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玄海1号機の危険性について再度警告(1/2)

原発

 

玄海原発1号機の脆性遷移温度が異常に上昇し、危険な状態にあることについては、ここでも既に取り上げてきた。

この1号機の現状について、井野博満東大名誉教授が再度警告を発している。九電が初めて公開した監視試験片の生データを分析した結果、圧力容器の材質が不均一である疑いが濃いというのだ。

 

朝日新聞(10/3):

玄海原発 圧力容器「欠陥の可能性」

 

 九州電力玄海原発1号機の原子炉圧力容器の鋼のもろさを示す脆性(ぜい・せい)遷移温度が急上昇している問題で、唐津市議会が県に安全性の検証を求める意見書を可決、玄海町議会でも一般質問で取り上げられるなど、地元の関心が高まっている。温度上昇の理由について、東京大学の井野博満・名誉教授は朝日新聞との会見で、「圧力容器の材質不均一の可能性がある。欠陥圧力容器ではないか」と新たな見解を示した。

 

 1号機は、1975年10月に運転を開始、国内でも老朽化が進んだ原発のひとつ。九電は、原子炉圧力容器内に装着した監視試験片をこれまで4回取り出し、核分裂で生じる中性子照射による脆化の進み具合を調べてきた。その指標となる脆性遷移温度は1993年の3回目の取り出しでは56度だったのが、2009年4月の4回目には一挙に98度へと上昇した。

 

 98度は全国の原発の脆性遷移温度の中でも最も高く、玄海1号機は「日本で最も危険な原発のひとつ」ともいわれている。

 

 井野名誉教授は「中性子照射で脆性遷移温度が56度からいきなり98度に上がることは理屈上あり得ない」と指摘。「圧力容器を構成する鋼材には銅0.12%、ニッケル0.56%が含まれているが、銅の含有量が不均一のため急上昇したのではないか」と、圧力容器の材料に問題があるとの見方を示した。

 

 また、九電が7月11日に公表した監視試験片の生データを分析した結果、長さ約4メートルの原子炉圧力容器の鋼の板を溶接して貼り合わせる溶接部分周辺(熱影響部)の脆性遷移温度が約10度で、鋼材本体(母材)の温度を大きく下回っていることも突き止めた。

 

 井野名誉教授は「熱影響部は母材と同じ材料でできているので、母材と同じ温度になるはず。これも圧力容器の材質が不均一なせいではないか」と指摘。脆性遷移温度上昇の原因をはっきりさせるため、九電が脆性遷移温度の測定に使用した監視試験片を大学などの研究機関に送って詳しく調べることを提言した。

 

 これに対して、九電は「玄海1号機の脆性遷移温度上昇についての当社の見解は既にホームページで公表しており、井野名誉教授の分析に対して改めてコメントすることはない」としている。(田中良和)

 

調べてみると、宮崎日日新聞にもこんな記事が出ていた(7/24)。

玄海玄海原発 1号炉に欠陥可能性 東大名誉教授データ分析 鋼材の質ばらつき

 

 運転開始から35年以上たった九州電力玄海原発1号機(佐賀県玄海町)について、原子炉圧力容器に用いた鋼材の質にばらつきがあり、製造ミスの可能性があることが、井野博満東大名誉教授(金属材料学)らの分析で23日、分かった。九電が今月初めて公表した鋼材の劣化判断の基準となる「脆性(ぜいせい)遷移温度」の試験データを精査した。

 

 井野氏らの分析によると、試験片のうち、鋼材をつなぎ合わせた溶接部分周辺(熱影響部)の脆性遷移温度が、鋼材本体(母材)に比べ数十度低かった。熱影響部の方が脆性遷移温度が低く、健全性が保たれていることは異例。さらに、両者の温度差がこれほど開くこともまれで、総合すると、鋼材の場所により材質の組成が異なる可能性が高いと考えられる。

 

 また、試験片母材の脆性遷移温度は1993年に56度だったが、2009年には98度に上昇。理論上、十数年でこうした急上昇は考えにくく、同様に検査箇所により組成が異なる可能性を示唆しているとみられる。

 

 井野教授は「(運転を開始した)1970年代の原子炉の製造技術は未熟。鋼材の製造過程の欠陥も考えられ、耐久性も疑問だ」と指摘。安全性を確認するまで停止するよう主張している。

 

 九電は同教授の指摘に対し「鋼材の組成に不均質な部分があったとしても、脆性遷移温度の急上昇の主な要因とは断定できない」と話している。

 

同じ材料で作られているはずの格納容器母材と熱影響部の脆性遷移温度が大きく異なるのはおかしいし、溶接の影響を受けている部分のほうがそうでない部分より健全性が高いというのも、普通はあり得ない。材料そのものに何らかの問題があるはずだ。

井野名誉教授の指摘は極めて真っ当なものだ。

(続く)