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嘘つくな!もやウィン: 第4話 国会の議論

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自民党の「もやウィン」改憲マンガ、第4話の「国会の議論」では、改憲したい項目として、以下の4つを示している。

しかし、第3話で自分で言っていたように日本国憲法の平和主義を厳守して「外国との争いが起きても平和的に解決する」のなら「自衛隊の明記」など不要なはずだし、「合区解消」も「教育充実」も普通の法律レベルでどうにでもなる話で、憲法をいじる理由にはならない。

「緊急事態対応」に至っては、定義すら不明の「緊急事態」を口実に内閣だけで好き勝手に法律を作り、「何人も」これに従わなければならないというのだから、とんでもない独裁条項だ。

自民党は「政権政党だからこそ」責任を果たすために改憲をするのだと主張しているが、何十年も政権の座にいたあげくにこんなロクでもない項目しか出てこないのだから、党内でしているという「議論」のレベルも推して知るべしだろう。

この点については、もともと改憲論者だった小林節・慶応大学名誉教授がこんなふうに実態を暴いている。[1]

――長年、自民党のブレーンとして活動してきましたが、最近は「自民党の議論に嫌気がさした」とおっしゃっています。

30年ぐらい我慢して自民党を説得しようと思ったんだけど、通じないことが分かったんだよね。自民党の勉強会に呼ばれて話をすると、意見が合っているときは、「教授」「博士」と呼ばれるけど、意見が合わないと、俺より若い世襲議員に「小林さん、あんたね、学者に現実が分かるか」と罵倒される。人間として、育ちがおかしいと思ったね。今や世襲議員は自民党の過半数。首相に至っては3世議員、しかも父方、母方とも3代世襲だからすごいよな。

彼らは「どうして憲法は政治家や公務員だけが守らないといけないんだ」と言う。「いや、憲法ってそういうもんです。何よりも政治家以下の公務員を縛るものです」という押し問答を何度もやった。最後は「自分たちが守らなくてはいけないのは認めるとしても、一般国民は守らなくていいのか」という議論になったから、「主権者である国民が憲法をつくったことになっている。作者自体が作品を守らなくていいはずはない」と答えた。すると「そうだ、国民も憲法を守らないといけない」と喜んでいる。全然観点が違うんだよ。この馬鹿さ加減がすごくイヤになってきた。

教授時代には、自民党の幹部職員から電話があって「先生、ちょっと論調を変えていただけると、講演のお仕事とか差し上げられるんです」って言ったんだ俺に。御用学者と一緒にするな、「バカヤロー」と言って電話を切ったんだ。縁が切れる潮時だったんだよ。

ちなみに、小林氏が言う、国民が憲法を「守る」というのは、憲法が有名無実化しないよう、「国民の不断の努力によつて(第12条)」これを国家権力から守らなければならないという意味であって、自民党議員の言う「守る(=法律のようにその規定に従う)」とは逆の意味である。

安倍晋三が代表格だが、自民党の大半を占める世襲議員などというのは「家業」として議員をやっている政治屋で、しかもその多くは戦前戦中から権力の周辺にいた者たちの子孫だ。彼らは、当時の帝国憲法のような抑圧的な憲法の下で、好き勝手に権力を振るいたいだけなのだ。

彼らの本音は、平和や人権を主張されると「おじけづく」から、そんなものは憲法から無くさなければならない、という長瀬甚遠(第一次安倍内閣での法務大臣)の発言から明らかだろう。

何度でも言うが、こんな政治屋連中になど、絶対に憲法をいじらせてはならない。

[1]  吉野太一郎 『安保関連法に違憲訴訟を準備 「改憲派」小林節・名誉教授はなぜ「憲法を守れ」と叫ぶのか』 HUFFPOST 2015/12/30

 

あたらしい憲法草案のはなし

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