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【東日本大震災】被災地を支援した中国人たちと、中国人を殺そうと被災地を徘徊していた右翼

10年前、東日本大震災が起こると、中国からも多くの支援が寄せられた。また、お金や物資という形での支援だけでなく、日本国内に住んでいた中国人留学生や華僑の人々がボランティアとして被災地に入り、復興のための様々な作業に携わってくれた。

 10年前、東京で留学生活を送っていた呉美麗(Wu Meili)さんは震災後の5月初め、ボランティア活動で気仙沼市を訪れた。一行の中には他に3人の中国人がいた。 呉さんのチームの仕事は農地整備だったが、耕運機などはなく、鍬(くわ)だけを使って5日間連続でひたすら働いた。

 龔雷(Gong Lei)さんも、ボランティア活動で同市を訪れた中国人留学生の一人だった。災害廃棄物の処理を手伝ったほか、被災者のために馬頭琴や二胡など中国の民族楽器を演奏し、地元の多くの高齢者に喜ばれた。

中国人たちが不幸に見舞われた日本を助けようとしてくれていた頃、その日本の右翼が何をしていたかといえば、差別的デマを鵜呑みにし、中国人がいたら殺してやろうと被災地を徘徊していたのだ。

この動画の中で、若い右翼団体幹部がこんなことを語っている。

右翼は個々にいろんな活動してますよ。ボランティアとか。

まあ僕は東日本大震災のときはまだ道路もついてないような陸前高田に4百人分の豚汁とおにぎり持って炊き出しに行きましたよ。いち早く助けに来てくれた、つって、市長から表彰されましたね。

あと石巻とかは、中国人がね、亡くなった方の腕や指切って貴金属盗んでるって聞いて、こりゃ許せないだろってことで、被災地治安維持警備隊っていうのを結成して、パトロールしましたね。

無線の他に催涙ガスとかスタンガンとか鉄パイプ、フル装備なんですけど、あまり意味ないんですよ。まわりがガレキだから、角材とか金属バットとかゴルフクラブ、ゴロゴロしてるんですね。

で、一番危険地帯って言われるところに行くんですけど、警察が一人もいないんですよ。

で、すれ違う人に声かけて、こんばんは、って。返事がなければいろいろ話しかけて、そんで中国語でもしゃべろうもんならその場で殺しちゃえ、ってね。ガレキに埋めときゃわかんねえ、つって。

まあ、結果、いませんでしたけどね。

やっていることは、関東大震災時の自警団と同じである。百年近く経っても何一つ学んでいない。恐らくこの右翼など、関東大震災時に自警団による朝鮮人や中国人の虐殺があったことさえ知らないのだろう。

時期と場所がずれていたおかげで、東日本大震災では右翼が無辜の中国人を虐殺するという悲惨事は起こらずに済んだ。これは被災地在住の中国人や中国人ボランティアだけでなくこの右翼にとっても実に幸運なことだったのだが、自慢気にこんなことを語るこの右翼はそれすら理解できていないのではないか。

関東大震災から今に至るまで、この国の右翼は一貫して害悪でしかない。