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人権侵害組織《入管》がまた人を殺した

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名古屋入管でスリランカ人女性が死亡

3月6日、名古屋の入管施設に収容されていたスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(33)が亡くなった。昨年8月に収容されてからわずか半年あまりだ。

毎日新聞(3/14)

 「ここから連れ出してほしい」。それが、30代のスリランカ人女性から、支援者が聞いた最後の言葉だった。名古屋出入国在留管理局(名古屋市港区)に収容されていた女性は、支援者が面会した3日後の3月6日、居室内で脈がない状態で見つかり、緊急搬送先の病院で死亡が確認された。支援者らは「最後の面会時、体調が極端に悪化した様子だった。死んでしまうから入院させてと入管に訴えたのに」と批判。上川陽子法相は、事実関係の速やかな調査と結果の公表を表明している。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

死にそうになっても医療を受けさせなかった入管の非道

知れば知るほどウィシュマさんが死に至った経緯はひどい。体が食べ物を受け付けず体重が20Kgも減り、嘔吐・吐血し、歩くこともできない状態になっても、入管はまともな医療ひとつ受けさせなかったのだ。

志葉玲『体重20キロ減、吐血でも見殺し、女性死亡の入管の闇が深すぎる』(Yahoo!ニュース 3/17)

石川議員(立憲民主党石川大我参議院議員)1月下旬になると足の痛み、胃の痛み、舌がしびれるなど訴え、とうとう血を吐いてしまう、死にそうというふうに面会される支援者の方に訴える、この後も嘔吐、吐血。そのときに入管職員何と言ったか、迷惑だからといって単独房に移されたと、そういうふうに証言しています。目まい、胸の動悸、手足のしびれ、施設内の診療所で処方されたのはビタミン剤とロキソニンですよ。ビタミン剤と痛み止め、これだけで本当に(医療が)充実していると言えるんでしょうか。まともな体制でしょうか」

佐々木長官(佐々木聖子入管庁長官)「その経緯につきましても調査中でございます。先ほど申しましたように、不断にこの医療体制については充実させていきたいと考えています」

石川議員「先月ですけれども、2月になると彼女は車椅子でとうとう面会に現れるようになるということです。食べられない、薬を飲んでも戻す、歩けないという状態、ここでやっと外部の病院での内視鏡検査。その後、点滴を打たせてほしいと言ったにもかかわらず、長い時間が掛かるという理由で入管職員が認めずに、一緒に帰ってしまった。このこと、ありますでしょうか?」

佐々木長官「その経緯につきましても、正確に把握するべく調査中です」

石川議員「(面会記録を)読んでいて本当につらくなるんです。とうとう面会には車椅子で出てくる、そして(嘔吐、吐血するので)バケツを抱えてくるという状態、歩けない状態で、職員はコロナを理由に介助しない、胃がねじれるように痛い、歩けないのに歩けと言われる(中略)担当職員、コロナだから入院できない、病気じゃない、仮病だと言う。そして、2月下旬、とうとう20キロ痩せてしまう、おなかが痛い、口から血が出て倒れても助けてもらえないので床に転んだまま寝た、こんなこともあったというふうに述べております。3月、今月です。頭がしびれる、手足がちゃんと動かないなどの危険な状態になる、熱はずっと37度から38度です。支援者は、このままでは死んでしまう、すぐに入院させるべきだと申し入れますが、職員は拒否、予定は決まっていると答えるのみ。これ、本当にひどくないですか」

*今月12日の参院予算委員会質疑より抜粋

仮病で血が吐けるのか?

ウィシュマさんが死亡する2日前、入管で医師が彼女を診察しているのだが、この医師が仮放免を勧める診察報告をしていたにもかかわらず入管はこれを無視。さらに、法務省はこの事実を4月9日に公表した中間報告で隠蔽していた。

東京新聞(4/22)

医師「患者のため思えば、仮釈放を」 入管収容のスリランカ女性を死亡2日前に診察

◆法務省の中間報告では触れず

 名古屋出入国在留管理局で先月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が、収容中に死亡した問題で、死亡する2日前に診察した医師が、仮放免を勧める診療状況を入管に報告していたことが分かった。法務省が9日に公表した中間報告では、医師が仮放免の必要性を指摘したことは書かれていなかった

(略)

 関係者によると、死亡2日前の3月4日に診察した精神科の男性医師は「診察時、患者はぐったりしているが、話は何とかできていた」などと診察記録に記載。詐病やいわゆるヒステリーの可能性も指摘しつつ、「患者が仮放免を望んで心身に不調を呈しているなら、仮放免して良くなることが期待できる。患者のためを思えば、それが一番良いのだろうが」と記した。

 本紙は法務省に問い合わせているが「担当者は不在」として回答を得られていない。この医師は本紙の取材に「コメントは差し控えます」と話している。

この件、仮放免を認めるべきだった、という文脈で言及されることが多いのだが、この段階ではもう仮放免がどうとかいう状況ではない。入管自身が彼女を即刻入院させ、集中治療を受けさせる責任があったはずだ。

実際、死亡時に彼女が緊急搬送された病院で行われた血液検査の結果には、信じられないような数字が並んでいた。

東京新聞(4/28)

【独自】スリランカ女性、死亡時の血液検査で異常な値 「点滴や入院必要だった」と医師

 今年3月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が、名古屋出入国在留管理局に収容中に死亡した問題で、緊急搬送された病院の血液検査で血糖値などが異常に高い数値を示していたことが分かった。医療関係者は「腎機能、肝機能、血糖値いずれも桁違いに悪い。早期に点滴を行い病院に入院させる必要があったのでは」と指摘する。(望月衣塑子)

  入管の中間報告によると、ウィシュマさんは3月6日午前8時、食事や水分は一切取らず、ベッドに横たわり首を振るなどしていたが、午後1時すぎ、首をかすかに動かす程度になったという。午後2時すぎ、看守が脈拍がないのに気づき救急搬送、午後3時25分、死亡が確認された。

 病院が作成した「検査結果照会」と「医師診療録」は緊急搬送された直後に採取された血液検査の結果と肺の画像がA4判3枚にまとめられていた。

 「血糖424(基準値範囲70~109)、尿素窒素89.6(同8.0~22.0)、クレアチニン4.73(同0.40~0.70)、AST 7,992(同13~33)、ALT 7,143(同6~27)」などの数字が並ぶ。

 数値の多くが「基準値範囲」を大幅に超過したり、下回ったりしており、基準値内のものがほとんどない。肺の画像も真っ白だった。

(略)

 報告では、入管は経口補水液を与えていたが、点滴はしていない。死体検案医を務めた別の男性医師は「驚くような異常値がずらりと並んでおり全身状態が悪い。意識障害を起こす重症の糖尿病で、脱水とあわせ腎不全や高カリウム血症を起こし貧血も高度。致死的不整脈を誘発するレベル。専門的な医療機関に即入院して治療すべきだった」と分析する。 

(注:上記ツイート中の「肝機能」は「腎機能」の誤り。本人訂正済み。)

仮放免云々より問題なのは、なぜ2日後には死んでしまうような状態の患者を精神科の医師に診察させたのか、だろう。入管が彼女の病状を詐病だと決めつけていたから、それを見抜くことを期待して精神科の医師を選んだとしか考えられない。またこの医師も、いくら精神科とはいえ、こんな状態の患者を前にして「詐病やいわゆるヒステリーの可能性」などと言っているようではヤブでは済まない。

ウィシュマさんの母親は、「報告書には血を吐いたと書いてある。うそで吐けるわけがない」と言っているが、まったくそのとおりだ。

毎日新聞(4/29)

「うそで血吐けるのか」入管で死亡の女性家族「記録と映像確認したい」

(略)

 中間報告書には、ウィシュマさんの状態に関し、病気になることで一時的に収容を解く「仮放免」をしてもらいたいとの思いが作用した可能性があると、4日に診察した医師が診断したとの記述がある。これに関しスリヤラタさんらは「うそをつく性格ではない。報告書には血を吐いたと書いてある。うそで吐けるわけがない。100%、体調が悪かったに違いない」と強調した。

この件にかかわった入管の者たちは、自分が何かズルをしようしたとして、果たして仮病で血が吐けるものか、胸に手を当てて考えてみたらどうか。

今世紀だけでも20人が死亡、人権無視の入管が引き起こす異常なハイペースの死亡事件

入管での死亡事件はもちろんこれだけではない。今世紀に入ってからだけでも、既に20人以上が死んでいる。およそ1年に一人という異常なペースである。(全国難民弁護団連絡会議 入管被収容者の死亡事件

  1. 2001年10月・西日本入管センター ベトナム人男性(インドシナ難民)
  2. 2006年12月・東京入管 ナイジェリア人男性
  3. 2007年2月・東京入管 ガーナ人男性(50代) 
  4. 2008年1月・西日本入管センター インド人男性(20代)
  5. 2009年3月・東京入管 中国人男性(30代)
  6. 2010年2月・東日本入管センター ブラジル人男性(20代)
  7. 2010年3月・送還中 ガーナ人男性(40代)
  8. 2010年4月・東日本入管センター 韓国人男性(40代)
  9. 2010年4月・東京入管 フィリピン人女性(50代)
  10. 2010年12月・東京入管 フィリピン人女性(50代)
  11. 2013年10月・東京入管 ミャンマー人男性(50代)
  12. 2014年3月・東日本入管センター イラン人男性(30代)
  13. 2014年3月・東日本入管センター カメルーン人男性(40代)
  14. 2014年11月・東京入管 スリランカ人男性(50代)
  15. 2017年3月・東日本入管センター ベトナム人男性(40代)
  16. 2018年4月・東日本入管センター インド人男性(30代)
  17. 2018年11月・福岡入国管理局 中国人男性(50代)
  18. 2019年6月・大村入管センター ナイジェリア人男性(40代)
  19. 2020年10月・名古屋入管 インドネシア人男性(40代)
  20. 2021年3月・名古屋入管 スリランカ人女性

こんな事態になっているのは、入管(法務省本体も含め)が、本音では滞在資格のない外国人など死んでも構わないと考えているからだろう。人権擁護の砦であるはずの法務省に、実は人権意識のかけらもないのだ。よくもまあ偉そうにこんなパンフレットなど出せたものである。

 

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