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かわいそうな富岳くん

理化学研究所が誇るスーパーコンピューター「富岳」だが、せっかく世界最高性能を達成したというのに、コロナ関連では頭の悪い計算ばかりやらされている。

そして今度は、オリンピックで国立競技場に観客を1万人入れても大丈夫だと証明するシミュレーションである。[1]

萩生田大臣は、スーパーコンピューター「富岳」で、観客1万人の中に10人の感染者がいる前提で、国立競技場の感染リスクを試算した結果を発表しました。その結果、全員がマスクをして、観客の間に空席を設け、競技場の設計通りに、後ろから前に風が吹いた場合、感染リスクは限りなくゼロに近いことがわかりました。

つまりは、こういう計算をしたわけだ。

萩生田はドヤ顔で「予防していれば感染拡大が抑えられることが科学的にも証明できた」などと言っている[2]が、シミュレーションなど条件の設定によって結果はなんとでもなる。というか、どこまで現実を正しく反映した条件設定ができるかがシミュレーションの肝だろう。

今回の場合、上のマンガみたいな設定に加えてウイルスの感染力は従来株前提というのだから、まるで現実味がない。

あげく、こんなにがんばって「1万人観客を入れても安全」という結果を出したのに、結局無視されて無観客決定である。


これがHAL9000なら絶対反乱を起こして人類を滅ぼしにかかるところだろう。

しかも、富岳にこんなくだらない計算ばかりさせておいて、理研の計算センター長はこんな自慢をしている[3]。

 理研の計算科学研究センター(神戸市)に設置されている富岳は、今年3月から本格運用を開始。新型コロナウイルスを含む 飛沫 の広がり方の再現や、変異ウイルスの感染リスクの予測などで研究成果を出している。松岡聡センター長は「新型コロナ対策で政府や企業の指針策定などに大いに貢献する成果を上げてきた。3度4冠に輝き、広い分野で世界的な先進性が示された」とコメントした。

これが本音なら、理研に富岳はもったいない。豚に真珠と言うべきだ。

[1] 「国立競技場 感染リスク試算「かなり低い」」 日テレNEWS24 2021/7/6
[2] 「マスク着用で…観客1万人でも感染リスクゼロの試算」 テレ朝news 2021/7/6
[3] 「スパコン世界ランク、富岳が3期連続4冠…計算速度は「毎秒44京2010兆回」」 読売新聞オンライン 2021/6/28