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JTBの仮想観光プラットフォームはどうしてこんな惨状になっているのか

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あまりに低クオリティな「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」

4月7日にJTBが発表した新サービス「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」。会社としては満を持しての発表だったようなのだが、内容紹介の動画から垣間見えるそのあまりの低クオリティさに、ネットでは大炎上してしまった。

ログインするとここに出るらしい。しかし、行き先は北海道と東京しか見当たらない。だいたい、このポリゴン人形みたいなアバターは何なのか?

殺風景な東京では、どうやら買い物以外何もできない模様。
巨大スクリーンの女性が寝ている動画も謎。CMなのか?

それでは、と北海道に移動すると、謎の牛が登場。
まあ確かに、乳牛もいるし、ちゃんとHokkaidoと書いてあるからここは北海道なのだろう。

牛が牧場に行けと言うから行ってみると、巨大なチーズが出現。

チーズをクリックした結果なのか? なぜか買い物風景の動画が流れる。

美味しそうな海の幸(笑)

きれいなお花畑(呆)もしかしてここは富良野のつもり?

どうやらこれで北海道の素晴らしさが伝わるらしい。

こんなコンテンツを見せた上で社長がこんなことをドヤ顔でしゃべるという悲惨事が起きる前に止められる者が社内に誰もいなかったのかと思うと、なにやら物悲しくなってくる。

こんなものと比べるのはセカンドライフに失礼

この「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」に対して、「セカンドライフか?w」などと揶揄する人たちがいるのだが、こんなものと比べるのはセカンドライフに失礼だろう。

セカンドライフは、2007年に今回のJTBと同じように「リアルとバーチャルの融合でビジネスになる」などと勘違いした企業が大量に参入して異常なブームが起こり、すぐにそれがぽしゃった後はほとんど忘れられた存在となった。しかし、実際にはその後も普通にアクティブユーザー数数十万、同時接続ユーザー数数万、といった規模で運営が続いている。

そのコンテンツも、すべてのコンテンツはユーザー自身が作るというコンセプトはそのままに、オブジェクトやアバターにメッシュが導入され、天候や影の描画が操作可能になり、アニメーションはモーションキャプチャで作られるというように、進化を続けている。

今のセカンドライフはどんな感じなのか、と検索してみると、次のような画像が見つかった。

画像出典:ヤナの世界

画像出典:セカンドライフで遊ぼう

*¸¸.•*`*•нιgнєя gяσυη∂•*`*•.¸¸*

Fantasy Faire 2021  Yin Yang SIM

Oxygène

LUANE'S WORLD PHOTO CONTEST Spring 2021 - Spring hike dusk 2

Bon appetit!...

画像出典:Flickr「SECOND LIFE JAPAN

こちらのほうがよほど観光向きではないだろうか。
アバターもこんなだったりするらしい(笑)

#371 - La Vallee

画像出典:Flickr「SECOND LIFE JAPAN

また、たとえばセカンドライフでは毎年Relay for Lifeというイベントが開催されており、展示やパフォーマンスを楽しんだ観客からのチップをまとめて全米がん協会に寄付している。つまり、バーチャルコンテンツで上げた収益をリアル世界に還元しているわけで、こういうのこそが「リアルとバーチャルの融合」ではないだろうか。

ちなみに、あまりセカンドライフを馬鹿にしているとアバター警察が来るらしいので気をつけようw

画像出典:セカンドライフで遊ぼう

そもそもこの事業は消費者のほうなど向いていない、という指摘

それにしても、なぜ「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」はあんな低レベルで商売になると思ったのか?

この点に関して、木曽崇という人がこんなことを書いていた

JTBの税金吸い上げプラットフォーム「バーチャル・ジャパン」の裏側

(略)

この言葉の背後にあるのは、要はこのJTBによる「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」なる企画がお客様として見ているのは実は一般消費者ではなく、自治体やそれに準ずる組織(全国各地のDMO/観光地域づくり法人など)であるということ。彼らが、このあまりに低クオリティの「バーチャル・ジャパン」を立ち上げた暁には、各自治体等に対して営業を行い、地域の観光振興予算を獲得しようとしているという意図が、そのコメントに透けて見えているわけです。

要はなぜこんな低クオリティなコンテンツが、まかりなりにも日本を代表する観光業界の巨人JTBの社内会議を経て世にリリース予告されたのかというと、そもそもこの企画は最初から一般消費者の方向なんて向いておらず、行政予算の獲得を前提として企図されているものだから。予算獲得の為の最低限の理屈を整えることが最優先であり、その先にプラットフォーム上でどの様な成果が出るかなどというのは二の次である。とどのつまり当該JTBによる企画は、自治体やそれに準ずる団体から行政予算を吸い上げるための「税金吸い上げプラットフォーム」であるということであります。

そういうことなら、コンテンツは地方の行政に関わるおっさんたちを騙せればいいので、あの程度で十分、ということになるのだろう。

これでは、クオリティの低さを笑っていたら、いつの間にか払った税金からごっそり中抜きされていた、ということにもなりかねない。