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ではこの機会に「神武天皇の偉業」wを振り返ってみようか

「文化の日(=日本国憲法公布の日)」である今日11月3日をかつての「明治節」に戻したい反動議員たちが集会を開いたそうだ。民の生活を良くするための努力は何一つしないくせに、旧大日本帝国の正当化にだけは実に熱心だ。このような者たちを国会議員でいさせておくことこそ国家的損失、税金の無駄使いというものだろう。

中でも我らが防衛大臣、稲田朋美氏の発言は傑作である。(朝日新聞 11/2

 稲田朋美防衛相も「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるのが明治維新の精神だった。その精神を取り戻すべく、心を一つに頑張りたい」と語った。

 
「神武天皇の偉業」ww

私は、後に「神武」と呼ばれることになる人物は3世紀頃に実在したと考えているが、この男がやったことは、『古事記』を素直に読み解けば以下のとおりである。

  1. 野心だけは満々だが九州では出世の望めない傍系の兄弟が、
  2. 各地の豪族たちから支援を獲得して軍勢を整え、大阪湾から近畿に突入
  3. しかし待ち受けていたナガスネビコに敗れて総大将の兄は討ち死に
  4. 生き残った弟(神武)が紀伊半島を迂回して熊野方面から奈良盆地に侵入
  5. だまし討ちと虐殺を繰り返したあげく、ようやく奈良盆地の一角を占拠
  6. しかし結局そこから一歩も出られず、大和の人々の憎悪に囲まれたまま、一地方豪族として死んだ

もちろん、天皇に即位したなどというのは、後世の作り話である。

詳細については以下の記事や、「古代史」カテゴリーの他の記事を参照して欲しい。

21世紀にもなって、いまだにこんなものを「偉業」だの「日本のよき伝統」だのと妄想する者たちが政権を握っているのだから、なんとも恐ろしい。
 

古事記 (岩波文庫)

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盗まれた神話―記・紀の秘密 (古田武彦・古代史コレクション)

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