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被曝しても差別

 

いわゆる20mSv問題で、福島県郡山市は市長独自の判断により、文科省基準を下回る線量であっても学校校庭の除染を行うことを決めた。

 

郡山市HP「災害対策本部からのお知らせ」(4/25)

校庭・所庭の表土の除去及び放射線測定器の寄附並びに配布

 

 次に、校庭及び所庭の表土の除去についてでありますが、県が4月5日から7日にかけて行った放射線量測定値の結果を基に、郡山市独自の放射線対策として、栗山副市長をチームリーダーとして、今後、小中学校15校及び13公立保育所において、試験的に校庭及び所庭の表土の除去を行いたいと考えております。
 なお、私立の幼稚園、保育所についても、公立の学校、保育所と同様に考えております。

 

朝日新聞(5/17)

表土除去、郡山市が対象拡大 基準さらに厳しく

2011年5月17日22時30分

 

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、全国で初めて、4月下旬から小中学校と保育所、幼稚園で校庭や園庭の表土除去を始めた福島県郡山市は17日、対象をさらに拡大して市内の小中学校と保育所の表土を除去すると発表した。

 

 市が設けた除去の新基準は、地表から高さ1センチで保育所・小学校が毎時1.5マイクロシーベルト以上、中学校が毎時2.0マイクロシーベルト以上。これまでの小中学校で毎時3.8マイクロシーベルト以上、幼稚園、保育所で毎時3.0マイクロシーベルト以上から、さらに厳しくした。市は「子どもたちの健康を守るために、より厳しい基準を設定し、除去する」と説明している。

 文部科学省は校庭土の処理法として今月11日、表土の上下入れ替え方式と穴埋め方式の2方式を示しているが、市はこれに従うことなく、従来通り校庭や園庭の隅に山積みにし、飛散防止のために樹脂で固めた上で、東京電力と国に迅速な処理を求めるという。

 

 市がこれまでに表土除去をした幼稚園、保育所、小中学校67カ所では、市がこれまでに設定していた基準をすべて下回った。斎藤健一郎)

 

このこと自体は大変良いことで、私も市長の英断には拍手を送りたい。

しかし、その一方で、こんな問題も生じているのだ。

 

日刊ベリタ(6/24)

2011年06月24日14時09分

郡山市のコリアンスクールが危機に

日本人のための避難所も設営したのに、校庭汚染除去も支援なし

 

 3月11日に大震災・原発事故で周辺の日本人も受け入れ避難所として活動した福島県郡山市のコリアンスクール「福島朝鮮初中級学校」が存続に危機に陥っている。校庭の放射能汚染除去対策にも行政の支援は全くなく、財政的困難で児童生徒は今も新潟コリアンスクールに避難したまま。全国のコリアンスクールからの支援はあるものの、このままでは存続不可能なことにもなりかねない。学校関係者からは「避難所を設営し、日本の方々も分けへだてなく受け容れたのに、なぜ、自分たちの学校は、たった一度、県から測定にきただけで、まわりの学校のようにグラウンドの表土撤去の話すらでてこないのか」と失望がひろがっている。(日刊ベリタ編集部)

 

学校紹介→ 

http://www.h2.dion.ne.jp/~f-chojun/

 

<これまでの経過>

・3.11 東日本大震災により、建物損壊(修繕費500万円)

震災後、独自に避難所を設営し、周辺の日本の方々を受入、後に県が避難所として指定するも、必要な物資については、全国のコリアンスクールからの支援物資に依る。

・5月初旬、学校の1学期を再開

・5月15日 全校生徒を、新潟のコリアンスクールに2週間の予定で避難。

・この間、県庁の私学法人課より、一度だけ、グラウンドの測定を受けるがその後、なんら、対応がなされないまま。これにより、学生の新潟コリアンスクールへの避難が、長期化することとなり、ひとまず1学期全期間避難することとなる。同時に、学父母、理事会から、廃校の懸念がひろがる。

 突然、親元から離された小学校低学年児のこころのケアが要されるも、専門家がいないため、カウンセリングを実施できず。

 

・6月5日 学父母、卒業生を中心として、自主的に、建物に付着した放射性物質除染作業を執り行う。

・6月13日 除染作業の効果の確認と工程表を作成する。そこで、グラウンドの表土撤去費用が、約700万円かかることが判明し、財政的窮乏から、学校存続の危機に立たされる。同時に、全国のコリアンスクールに対し、寄付金を要請する。

・6月21日 グラウンドの表土撤去等について、県および郡山市からのなんの支援も得られないことにより、児童の健康面を考慮し、学父母および理事があつまり、2学期も新潟のコリアンスクールに避難することで調整。今後の課題として、グラウンド、建物の放射性物質除染がすすまないとすれば、廃校も視野にいれた対応を迫られる。

・6月26日 第2次自主的除染作業を予定 ただし、グラウンドは手をつけられないまま。 保護者からは、避難所を設営し、日本の方々も分けへだてなく受け容れたのに、なぜ、自分たちの学校は、たった一度、県から測定にきただけで、まわりの学校のようにグラウンドの表土撤去の話すらでてこないのかという、失望がひろがっている。

 

またか、という思いを禁じえない。

 

災害で苦しむのは、地域住民であれば誰でも同じだ。

放射能は、日本人の上にも朝鮮人の上にも、等しく降りそそぐ。

なのに、この国の行政は、いざ救う段になるとあからさまに差別をする。

まるで、朝鮮人の子どもにはできるだけ多く被曝させたいとでも思っているみたいだ。