フライデー増刊『福島第一原発「放射能の恐怖」全記録』(6/29)の中で、海江田はこんなことを語っている。
日本は「原発安全神話」に浸ってきました。しかし、その「神話』は、もう私の中にもありません。「原発は安全」が神話だったことは、今回の事故によって、原発が不測の事態を引き起こした時に、即座に対応できる人材が日本政府にいないことからも痛感しました。
アメリカのNRC(原子力規制委員会)の職員約3000人のうち、1000人は、核戦争が起きた時の対応や除染の技術などを恒常的に訓練しています。彼らの出身母体を見ると、OBも含め米海軍の技術者が多いんです。海軍で原子力空母や原子力潜水艦で原子炉を扱った経験があるんです。原子力空母には4つ、潜水艦には一つの炉がある。NRCの3分の1が、原発を操作した経験を持った人たちなのです。
一方、日本の原子力安全・保安院には専門的な知識を持ったスタッフがいますが、教育は受けていても実際に原子炉を運転した経験はない。原子力災害に立ち向かうにあたって大問題だと感じたのは、日本で原子炉を操作した経験、資格を持っている人のほとんどが電力会社の人間だということです。「国が前面に出て原発を抑制しろ」というお叱りを受けますが、政府には直接現場に立って炉を制御できる人材がいないのです。結果、電力会社に頼らざるを得ない。
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原発先進国は核の保有国とも重なっています。日本は、世界で唯一、核武装せず、平和利用のためだけに高い技術を磨いてきた。そのことを即座に否定するものではない。ただ、先にも言いましたが「安全神話」は崩れたのです。誰も経験したことのない事故が起きた今、原子力をどう制御し、使いこなしていくのか、新たな議論が必要になります。
そして、先にも申し上げたとおり、事故に対応できる人材が電力会社に偏ったことは問題でした。将来的には、原子炉を制御できる人材の育成を国として進める必要があると、考えています。
小出裕章京大原子炉実験所助教や、河野太郎代議士、佐藤栄佐久前福島県知事、武田邦彦中部大教授といった人たちと並んでの発言である。
ところが、その舌の根も乾かぬうちに、玄海原発の稼働再開が問題になると、わざわざ佐賀県知事を訪ねてこんなことを言い出した。
東京電力福島第一原発事故後に定期検査中の原発再開が遅れている問題で、海江田万里経済産業相は29日、九州電力玄海原発がある佐賀県を訪れた。玄海町長らに続き、午後には佐賀県庁で古川康知事と会談。海江田氏は「緊急対策をとり、安全は確保できている。再開については国が責任を持ちます」と述べ、直接、運転再開に理解を求めた。
玄海原発では2、3号機の運転を止めており、経産相が再開を求めて立地自治体を訪れるのは初めて。
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安全神話は崩壊したと認めておきながら、なぜ玄海については「安全は確保できている」などと言えるのか。
国には原子炉を運転できる人材(事故発生時の危機対応ができるというレベルの人材ではない)すらいないというのに、どうやって国が責任を持てるのか。
だいたい、いま目の前で進行中の福島第一原発事故において、国は責任など何一つ果たせていないではないか。
そして、九電のやらせメール事件が暴露されると、今度はこうだ。
九州電力が協力会社にインターネットで原発の運転再開を支持する意見を寄せるよう呼びかけていた問題で、海江田万里経済産業相は6日、「さまざまな立場の方々から寄せられる率直な意見、質問に答える番組の趣旨を根本から損なう言語道断の行為で、極めて遺憾」との談話を発表。眞部利應九電社長に対し、資源エネルギー庁長官から厳重注意するとともに、原因究明と再発防止策の報告を指示した。
「時期が来たら私も責任取る」
2011/7/7 13:30
海江田万里経済産業相は参院予算委員会で玄海原発の再稼働を巡る混乱について「いずれ時期が来たら私も責任を取る」と明言した。
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経産相は7日の参院予算委で玄海原発の再稼働に関して「関連地域の市長、住民の理解を得られなければ立ち上げはできないと実感した」と指摘した。首相は「国民が理解し、納得できる仕組みを検討してほしいと経産相と細野豪志原発事故担当相に指示した」と述べた。
二枚舌、三枚舌で、そのときそのときの風向きに合わせてくるくると言うことを変える。
その九電の尻馬に乗って、県知事に向かって大見得を切ってみせた自分の責任はどこへ行ったのか?
この男は、大臣ポストを放り出せばそれで自分の責任などチャラになると思っている。のっぴきならない事態が起こる頃には、責任を負うべき「国」の中に自分はいないと高を括っているから、簡単に「国が責任を持つ」などと言えるのだ。