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ディストピアはもう目の前

 

東京新聞「本音のコラム」に、経済学者の竹田茂夫氏が週一回書いている内容が面白い。

6月13日の回では、「ディストピア」と題して、安倍政権の「第三の矢」こと成長戦略を取り上げている。

 

竹田氏の言うとおり、テレビに出てくるような「エコノミスト」は決まって、この成長戦略が小粒で小出しだからダメなのだ、もっと大胆にやれ、と言う。

では、彼らの主張するような政策がすべて実行されたらどうなるか、という話。

 

 彼らの提案がすべて実現して、掛け値なしに日本が「世界で一番企業が活動しやすい国」になったと想定してみよう。何が起きるか。

 まず、限定正社員や解雇の金銭解決、米国流の解雇自由の制度化で、失業率が跳ね上がる。中高年の解雇で、女性や若者の非正規雇用が増えるかもしれないが、今度は彼らが不安定就労に悩まされる。自殺が急増し、社会不安が醸成される。

 極端な格差が広がり、世界に冠たる平均寿命もみるみる短くなる。移民の労働力もはじめは便利でも、高齢化すれば社会保障の負担になる。

 農業と医療で営利企業が自由にふるまえば、自然環境は虫食い状態になり、大量の医療難民が現れる。企業減税で国内の雇用確保を狙っても、海外進出をくい止められない。大多数の国民にとっては、第三の矢の成功はディストピア(暗黒郷)だ。

 

ディストピアを招き寄せる政策ばかりを推し進める政府、それを「もっとやれ」と煽るマスコミと「専門家」たち。自分の頭で何も考えようとせず、他人任せの国民。

このままでは、ディストピアの到来はもう目の前だ。