読む・考える・書く

マスコミやネットにあふれる偏向情報に流されないためのオルタナティブな情報を届けます。

歴史認識

『はだしのゲン』が原爆を落としたアメリカの責任を追求していないという驚くべき主張

広島市の教育委員会が平和学習教材から『はだしのゲン』を削除してしまった事件に関して、右派「論客」の池田信夫がこんなことを書いている。 おもしろいのは、これだけ原爆の悲惨さを描いているのに、それを落とした国の責任をまったく問わないこと。目的は…

右派がこれほどまでに『はだしのゲン』を憎む理由

よりによって被爆地広島市の教育委員会が、『はだしのゲン』を来年度から使う平和学習教材から排除してしまった。 なぜなのか? 市教委の言い分によると、次のような理由だという。 東京新聞(2/18): 「はだしのゲン」は小学校3年生向けの教材に掲載。家計…

ついに日本国内で撮られた祝勝写真を「南京市民が日本軍を歓迎していた証拠」と言い出すネトウヨさんが出現

2010年頃から、水間政憲というビジウヨが、南京戦当時日本の翼賛マスコミが演出して撮影したプロパガンダ写真を根拠に、日本軍は中国の人々に親切だったし歓迎されていたと主張するクズ本を出すようになった。以来、そうした写真を貼り付けてはドヤ顔で虐殺…

自衛隊幹部たちのアジア太平洋戦争認識が阿Qの精神勝利法レベルというのはあまりに情けない

PRESIDENT Onlineに「防衛問題研究家(桜林美佐)」が3人の自衛隊元幹部(小川清史 元自衛隊陸将、小野田治 元自衛隊空将、伊藤俊幸 元自衛隊海将)にロシアのウクライナ侵攻や台湾問題について聞く、という記事[1]が載っているのだが、この中で彼らが語っ…

日本軍はドロボー集団

以前にも一度取り上げたが、小林よしのりの『戦争論』に、中国帰りの元兵隊で、戦争は「まるで海外旅行に行ってきたみたいだった」と、楽しげに語る親戚が出てくる。 戦闘で多少の怖い思いはしたものの、あとは毎日うまいものを食って楽しく暮らしていたとい…

加害者意識がまったくない陸軍二等兵漫画

『爆笑 陸軍二等兵物語』という、戦争体験者自身が描いた漫画がある。 作者の塚原平二郎氏は1920年生まれなので敗戦時点で25歳、陸軍に徴兵されて中国各地やベトナムを転戦している。漫画自体は創作だが、塚原氏自身の体験や兵隊仲間からの見聞をもとに描か…

天皇のためと信じて真剣に戦った若者ほど、敗けても責任を取らない天皇に怒っていた。

考えてみれば、これは当たり前のことかもしれない。 16歳で自ら海軍に志願し、少年兵として戦艦武蔵の最期を生き延びた渡辺清氏は、無条件降伏という最悪の事態に至っても自決も退位もしようとせず、それどころか敵の総司令官マッカーサーにすり寄って保身を…

「戦争経験世代がいなくなったら日本の平和は恐ろしいことになる」のは長年の自民党による教育政策の結果

昨日のTBS「報道特集」で、自民党の元議員古賀誠が、戦争へと傾斜していくこの国への危機感を語ったという。 #報道特集 膳場貴子氏「取材した古賀誠さんは、かつて自民党の先輩たちから、戦争経験世代がいなくなったら日本の平和は恐ろしいことになる、と言…

宇都宮太郎日記に見る堤岩里虐殺事件の隠蔽過程

1919年4月15日、朝鮮独立を求める3・1運動への弾圧の過程で、日本軍による堤岩里(京畿道水原郡)虐殺事件が起きた。 1919年4月15日、提岩里虐殺事件。三・一運動の鎮圧をはかる日本の憲兵隊が京畿道の堤岩里(チェアムリ)で、村人をだまして教会に集め…

中国で残虐行為に手を染めた元兵士たちの晩年

前回記事で紹介したような、中国戦線で様々な残虐行為に手を染めてきた兵士たちは、その後どんな人生を送ったのだろうか。 敗戦後には連合軍によるBC級戦犯裁判が行われたが、中国での戦争犯罪に関する裁判は極めて限定的なものでしかなかった。いかに被害が…

敗戦の翌年、中国での残虐行為を自慢していた元兵士

記事の趣旨からずれるので前回記事では取り上げなかったのだが、『砕かれた神』の著者渡辺清氏は、敗戦の翌年、中国帰りの元兵士が自分の犯罪行為を自慢気に語る場面に遭遇している。[1] 1946年3月11日の日記: 夕じゃ(二時ごろの食事)に帰ったら、川端の…

ロシア軍の民間人虐殺は非難し日本軍のそれは擁護する小林よしのりのご都合主義

ロシア・ウクライナ戦争に関して、小林よしのりがまたしょーもないことを書いている。[1] ロシア軍の非道・残虐さはものすごい。 武器を持たない民間人に、容赦なく発砲しているし、都市が廃墟と化している。 どれだけの人数が虐殺されたか分からない。 (略…

戦時中のプロパガンダ写真を根拠に日本軍を擁護するビジウヨのあきれた手口

民衆が日本軍を歓迎している写真があるから南京大虐殺は嘘? プロパガンダ写真が証拠になるならナチスも占領地住民に歓迎されていたしホロコーストなどなかったことになる 関東大震災時の朝鮮人虐殺を否定する加藤康夫・工藤美代子と同様の手口 民衆が日本軍…

中国で「海外旅行みたいな」楽しい戦争をしてきたという兵たちの実態

小林よしのりは『戦争論』の中で1回だけ、自分で戦争体験者の親戚から聞き取ったという話を書いている。 この親戚氏は、戦争はまるで海外旅行のようだったと言い、多少の戦闘は経験したものの、あとは中国で美味いものばかり食っていたと、楽しげに語ってい…

日本軍の残虐行為を必死で止めようとした従軍記者もいたらしい

南京攻略戦の過程で展開された日本軍による凄まじい暴虐に、従軍記者たちはどう向き合ったのか。 その場ではほとんど何もできず、戦後になってから当時目撃した内容を語りだしたり、「(虐殺の写真を)撮っていたら恐らくこっちも殺されていたよ」と言い訳す…

南京の「便衣兵狩り」は不当な大量虐殺そのもの

南京大虐殺の話を書くと必ず「便衣兵ガー」というウヨが出てくるので、やはりこのことは何度でも書いておく必要がある。 そもそも便衣兵とは 南京には便衣兵などいなかった 南京陥落後、中国兵たちはどうすればよかったのか? 卑劣だったのは見境なく殺しま…

「どうして(虐殺の)写真を撮らなかったのか」→毎日新聞従軍カメラマン「撮っていたら恐らくこっちも殺されていたよ」

従軍カメラマンが撮影した虐殺現場写真は一枚もない 前回記事に書いたように、南京攻略戦に従軍した新聞社などのカメラマンたちはせっせと国策に沿ったプロパガンダ写真を撮っては本社に送っていたわけだが、そんな彼らも、日本軍と行動を共にしている以上、…

日本軍が避難民を動員して撮影させたプロパガンダ写真を見て真実を見つけたと興奮する残念な人達

先日TLに流れてきた、南京大虐殺否定論者によるツイート。 大虐殺されながらお菓子をもらって笑顔になってしまう中国人さん虐殺しながらお菓子を配るとか、日本兵はホント恐ろしいですね。(?????) #南京大大大虐殺 pic.twitter.com/wUnxFhWsj9 — テリマカシ …

朝鮮人虐殺:『デビルマン』のあのトラウマシーン同様の場面を目撃してしまった少女

永井豪のマンガ版『デビルマン』には残虐シーンが山のように出てくるが、中でも極めつけのトラウマシーンと言えるのが、「デーモン狩り」の暴徒が牧村家に押し寄せ、不動明の恋人美樹やその弟タレちゃんを惨殺するシーンだろう。 【閲覧注意→】画像1 画像2…

朝鮮人虐殺:日本人の助けなしに生き延びた朝鮮人はほとんどいないのではないか?

関東大震災時の朝鮮人虐殺を生き延びた被害者たちの体験記を読んでいて気がついたことがある。どの人も、親切な日本人にかくまってもらったとか、警察署で保護されたとか言っていて、そうした助けなしに逃げたり隠れたりして自力で生き抜いたと語っている人…

朝鮮人虐殺被害者への追悼文を送らない小池都知事の詭弁は白人至上主義者の「オール・ライブズ・マター」と同じ

関東大震災時の朝鮮人虐殺被害者を慰霊する式典に、東京都は1970年代から毎年追悼文を送付してきたが、2017年以来、小池都知事はこの追悼文送付を取りやめている。都知事は今年も送らず、送付なしはもう5年目となった。 なぜ追悼文を送らないのか。その理由…

先行研究の軽視どころの話ではなかった一院制の件

北康利『白洲次郎 占領を背負った男』(2005年)について(その2)。 前回記事で、日本国憲法のGHQ草案では国会が一院制とされていた件について、この本は参考文献にも挙げている古関彰一『新憲法の誕生』(1995年)で既に指摘されていた真相(ケーディスは…

信用できない歴史関連本の見分け方

いま、ある調べ物をする必要から北康利『白洲次郎 占領を背負った男』という本を読んでいるのだが、一読してみて、この本の内容はまったく信用ならない、という結論になった。 なぜこの本が信用できないかを説明していくと、ある意味、一見もっともらしいが…

インタビュー記事を読む限り、『ONODA』のアラリ監督は小野田寛郎の実像をまったく分かっていない。

前回記事で取り上げた映画『ONODA』のアルチュール・アラリ監督に、「地球の歩き方」がカンヌでインタビューを行っている。しかし、予告編を見ても、このインタビュー記事[1]を読んでも、アラリ監督が小野田寛郎の実像を理解していたとはとても思えない。 ア…

小野田寛郎を英雄扱いしてきただけでも大概だが、今度はその嘘を世界にまで広めるのか?

映画『ONODA』がカンヌでスタンディングオベーションという惨事 ゴーストライターが暴露せざるを得なかったほどひどい手記のデタラメ 小野田はとっくに戦争が終わったことを知っていた 小野田はジャングルに潜んで何をしていたのか? 小野田はなぜ津田氏のル…

靖国神社に参拝するような声優が中国市場から排除されるのは正当にして当然。「チャイナリスク」などではない。

茅野愛衣、靖国参拝を公言して中国ネットで炎上 『鬼滅の刃』にも出演(胡蝶カナエ役)している声優の茅野愛衣が、靖国神社に参拝したことを公言した結果、中国のネット上で大炎上する事態となっている。 NEWSポストセブン(6/28): 『鬼滅の刃』人気声優が…

角田房子『本間雅晴中将伝』の解説がいろいろ問題ありな件

角田房子による本間雅晴陸軍中将の伝記[1]を読んだ。 本間雅晴は、アジア太平洋戦争において、第14軍司令官としてフィリピン攻略戦を指揮した人物である。攻略完了後、1942年8月には任を解かれて帰国し、その後軍務につくことはなかったが、戦後「バターン…

ホロコーストを体験したユダヤ人がなぜパレスチナ人を迫害するのか

この疑問は、いわゆる「パレスチナ問題」(むしろ「イスラエル問題」と呼ぶべきではないかと思うのだが)に関心を持つ大抵の人が抱いているのではないだろうか。 敬虔なユダヤ教徒でもあるホロコースト生存者の子としてアメリカで育ったサラ・ロイさん(ハー…

「暴力の連鎖」はイスラエルがパレスチナへの迫害をやめない限り終わらない。

ようやく停戦に至ったとはいえ、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への非人道的な攻撃は、今回も甚大な被害を生じさせている。 イスラエル軍による空爆が続く #ガザ地区。数百人が負傷し、数十人の死亡者の中には子どももいます。今回の空爆は以前にも増…

宮城事件を引き起こした若手陸軍将校たちのその後

映画『日本のいちばん長い日』でも描かれた「宮城事件」は、1945年8月14日の深夜から翌朝にかけて、日本の無条件降伏阻止を目的として陸軍の一部若手将校が起こしたクーデター未遂事件である。 この事件の首謀者と言えるのは、当時陸軍省軍務局軍務課に所属…