみに、「日本政府のインテリジェンス」w が根拠だと主張する青山繁晴やそのお仲間の信憑性がどの程度かは、同じ本に書かれている次の「龍柱」エピソードからもよく分かる。

翁長知事が建てた「龍柱」
(略)
 わたしは潮風に晒された市役所で市長(注:中山義隆石垣市長)と向かい合った。誰にも何も頼まれてはいない。社長を務める独立総合研究所の自費で訪れ、ひとりの主権者として「市長が市内で入れない土地(注:尖閣諸島のこと)がある」という奇っ怪な現実をいかに打ち破るかを議論した。
 「第一には、石垣市民に加えて沖縄県民全体を味方に付けねばなりませんね。前知事の仲井眞弘多さんは、沖縄には年々、中国の影響力が浸透していると知事時代に危機感をわたしに語られていました。そして現実に、今の翁長雄志知事は何をなさっているか。たとえば『龍柱』です。中国の石材を使い、中国の業者に公金を支払い、那覇空港から那覇市内に通じる沖縄の玄関口に、龍の柱を建ててしまいました。これは中国の皇帝に冊封された地であることを象徴する意味を持ちます。もちろん知事周辺は、ただの観光シンボルと弁明しますが、まともな神経ならこころが冷える巨大な柱がなぜ観光資源でしょうか。世界のほかの国ならどこでも、まず地元の国民が、このような柱は打ち倒してしまうでしょう」

普天間にある米海軍病院の正面玄関がこちら。(画像出典:Google Map

どうやら在沖米軍は既に中国に降伏済みのようだ。ww

[1] 『「翁長知事に中国の支援」 沼津市議が投稿、根拠示さず』 琉球新報 2018/8/17
[2] 青山繁晴 『ぼくらの哲学』 飛鳥新社 2017年 P.218-222

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