ツイッターではしばらく前から話題になっていた話だが、東京新聞が今日の朝刊で、新聞としては初めて報道している。
しかもトップ記事である。それも、読者からのFAXがきっかけで取材に取り組み、この問題の発見者であるドイツ人歴史学者(クラウス・シルヒトマン氏)にインタビューしているのだから素晴らしい。
シルヒトマン氏=写真、朝倉豊撮影=に漫画の書き換えや憲法九条について聞いた。
-幣原元首相や憲法九条になぜ興味を持ったのか。
「ドイツの平和学会に入り、各国の憲法、特に平和に関する規定に興味を持った」
-漫画の表現の書き換えに気づいた経緯は。
「日本人に広く読まれている漫画で、どう表現されているのか興味を持った。最初に幣原がマッカーサーに(戦争放棄を)提案している方を見つけ、その後、真逆のストーリーになっていることに気が付いた」
-表現が変わった理由をどう考えるか。
「日本が湾岸戦争で国際的な批判を受けた後、漫画の表現が変わった。日本人が、改憲を現実的な問題として真剣に考え始めた証しではないか」
-改憲勢力には、九条も時代に合わせて変えるべきだという意見がある。
「九条は本来、国連が世界連邦として機能し、世界中で武装解除が進むという理想を見据えて策定された。現実はそうなっていないが、今は過渡期。変えたらすべて終わってしまう」
-九条はむしろ世界に広げていくべきなのか。
「戦力不保持を明記した九条は際立っている。この条文を各国の憲法に生かすことができれば、大きな起爆剤となるはずだ」
Web版にはないが、紙面には問題の漫画も載っている。
残念ながら、監修者は既に死去しており、出版社にも記録が残っていないため、表現変更の理由は解明できなかったとのこと。
しかし、変更が行われた33刷(1993年3月)と35刷(1994年2月)との間の時期に、この問題について何らかの新しい発見があったとは聞かないので、恐らく右傾化する世相の変化を忖度して変えてしまったのではないか…という想像はできる。

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