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昆虫食推進派の言い分が支離滅裂になりつつあるんだが。。

先日、こちらの記事で「昆虫食」についてまとめてみた。

この記事でも書いたように、現状の工業型畜産は到底持続可能とは言えず、可能な限り早く畜肉などのタンパク源をより環境負荷の低い何らかの代替物に置き替えていく必要がある。

これは昆虫食を推進してきた人々もずっと言い続けてきたことで、この主張自体はまったく正しい。

ところが、「コオロギ給食」騒動で大炎上した結果か、最近、彼らの言い分が奇妙に変わってきている。

www.dailyshincho.jp

こちらのデイリー新潮記事(3/29)で、昆虫食研究者の鈴木丈詞氏(東京農工大学大学院准教授)がこんなことを言っている。

「食料危機の問題と一緒に提示されることで、昆虫食を強制されているようなメッセージを感じてしまう方もいると思います。当然ですが、食べたい人が食べればいいものであって、抵抗や不安を感じる人が昆虫食をする必要はありません。また、昆虫食の利用によってたんぱく質の供給が増えても、食料問題を直接解決できるわけではありません(略)こういった指摘はムーンショット事業のメンバー内でもありましたし、私自身も違和感を覚えていましたが、サイエンスコミュニケーションにおける方針の修正が見過ごされてきてしまいました」

(略)

「研究を始めた当時は、コオロギは生物学分野で昔から使われてきた実験動物という印象で、コオロギパウダーを使った食品を口にしても、おもしろいけど積極的には食べないかな……という気持ちがありました。ところが、新鮮なコオロギとバッタを竜田揚げしたものを食べて、美味しかったんです。コオロギやバッタは油との相性が良く、食感は小エビに似ています。虫の見た目が苦手な人は多いとは思いますが、パウダーにするよりも新鮮な虫体を加熱調理して食べるほうが美味しさを感じられると個人的には思います。(略)一方で、食べ物がない時に食べる救荒食物だと実体験から認識されていたり、印象を抱いていたりする方もいると思います。このイメージを改善し、『美味しいから食べる』、つまり食を豊かにする食材の一つとしての可能性を昆虫養殖研究を通して検証していきたいです」

昆虫では畜肉の代替にはならないし、新たな食材が多少増えるだけで、いくら昆虫を食べても食料問題は解決できないというのなら、では何のために官民一体となってコオロギ食などを推進しているのか? 昆虫でも(人によっては)美味しいと感じるものはあるから食べたい人は食べればよい、というだけなら、それこそ市場に任せておけばいいのであって、そもそも「推進」などするべきではない。

ちなみに、畜肉問題の解決策として昆虫食とともに挙げられるのが植物肉や培養肉だが、こちらはどうなっているかというと、たとえば昨年11月に培養鶏肉「UPSIDE Foods」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を得たのに続き、今度は「GOOD Meat」が承認を得ている。GOOD Meatは米国だけでなくシンガポール当局からも承認を得ており、小規模ながら既に当地で販売されている。

karapaia.com

 GOOD Meat によると、製品を食べたシンガポール人の 70% が、従来の鶏肉と同じかそれ以上の味がすると答え、レストランのほぼ 90% が、従来の鶏肉を養殖鶏肉に置き換えると答えたという。

 培養肉は、動物細胞の少量のサンプルに由来し、栄養分を与えられ、肉のカットに加工される前にスチール製のバットで成長する。

 家畜に由来する世界の温室効果ガス排出量の 14.5% を削減できるため、環境上の利点となる培養肉製品は、今後世界の食料安全保障の研究で知られる有名シェフのホセ・アンドレスが所有する30店舗のレストランで販売される予定だそうだ。

昆虫食と培養肉(植物肉も含め)のどちらがあるべき食の未来かと言えば、もう結論は出ているのではないだろうか。

 

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