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もしもUFOが異星人の乗り物だとしたら、それはとても良いことである。

米国政府がUFOの実在を認めた

6月25日、米国(国防総省と国家情報長官室)は、長らく待たれていた未確認飛行物体(UFO)に関する報告書(Preliminary Assessment: Unidentified Aerial Phenomena)を公開した。

この報告書では、2004年から2021年までに米軍及び米情報機関から報告された144件の事象について調査した結果から、UFOは以下のいずれかのカテゴリに分類できるとしている。(*報告書では「UAP=未確認空中現象」と呼んでいる。)

  1. 鳥、気球、ドローン、ポリ袋など、空中にある雑多な物体。
  2. 氷の結晶、湿度や温度の高い空気塊など、一部の赤外線システムやレーダーに記録される可能性のある自然の大気現象。
  3. 米国政府または民間企業の開発した飛行物体。
  4. 中国やロシアなどの敵対的な国または非政府組織が開発した技術によるもの。
  5. それら以外の、データや科学的知識の不足により現状では同定できないもの。異常な飛行特性や痕跡を示した少数の事例を含む。

しかし、144件のうちはっきりと正体が判明したとされているのは1事例だけ(しぼみつつある大きな気球だったという)であり、それ以外はすべてカテゴリ5ということになる。そして、それらの中に地球外文明の産物が含まれている可能性を否定できていない。

もちろん、だからといって、ただちにUFOが異星人の乗り物とか探査機だということにはならないが、仮にそうだとしたら、それは果たして人類にとって良いことか悪いことか、どちらだろうか。

私は、以下の理由から、それはとても良いことだと思う。

人類は孤独ではない

今世紀に入ってから太陽系外惑星は続々と発見されており、その数はすでに数千個に達している。しかし、それでもなお、生命の発生と、その知的生命体への進化に適した環境にあるとはっきり言えるような星は見つかっていない。

もちろん、銀河系内だけでも約千億もの恒星があり、その大半が惑星系を伴っているのだから、そのどこかに知的生命体がいるのは確実だとは思えるが、それはあくまで確率的な推定でしかない。もしかしたら地球はまったく奇跡的な存在で、人類はこの宇宙に存在する唯一の知的生命体なのかもしれないのだ。

しかし、UFOが異星人の作ったものだとなれば話は別だ。それは人類以外にも知的生命体が存在する確実な物的証拠だと言える。

恒星間航行が可能であることを証明している

また、それは単にこの宇宙で人類が孤独な存在ではないことを立証するだけではない。恒星間の気の遠くなるような距離を越えて旅をすることが可能であることをも立証している。

今のところ、相対性理論が示す光速という限界を超えて宇宙を旅する方法は見つかっていない。アルクビエレ・ドライブといったアイデアは提案されているが、実現方法となるとまるで見当もつかない状態だ。原理的に実現可能と思われる推進方法(核パルス推進やレーザー推進)ではせいぜい光速の1割程度までしか到達できそうになく、これでは恒星間航行は無理だろう。

しかし、現に異星人の作ったUFOが地球まで来ているのであれば、恒星間航行は実際に可能であり、ただ単に人類がまだその方法を発見できていないだけということになる。

侵略されることを心配する必要はなさそうだ

異星人に地球の存在を知られたらたちまち侵略され、人類は滅ぼされてしまうのではないかと懸念する人は多い。有名なところでは、宇宙物理学者の故スティーブン・ホーキング博士が、繰り返し次のような警告を発してきた。[1]

 いきなり話はオカルトっぽくなるが、ホーキング博士はいたって真面目に宇宙人のことを考えていたようで、再三にわたって「宇宙人と接触するべきではない」と警告していた。中国が貴州省に建設した巨大望遠鏡で「宇宙信号らしきものを受信した」と発表した際も、「応答するな!」と強く警告。「どんな意図を持っているかわからない相手に、人類の居場所をまだ教えてはならない」というのだ。

「地球外に知的生命が存在する可能性はかなり高く、資源や居住場所を求めて宇宙をさまよっている恐れがある。もし宇宙人が来たら、アメリカ先住民にとってのコロンブスの新大陸発見と同じような結果(大虐殺)になる」ということを、複数のインタビューで語っている。

博士の警告はもっともに聞こえるが、だとしたら、現に異星人のUFOが来ていたらもう手遅れのはずである。科学技術において圧倒的優位に立つ彼らに侵略の意図があったなら、とっくに人類は征服されているはずだ。しかし、UFOの目撃報告は1940年代からあるにもかかわらず、いまだに地球は侵略されていない。

これは個人的な推測だが、ホーキング博士が恐れたような野蛮な知的種族は、恒星間航行が可能なレベルに達する前に、自らの星の環境を破壊するなどして自滅してしまうのではないか。

人類は異星人の侵略を心配する前に、「資源や居住場所」をむさぼり尽くす自らの貪欲さを恐れたほうが良さそうだ。

[1] 「「宇宙人に侵略される」ホーキング博士が生前に強く警告したワケ」 日刊SPA! 2018/5/5