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ついに日本国内で撮られた祝勝写真を「南京市民が日本軍を歓迎していた証拠」と言い出すネトウヨさんが出現

2010年頃から、水間政憲というビジウヨが、南京戦当時日本の翼賛マスコミが演出して撮影したプロパガンダ写真を根拠に、日本軍は中国の人々に親切だったし歓迎されていたと主張するクズ本を出すようになった。以来、そうした写真を貼り付けてはドヤ顔で虐殺を否定するネトウヨが続出している。

この手のプロパガンダ写真がどのようにして撮影されていたのかは、当時野蛮な日本軍から民衆を保護するために奔走していた南京安全区国際委員会のジェームズ・マッカラム牧師が日記に記録している。[1]

(1938年)一月九日

 難民キャンプの入口に新聞記者が数名やって来て、ケーキ、りんごを配り、わずかな硬貨を難民に手渡して、この場面を映画撮影していた。こうしている間にも、かなりの数の兵士が裏の塀をよじ登り、構内に侵入して一〇名ほどの婦人を強姦したが、こちらの写真は一枚も撮らなかった。


現地住民の生殺与奪の権を握っていた日本軍の指導のもと、中国人に演技をさせた写真をそのまま真実と思い込んでいるのだから愚かとしか言いようがないのだが、今度はついに、そんなプロパガンダ写真ですらない、日本国内で撮られた写真を根拠に「南京市民は日本軍を歓迎していた」と主張するネトウヨさんが現れた。

この写真、実際には敵国首都南京を陥落させた勝利を祝ってお祭り騒ぎをしていた日本国内で撮られた中の一枚である。

信州戦争資料センターさんの検証によると、もとは『世界画報』1938年2月1日号に掲載された、カフェーでの祝賀風景とのこと。


しかしこの写真、出典を調べるまでもなく、写っている女性が全員和服を着ているのを見れば、中国人ではなく日本人の集団を撮影したものであることなどひと目でわかる。なぜそんなことさえ気付かずに「日本軍は南京市民に歓迎されていた」などと言ってしまうのか。

ウヨは真実を知りたいなどとは少しも思っておらず、とにかく日本軍の残虐行為を否定したいという願望から出発して、その裏付けになりそうな「ネタ」を探している。だからどんなに杜撰な「証拠」にも引っかかるし、判断力のレベルは際限なく低下していくのだ。

これが「普通の日本人」である。もう笑うしかないが、ある意味笑いごとではない。

[1] 南京事件調査研究会 『南京事件資料集 ①アメリカ関係資料編』 青木書店 1992年 P.266

 

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