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RADWIMPS野田氏の不適切で謝罪になっていない「謝罪」

RADWIMPSのイキリ愛国ソング「HINOMARU」は、当然発表と同時に多くの批判を浴びたわけだが、作詞作曲を行った野田洋次郎氏は、意外なことに批判を受けるとさっさと「謝罪」した。

謝罪が意外だというのは、そもそも「HINOMARU」とはこんな歌だからだ。

どれだけ強き風吹けど 遥か高き波がくれど
僕らの燃ゆる御霊は 挫けなどしない
(略)
受け継がれし歴史を手に 恐れるものがあるだろうか

押し寄せる批判は逆風や高波じゃないのか?
そんなもの恐れずに「日出づる国の御名の下に」突き進んでいくんじゃなかったのか?
これでは言行不一致もいいところだろう。

Instagramに投稿された「謝罪」には、こんなことが書かれている。

戦争が嫌いです。暴力が嫌いです。
どんな国のどんな人種の人たちとも手を取り合いたいです。
終戦記念日やその他の歴史的な事柄を語る時、アジア各国でライブをする度、僕はなるべく自分のメッセージを伝えてきたつもりです。
時代に逆行するのではなく、前進しようと。
HINOMARUの歌詞について軍歌だという人がいました。そのような意図は書いていた時も書き終わった今も1ミリもありません。
(略)
この曲は日本の歌です。(略)みんなが一つになれるような歌が作りたかったです。結果的にその曲で不快な想いをさせてしまった人がいたというのが何より悲しいです。
(略)
色んな人の意見も聞いていてなるほど、そういう風に戦時中のことと結びつけて考えられる可能性があるのかと腑に落ちる部分もありました。傷ついた人達、すみませんでした。
これが僕の気持ちです。一つの嘘もありません。これからのキャリアや行動でもそうであることを証明していくつもりです。(略)

戦争や暴力が嫌いだと言うのなら、どうしてわざわざこの国が最も暴力的にアジアを蹂躙したあの時代を想起させる「御国」「御霊」「日出づる国の御名」「幾々千代に」などという言葉ばかりを連ねて詞を書いたのか? これのどこが「時代に逆行するのではなく、前進しよう」なのか? この歌が「アジア各国」にどんな「メッセージを伝え」ることになるか、本当に分からなかったのか?

分からなかったのなら、その無知と想像力のなさに呆れるほかない。

そして、遅まきながら「戦時中のことと結びつけて考えられる可能性」に気がついたと言い、「傷ついた人達」に詫びてみせた野田氏が、では次にはどんな「行動」をするのかと見ていたら、これである。

後で開き直るのなら謝罪などしなければいい。結局野田氏はこの歌詞の何が問題なのか理解できておらず、だから「謝罪」も本心からのものではなかったということだ。

ちなみに、この「国を愛して何が悪い」といった類の言説は、自国政府の悪行を糾弾し、この国を「愛するに値する」ものに変えていこうとする動きを封じるものでしかない。

VodkaDriveさんのコメント:

RADWIMPS、ライブで話題の新曲「HINOMARU」を無事披露し「自分の生まれた国を好きで何が悪い」と熱弁 - Togetter

「生まれた国を好きで悪いか」の人って大体「郷土を愛する」と「国家権力に盲従する」の区別がついてない。国民に愛国心を説く側は、ほぼ例外なく意図的に両者を混同して後者を刷り込み、最終的に前者を蔑ろにする。

2018/06/14 11:32

RAD野田氏、ダサすぎる。

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