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【映画評】思わぬ拾い物だった「プロメテウス」

リドリー・スコット監督の「プロメテウス」(2012年)。

ストーリー的には「エイリアン」シリーズの発端に位置する作品で、いま公開されている「エイリアン・コヴェナント」の直前の話にあたる。

実はこの映画、世間的にはひどく評判が悪い。ネットのレビューを見ると、「意味不明」とか「調査隊がバカすぎる」といった罵倒が並んでいる。

そのためほとんど期待していなかったのだが、実際に観てみたところ、どうしてどうして、これがなかなか面白いのだ。

ネタバレにならない範囲で簡単に内容を紹介すると、こんな感じになる。

 

映画の冒頭、荒々しい自然に覆われた、原初の地球と思われる惑星に一人の異星人(真っ白な肌でスキンヘッドの筋骨たくましい大男)が降り立ち、自分の命を犠牲にして、ある行為をする。

そして2089年、考古学者のエリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)とチャーリー・ホロウェイ(ローガン・マーシャル=グリーン)が、ある古代遺跡で3万数千年前の壁画を発見する。その壁画には、特徴的な形に並んだ星の集団を指差す神?と、それを崇拝する人々の姿が描かれていた。同じような壁画が他の数カ所の遺跡でも見つかっており、ショウたちは、これは人類への「招待状」だと確信する。

2093年12月21日、人類の起源の探求に情熱を傾けるウェイランド社の社長ピーター・ウェイランド(ガイ・ピアース)が出資して建造された調査船「プロメテウス」が、問題の惑星LV-233へと接近する。プロメテウスには、ヤネック船長(イドリス・エルバ)ら乗組員のほか、ショウとホロウェイをはじめ各分野の科学者たち、ウェイランドの代理人ヴィッカーズ(シャーリーズ・セロン)、ウェイランドが「息子同然の存在」だと言うアンドロイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)ら17名が乗っていた。

他の乗員がコールドスリープで眠っている間、デヴィッドは言語学的に復元された人類の共通祖語(ショウたちが「エンジニア」と呼ぶ異星人の言語)を学習し、これをマスターする。

12月25日、プロメテウス号は惑星の大気圏に突入。着陸場所を探す過程で自然に形成されたとは思えない直線状の地形を発見し、その付近に着陸する。

直線状の地形の先には巨大なドーム状の岩山があり、船長らとヴィッカーズをプロメテウス号に残して調査隊が岩山へと向かう。麓から内部に入ってみると、この岩山も人工的な構造物であることが判明し、ついに調査隊は約2000年前にここで死んだと思われる「エンジニア」の死体を発見する。

 

ここから先は、さまざまな怪物に襲われて一人また一人と命を落としていくことになるわけだが、「エイリアン」シリーズの他の作品とは違って「アレ」はほぼ最後まで姿を現さないし、物語の主軸は怪物との攻防よりも、「エンジニア」たちがこの星で何をしていたのか、なぜこの星への道しるべを人類に残したのか、そして彼らはなぜ人類を創造したのか、という謎解きのほうに置かれている。

だから、他の「エイリアン」シリーズ作品のような内容を期待していると肩透かしを食うことになる。また、この謎解きにしても完全には解明されず、次作「コヴェナント」に続く余韻を残して終わっている。このあたりが嫌われる主な理由だろうか。

逆に言うと、こうした「欠点」が気にならない人なら十分に楽しめる映画である。

で、楽しんで見た私の感想としては、この映画の一番の見どころはやはりショウ博士役ノオミ・ラパスの熱演だと思う。

「エイリアン」でのシガニー・ウィーバーも凄かったが、こちらのノオミ・ラパスの奮闘ぶりはそれを上回っている。愛するパートナーだったホロウェイの死を乗り越え、最後まで諦めず、何としても生き延びて謎を解明しようとする意志力と行動力が素晴らしい。多分、ノオミ・ラパスでなければこのショウ博士役はできなかっただろう。

そして、もう一つの見どころはアンドロイド・デヴィッドの謎めいた不可解な行動だ。

「エイリアン」第一作でもアンドロイドのアッシュが事態を悪化させる原因を作っていたが、アッシュが「発見した生命体を持ち帰れ」という会社の命令に従って行動していたのに対して、デヴィッドは明らかに自分自身の意志で悲劇の種を撒いている。デヴィッドにとって人類は自らの創造主であり、その彼が人類の創造主を探求する旅に同行していることを考えると、この行動の意味は興味深い。

万人向けとも「エイリアン」シリーズファン向けとも言いがたいが、私としてはお勧めの一作である。

 

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