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4630万円誤振込事件で連日お祭り状態の日本のテレビ、予備費11兆円使途不明問題は完全スルー。

山口県阿武町が新型コロナウイルス対策の特別給付金4630万円(463世帯分の全額)を誤って一人の男性に振り込んでしまった問題、事件が発生したのは4月8日なのだが、いまだにニュース番組・ワイドショーでは連日大騒ぎである。

実際、5月20日(金)の新聞のテレビ欄はこんなことになっている。

8時、日本テレビ「スッキリ」:

8時、テレビ朝日「羽鳥モーニングショー」:

10時25分、TBSテレビ「ひるおび」:

1時55分、日本テレビ「ミヤネ屋」:

3時45分、フジテレビ「イット!」:

3時49分、TBSテレビ「Nスタ」:

3時50分、日本テレビ「every」:

4時45分、テレビ朝日「Jチャンネル」:

一方、同じコロナ対策名目で積み上げた、政府が国会審議抜きで勝手に使える予備費12兆円の9割以上が使途不明という大問題を取り上げたテレビ番組はひとつも見当たらない。

日経新聞(4/22)

(略)コロナが広がった20年春以降の20年度補正予算で9.65兆円という異例の規模の予備費をコロナ向けと銘打って創設。21年度と22年度の当初予算と合わせ3年で総額20兆円弱に達した。

そのうち12兆3077億円は実際に執行し、国会に使い道を報告した。日本経済新聞は国会提出資料や省庁への取材で何に使われたか詳細に解明しようと試みた。各省庁や自治体が予備費を具体的に何に使ったか、最後まで確認できるものは3つの政策項目、計8013億円だけだった。

予備費の最終的な使い道がつかみにくいのは、予備費を割り振られた省庁が当初予算や補正予算などすでにあるお金と予備費を混ぜて管理するケースが多いからだ。会計検査院でさえコロナ関連をうたう巨額の予算がどう使われたかの全体図はつかめていない。

(略)

コロナ禍のような危機に際し、柔軟で機動的に使える予備費にも意義はある。ただ、国内総生産(GDP)の数%に相当する巨大な予算を国会審議を経ずに執行できる仕組みは透明性に懸念が残る。乱暴な使い方をけん制する意味でも、外部から適切にチェックできる体制が本来必要だ。

お気の毒なことではあるが、阿武町の4630万円の影響を受けるのはその住民(約3,400人)だけであり、それ以外の人間にとっては基本的には関係のない話である。これに対して、使途不明金11兆円の影響はこの国の住民すべてに及ぶ。住民一人あたりの額でも10倍近い。問題としての重大さは比較にもならないだろう。

にもかかわらず、なぜ問題の重大性とは真逆の報道量になってしまうのか。

普通の国ならあり得ないし、日本でも仮にこれが民主党政権時代に起きていたらマスコミは連日政府を追求しまくっていただろう。しかし、今の日本でこういう結果になるのは、まあ当然のことなのだ。

マスコミも普通の日本人も、決して反撃してこないと分かっている相手は喜々としてぶっ叩くが、金と権力のある相手には決して逆らわない。抑圧されればされるほど、こういう「事件」で騒ぎ回ってストレスを解消する。

衰退途上国にはまことにふさわしい風景と言えるだろう。

 

【2022/5/22追記】

今朝のサンデーモーニングで青木理氏がかろうじて予備費問題に言及した模様。

しかし、これだけでは視聴者はそもそも何の話か理解できないだろうし、一瞬で忘却するだろうね。

【追記終わり】

 

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