ネトウヨの次は感染者を増やしたいのか?
新型コロナウイルス問題でも、小林よしのりが安定のトンデモ論を展開している。
小林よしのり
— M16A HAYABUSA (@M16A_hayabusa) April 12, 2020
「どうせ感染者は増え続ける。自粛を止めて、経済を回せばいい! 集団免疫で必ず感染も止まる!」
‥ネトウヨの次は感染者を増やす気か?よほど日本を潰したいようだ。 https://t.co/Kj0zhzKIF5
あまり話題になっていないのが不思議な小林よしのり先生のコロナ論(『SPA!』連載『ゴーマニズム宣言』より) pic.twitter.com/X2PkVhu7bQ
— 吉田光雄 (@WORLDJAPAN) April 11, 2020
小林のブログ(4/11付記事)でも上のSPA!連載と同じでこんな感じだ。
自粛を止めて、経済を回すべし
(略)
国内のコロナ感染者数は5347人、死亡者数は88人。(略)
PCR検査なんか何の役にも立たない。
医療崩壊を招くだけだ。
医療関係者は重症患者だけに全力を注いでくれればいい。
死者数だけが重要であり、現在の日本の死者数88人、例え100人以上になっても、この増加ペースの遅さは、海外に比べて驚異的である!(略)
死者数はごまかせないし、死者数の少なさが都合の悪い「デマ恐怖」の拡散派は、肺炎死の中にコロナ死がいるんじゃないかと陰謀論を唱えているが、厚労省がこれを否定している。
肺炎死もPCR検査をやっているという。(略)
どうせ感染者は増え続ける。自宅療養しておけばいい。
緊急事態宣言やっても、自粛を要請しても無駄!
ならば経済を回した方がいい!
補償なんか無駄!
自粛を止めて、経済を回す!それしかない!
「集団免疫」で必ず感染も止まる!
PCR検査ではなく、検査をしないことが医療崩壊を招く
まず、いくらPCR検査をしても、それで医療崩壊になどならないことは既に明らかだ。徹底的な検査と隔離で感染の封じ込めに成功しつつある韓国やドイツなどの例を見るまでもなく、検査によって少しでも多くの感染者を見つけて適切な施設に隔離できれば感染拡大の防止にも医療スタッフの感染防止にも役立つことは、論理的に物事を考えられる者にとっては自明だろう。
この国で起こっている現実はこれとは逆で、まともに検査をしてこなかったせいで見落とされた多くの感染者が自宅療養で家族に移し、入院すれば他の患者や医療スタッフに移して医療崩壊を招いている。
死者数はごまかせないというが、検査人数を異常に絞っている以上、「新型コロナウイルスによる死亡と確認された死者数」が少なくなるのは当り前の話だ。また、肺炎による死者にPCR検査を行っているという話など、小林がブログに書く前に田崎史郎がモーニングショーで言い張ったあげく、速攻で嘘がバレている。
◆4/6 田崎史郎氏「肺炎で亡くなった方のうち新型コロナの疑いのある方はPCR検査をしている。亡くなった方は全員CT検査をしている」
— 盛田隆二Morita Ryuji (@product1954) April 7, 2020
◆4/7 東京都は肺炎で亡くなった方のうちPCR検査を実施したのは3件のみと判明。田崎発言は事実ではなかった。ちなみに肺炎の死亡者は年間119,000人 #モーニングショー https://t.co/bW6G2q4BuG
「集団免疫で感染を止める」の意味
どのような感染症でも最終的には集団免疫の獲得によって感染拡大が止まるのは事実だが、今回のコロナのようなワクチンのない新たな感染症に対して「集団免疫ができる」というのが何を意味しているか、小林は分かっているのか。
コロナ程度の感染力を持つ病原体への集団免疫を獲得するには、集団成員の約6割が感染して免疫を得る必要があると言われている[1]。人口1億2000万の日本の場合、必要となる感染者数は約7200万。小林が挙げた数字をそのまま適用して致死率を88/5347=1.6%と仮定しても、集団免疫を獲得するまでに約115万人の死者が出ることになるのだ。
しかもこれは医療崩壊も人工呼吸器の不足も起こらなかった場合の話で、何もせずに感染拡大を放置などしたらこんな数字では済まない。少なくともこの10倍は死ぬことになるだろう。
小林よしのりとか自粛せずに経済回せとか言ってるらしいが、そもそも死ぬの基礎疾患のある年寄だけとか死亡率は1~2%って医療機関が万全で重症者に人工呼吸器等が使えることが前提だからな。
— 愛国心の足りないなまけ者 (@tacowasabi0141) April 12, 2020
そうじゃなかったら1~2割は出ると言われてる自発呼吸できなくなる重症者の多くが亡くなるってことだぞ。
敵を侮り慢心して事に当たれば必ず負ける
まあ、何らかの未解明の理由で日本ではコロナの感染が広がりにくいという可能性もなくはないが、未知の脅威に対しては常に最悪の事態を想定して対処しなければならない。甘く見ていて「あて」が外れたら後がないからだ。
コロナという「敵」を甘く見る小林の態度は、先の大戦で連合軍を侮り、根拠のない楽観論に頼って惨敗を重ねた旧日本軍のそれとそっくりだ。歴史から学ばない者は今の問題への対応でも常に間違うのだ。
[1] 『感染症の「集団免疫」対策 なぜ英国は撤回したのか?』 ナショジオスペシャル 2020/4/12